きみが"Born In The U.S.A"を聞くのなら
この曲も同じことを歌ってるんだよ…(コリン・ヘイ)




 "Do you come from a land down under?"のフレーズの"land"と"under"が韻を踏んでいて"ランダゥンアンダー"が"ランダーアンダー"になり"ナンダーカンダー"に聞こえませんか?(笑)

◆"Men At Work"はオーストラリア出身のバンド。アルバム"Business As Usual"をリリースし、"ノックは夜中に(Who Can It Be Now?)"で全米No1になりました。この曲"Down Under"は続くセカンド・シングルでこの曲も全米No1(3週間)になりました。
 "Down Under"とは"オーストラリア"や"ニュージーランド"を指す言葉です。英国を基準にすると、地球の裏側、そして赤道より下の方、だから"Down Under"なんですね。この曲の歌詞は、地球を旅してるオーストラリア出身の男と旅先で出会う人達との会話を描いています。
 
歌詞に出てくる「ベジマイト・サンドウィッチ」についてはこちらのサイト「世界懇食紀行~ソウルフード巡礼の旅」(第31回 見た目と味のギャップに仰天!オーストラリアの謎のペースト)をご参照ください。

◆歌詞では"(オーストラリアって国は)女は輝き 男は略奪する"と、"雷の音が聞こえないか?逃げて避難したほうがいいぜ"が気になりますね。"雷"が落ちてくるって、何か悪いことをして天罰が下る、みたいなイメージですよね。
 直接的な解説ではありませんが、"Songfacts"が"Men At Work"のコリン・ヘイに行ったインタビューがあり、コリンが"Down Under"について以下のように語っていました。…日本語訳は私なのであまり正確ではないことをお断りしておきます(^▽^;)。

 ええと、歌詞は実のところ、オーストラリアという国がどうなったのかって僕が思ってることなんだ。つまり オーストラリアの"売却"は色んな意味で、発展途上の国として、特別楽しいヤツなんて誰もいないんだ。僕はそう思っていた。
 この曲は"国のスピリットの喪失の歌"さ。だって本当に素敵な場所なんだ。説明するのには難しく、言葉にするのも実に難しいんだ。このことを考えてからずいぶんと経ったんだ。でもつまりは"欲の張った人間たちによる国の略奪"ってことなんだ。

 ああ 多くの人が考えてる通りさ。だから僕の考えを言葉に置き換えるのがちょっと難しいんだ。つまりは国を讃える歌でもあるんだ。愛国主義的じゃなくって、旗を振りかざしたりする国の誇りなんてものでもない、それ以上の意味を持ってるんだ。

 僕は本当は"皮肉的"な言葉は沢山使いたくなかったんだ。でも僕にとって皮肉なのはとても沢山の人たちが この曲は特別なことについて歌っていて、その陰に隠された意図なんてないって思ってしまったことだ。

 きみが"Born in the U.S.A"を聴くなら、そういうことなんだよ。この曲の歌詞も同じことさ。時々ニュアンスが失われちゃうんだよ、だってみんなビールを飲んで両腕を振り上げると、愛国主義的な気持ちになるだろ?そういうことさ。

 男は略奪する…という説明は、歌の主人公がそう言ってるのではなく「Strange Lady」と「ボンベイでの安宿で出会った男」の"聞いた話"。
 主人公はオーストラリアについてそんな風に世界の人たちは思ってるけど、実は違う。また、オーストラリアという国を讃える気持ちを込めて作った歌だけど、愛国主義的なものじゃないんだ…このニュアンスっていうのは、やっぱりその国の出身者じゃないとわからないのかも…。

DownUnderSingke
 
 "雷が聞こえないか?"という歌詞は「政治的な意図」ですか?という質問には、
"そういうわけではない。そう決めつけたくはないんだ。でも80年代によく起きていたことだ。欲にまみれた10年間(the decade of greed)だったよ。いろんな意味でね,企業欲(corporate greed)にまみれたものだったんだ、と答えています。

◆ところで、この曲"Down Under"は当初は、彼らがコロムビア・レコードと契約する前の1980年にローカルで出したシングル "Keypunch Operator"のB面曲として一度、リリースされているようで、アレンジが違うオリジナルがあるようですね(下の方にYoutubeあり)。

それでは"DownUnder"の歌詞(英語詞と日本語訳)を見てましょう。

Writer(s): Colin Hay, Ronald Strykert 
Released in 1981
US Billboard Hot100#1
From The Album“Business As Usual”

