ユーリズミックスを聴くと僕は暗い気持ちになってしまうことが多く、あまり好んで聴きませんでした…(PVも怖かったりするし…)。でも、この曲を聴いてからは、彼らの作品を「味わう」ことができるようになりました。
(そのあたりのことは、上記の曲〜天使さんの曲〜の和訳記事に書いてますね)

◆1980年にユーリズミックスを結成する前は、アン・レノックスとデイヴ・スチュワートの二人は「ザ・ツーリスト」のメンバーでした。アン・レノックスがデイヴの故郷サンダーランドでウェイトレスとして働いていたときに2人は出会ったそうです。 2人はユーリズミックスを結成するまで4年間同棲し、デュオとして前進しながら…恋人の関係に終止符を打ちました。ですので、ユーリズミックスの作品は、アンとデイヴ=元恋人として書いてレコーディングされた作品、ということなんですね。なんだかそんなこともあって、ユーリズミックスの曲はちょっと他のグループの楽曲とは違う緊張感があるように思います。

◆この曲“Here Comes Rain Again”も、“ほらまた雨が降ってきた…”というつぶやきから歌詞が始まり、主人公の様々な感情が入り混じって歌われます。

 話してよ 恋人がするみたいに

 あなたにも雨が降ってるのかしら…?

主人公に降る雨は、優しい雨じゃなく、冷たさを感じる雨、なのかな…。


HereComesRain


Songwriter(s)
Annie Lennox、David A. Stewart

Released in 1984
US Billboard Hot100#4
From the Album “Touch”

*原詞の引用は太字


Here comes the rain again
Falling on my head like a memory
Falling on my head like a new emotion
I want to walk in the open wind
I want to talk like lovers do
Want to dive into your ocean
Is it raining with you?

ほら また雨が降ってきた
記憶みたいに私の頭に降り注ぐ
新しい感情みたいに私の頭に降り注ぐ
自然で自由な風のなかを歩きたい
恋人たちのように歩きたい
あなたの海に飛び込みたいの
雨はあなたにも降ってるの?


So, baby, talk to me
Like lovers do
Walk with me
Like lovers do
Talk to me
Like lovers do

だから話して
恋人たちがするように
一緒に歩いて
恋人たちがするように
話してよ
恋人たちがするように


Here comes the rain again
Raining in my head like a tragedy
Tearing me apart like a new emotion (Ooh)
I want to breathe in the open wind
I want to kiss like lovers do
Want to dive into your ocean
Is it raining with you?

また雨が降ってきた
悲劇のように私の頭に降り注ぐ
新しい感情のように私を切り裂くの
自然で自由な風のなかを歩きたい
恋人たちのように歩きたい
あなたの海に飛び込みたい
雨はあなたにも降ってる?


So, baby, talk to me
Like lovers do
Walk with me
Like lovers do
Talk to me (Ooh)
Like lovers do


だから話して
恋人たちがするように
一緒に歩いて
恋人たちがするように
話してよ
恋人たちがするように

So, baby, talk to me
Like lovers do

だから話して
恋人たちがするように


Ooh
Ooh, yeah
Here it comes again
Ooh
Hey, hey, hey, hey, hey, hey, hey

ああ
雨がまた降ってきた…


Here comes the rain again
Falling on my head like a memory
Falling on my head like a new emotion
(Here it comes again, here it comes again, ah)

I want to walk in the open wind
I want to talk like lovers do
Want to dive into your ocean
Is it raining with you?
(Ooh, here it comes again)



また雨が降ってきた
悲劇のように私の頭に降り注ぐ
新しい感情のように私を切り裂くの
自然で自由な風のなかを歩きたい
恋人たちのように歩きたい
あなたの海に飛び込みたい
雨はあなたにも降ってる?

Here comes the rain again (I said)
Falling on my head like a memory
Falling on my head like a new emotion
(Ooh, ooh, yeah)

I want to walk in the open wind (Mhm)
I want to talk like lovers do
Want to dive into your ocean
Is it raining with you?

Here comes the rain again
Falling on my head like a memory
Falling on my head like a new emotion
ほらまた 雨が降ってきた
記憶を呼び起こすように…
新しい感情が生まれてくるように…


日本語訳 by 音時

71lofM-e05L._SS500_
この曲が収録されているアルバム「Touch」のジャケット。
んー、このポーズはなんだか見たことあるなあ…
そうだ、じゃんけんをするのに気合いを入れてるポーズだ!笑



◆『デイヴ・スチュワート・ソングブック』の中でデイヴは、アンとニューヨーク市のメイフラワー・ホテルに滞在していたときにこの曲を書いたと説明しているようです。

 僕は46番街に出かけて、非常に小さなキーが付いた長さ約20インチの初期のカシオのキーボードを買った。その日は曇りの日だった。アニーは僕の部屋に座っていて、僕はこのキーボードの小さなリフを弾いていた。 キーボードが窓の棚に座っていて、僕はB音の入った小さな憂鬱なAマイナー風のコードを弾いて、このリフを弾き続けたんだ。
 そしてアニーは窓の外、ニューヨークのスカイラインの上にあるスレートグレーの空を眺めていて、自然に「Here Comes The Rain Again…」と歌ったんだ。 それが私たちに必要なすべてだった。
 僕たちの多くの曲と同じように、その 1 行、その 1 つの雰囲気、その 1 つの音符、またはそのイントロのメロディーから始めるだけで済むんだよ。そして、残りはまるで 欠けているピースを埋めるだけのパズルだったのさ。


◆また、デイヴはこの曲のサウンドや歌詞についてもSongfacts へのインタビューで語っています。

『Here Comes The Rain Again』は、さまざまなものが混ざり合った完璧な曲だよ。なぜなら、僕はロ短調を演奏しているんだけど、それを変更してロ長調を挿入してる。 マイナーが中断されているような、またはメジャーが中断されているような感じさ。だから、ちょっと奇妙なコースなんだ。
 そしてもちろん、そこから曲全体が始まり、曲全体がその未決定のことについて歌っている。ここにうつ病が来るか、ここに下降線が来るかのように でもその後、「だから、恋人同士のように話して」となる。 それは憂鬱の内と外をさまようことであり、庭園が枯れる直前に最も暗く展開して血のように赤くなるバラのような暗い美しさだよ。それをある種の遠回しな発言や感情で捉えているんだ。


うーむ、芸術家が見ている「景色」は独特ですよね…。でも“憂うつの内と外をさまよう”、“庭園の枯れる直前の暗い美しさ”など、僕でもわかるような気がします。

窓の外に降る雨を見て、いろんなことを考えてしまう主人公の心のなか…想像力が広がります…。
でも「ほらまた雨が…」と、雨が繰り返し降ってくることを歌っているのだから、これは実際の雨ではなく、定期的に降ってくる心の雨なのかな…と思います。




◆ダリル・ホールのライヴのレパートリーにもなっています!