220px-Men_at_Work_-_Business_as_Usual

"Down Under"lyrics
(英語詞はこちらのサイトからいただきました)
https://www.azlyrics.com/lyrics/menatwork/downunder.html

:原詞は太字

Travelling in a fried-out Kombi
On a hippie trail,
head full of zombie
I met a strange lady,
she made me nervous
She took me in and gave me breakfast
And she said:

おんぼろのヴァンに乗って旅をする
ヒッピ―みたいな旅で
俺の頭は意識もうろうさ
おかしな女に出会ったんだ
そいつは俺は緊張させやがる
でも俺を家に入れてくれ
朝食までごちそうしてくれた
その女が言うには…

"Do you come from a land down under
Where women glow and men plunder
Can't you hear, can't you hear the thunder
You better run, you better take cover."


"アンタ 地球の裏側から来たのかい?
 そこは女が輝いて
 男は略奪するところなんだって?"
"聞こえない?雷の音が聞こえない?
 早く逃げなさい
 避難したほうがいいわよ"

Buying bread from a man in Brussels
He was six foot four and full of muscle
I said, "Do you speak-a my language?"
He just smiled and gave me a Vegemite sandwich
And he said:

ブリュッセルで男からパンを買った
ヤツは2m近い大男で筋肉もりもりだった
俺は言ったよ
"俺の国の言葉を話せるか?"って
ヤツはただ笑って
俺にベジマイトサンドを渡してくれて
こう言ったのさ

"I come from a land down under
Where beer does flow and men chunder
Can't you hear, can't you hear the thunder
You better run, you better take cover."
(yeah)


"俺は地球の裏側から来たんだ
そこはビールが溢れ 男たちは吐くまで飲む
聞こえないか 雷の音が聞こえないか?
逃げるがいいさ
身を隠した方がいいぜ
(yeah)

Lying in a den in Bombay
With a slack jaw, and not much to say
I said to the man,
"Are you trying to tempt me?
Because I come from the land of plenty."
And he said:


ボンベイの安宿の寝ぐらで
口を開けたまま横になってたんだ
話すこともあまりなくてね
俺は男に言ったよ
"俺を誘惑しようとしてんのか?"
"だって俺は富める国から来てるんだ"
ヤツは言った

"Oh! Do you come from a land down under
(oh yeah yeah)
Where women glow and men plunder
Can't you hear, can't you hear the thunder
You better run, you better take cover."

"おお おまえさん
おまえオーストラリアから来たんだって?
そこは女は輝き 男は略奪するところ
聞こえないか 雷の音が聞こえないか?
逃げるがいいさ
身を隠した方がいいぜ(yeah)
 


(Words And Idioms)
fried-out=機能停止した;故障した;ほぼ壊れかけている
combie=フォルクス・ワーゲン社の"コンビネーション ヴァンType2"のこと。
Hippie trail=ヒッピー・トレイル=1960年代から1970年代にかけてヒッピーやその他の人々がヨーロッパから南アジア、主にインドとネパールへと陸路で行った旅とそのルートを指す言葉。
zombie=(俗)マリファナ(大麻)のこと。
down under=〔英国から見て〕地球の正反対側の場所、オーストラリア
plunder=略奪する、荒らす、強奪する、奪う、盗む
take cover =〔屋根などの下に〕避難する
six foot four=6フィート4インチ=約195cm
chunder=〈豪俗〉〔飲食したものを〕吐く、嘔吐する、もどす
den=(野獣の)穴、ねぐら、(不法な活動の場としての)隠れ家、むさくるしい部屋、(男性の)私室
slack-jaw =〈俗〉口をポカーンと開けた人

日本語訳 by 音時


(PS)知らなかったのですが、"Down Under"のフルートのリフが子どもの歌のメロディに似てると訴えられ、2010年の裁判では「盗作」とされてしまったそうです。

 似てると言われた曲は子供たちがキャンプ・ファイアーで歌う曲「Kookaburra Sits in the Old Gum Tree」(原題)。"Kookaburra"は"ワライカワセミ"のことですね。



うーん、メロディは確かに似てるけど、パクりって言えるのかなあ(-_-;)

 フルート奏者のグレッグは、のちに、この裁判によってかなりの苦痛を受けたと語っており、メルボルンの地元紙『The Age』のインタビューの中で「この裁判によって、僕の曲の多くは破滅に追い込まれた。これからは『ダウン・アンダー』のことは誰もが“盗作”として色眼鏡で見るだろうし、僕はそれがたまらなくイヤだ。そんな風に人々から見られることについて、僕は本当に落胆している」とコメントしていた…そうです。(この曲のウィキペディアより)