ザ・バンドのロビー・ロバートソンさんが天国に旅立たれました。ロックの殿堂入もしたザ・バンドのギタリストだったロビーは後進のミュージシャンにも大きな影響を与えた存在でした。
あらためてご冥福をお祈りいたします。(8月9日 享年80歳)

ザ・バンドのロビー・ロバートソンが80歳で死去
(Yahoo News 〜Japan Billboard)


◆1968年リリースのザ・バンドのデビュー・アルバム「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」(Music from Big Pink)のA面ラストに収録されていたこの曲“The Weight”。ザ・バンドの曲で最も有名で多くのアーティストがカバーしている名曲です。


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 この曲は僕も数年前に和訳に着手したのですが、歌詞に固有名詞(聖書に出てくる人物や場面の引用)も多くて意味がちょっと???のところが多く頓挫していました。
 でも今回のロビー・ロバートソンの訃報に際し、やはり追悼として今仕上げておきたいと思い、調べも不十分ながらなんとか和訳および和訳記事が仕上がったので掲載したいと思います。

◆“The Weight”…“ウェイトを落とす”などと日本語でも通常使いますね。この場合は、重さ・体重のことではありますが、ここでは「重荷」、主に〔精神的な〕重荷、負担ということでしょう。
 曲の歌詞には“Weight”という単語は出てきませんが、サビコーラス部分にて“精神的な重荷・負担”ということでは“Weight”とほぼ同義語の“load”というWordが出てきます。

Take a load off, Fanny
Take a load for free
Take a load off, Fanny
And (And, and)
You put the load right on me
(You put the load right on me)


“take a load off”
=〔荷物などの〕重量を軽くする 〔人の心などの〕負担を軽くする

Take a load for free 
=荷をタダで引き受ける、無料で背負う

「荷を降ろせよ」
「背負っても無料」=「背負っても仕方ない」
「俺の真ん中に置いていいよ」=「俺に背負わせてくれ」
という意味で、
「心の荷を一人背負っていくな」=荷をわかちあえる人に気づけよ
とそんな意味合いなのかなと思いました。


◆作者(作詞作曲)はロビー・ロバートソンですが、ウィキペディア情報では次のようにありました。

 「The Weight」は、スペイン出身の映画監督、ルイス・ブニュエルの作品に影響を受けて書かれた楽曲である。「ブニュエルは聖人であることの不可能性を多くの映画で表した。『ビリディアナ』や『ナサリン』に描かれているように、人々はみな良き人であろうと望むが結局は自分のやりたいことしかやらない。『ザ・ウェイト』も同じことさ」とロバートソンは述べている。


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Songwriter(s) Robbie Robertson

Released in 1968
US Billboard Hot100#63
From the Album “Music From Big Pink”

*原詞の引用は太字


I pulled in to Nazareth
Was feeling 'bout half past dead
I just need someplace
Where I can lay my head


"Hey, mister, can you tell me
Where a man might find a bed?"
He just grinned and shook my hand
"No" was all he said

ナザレって町に入っていった
半分死んだような気持ちでね
ただとにかく場所をさがしてたのさ
横になって休める場所が

“なあ ダンナ 教えてくれよ”
“寝床はどこに行ったら見つかるんだい?”
男はただニヤッと笑って握手してきて
“そんなの ねえよ”と一言だけ


Take a load off, Fanny
Take a load for free
Take a load off, Fanny
And (And, and)
You put the load right on me
(You put the load right on me)


荷物は下ろせよ ファニー
背負ったって一文にもならないぜ
心の荷も下ろすといいさ
荷物は俺の背中に載せるといいさ
(俺の真ん中に置けばいいんだよ)


I picked up my bag
I went looking for a place to hide
When I saw Carmen and the Devil
Walking side-by-side

I said, "Hey Carmen

Come on, let's go downtown"
She said, "I gotta go
But my friend can stick around"

カバンひとつ手にして
俺は隠れる場所を探したんだ
すると カルメンと悪魔が二人で
横になって歩いてるのを見かけたんだ

“おい カルメン ダウンタウンに行かないか?”
と声をかけたけど 彼女はこう言った
“行きたいわ だけど
 悪魔がまとわりつて離れないの”ってさ


Take a load off, Fanny
Take a load for free
Take a load off, Fanny
And (And, and)
You put the load right on me
(You put the load right on me)


荷物は下ろせよ ファニー
背負ったって一文にもならないぜ
心の荷も下ろすといいさ
荷物は俺の背中に載せるといいさ
(俺の真ん中に置けばいいんだよ)

Go down, Moses
There's nothin' you can say
It's just ol' Luke, and
Luke's waitin' on the Judgement Day


"Well, Luke, my friend
What about young Anna Lee?"
He said, "Do me a favor, son
Won't ya stay and keep Anna Lee company?"

ミス・モーゼ 行くがいいさ
アンタが言える場面なんてないよ
年老いたルカ、ヤツは最後の審判の日を待っている

“なあルカさん
若い アンナ・リーはどうするんだい?“
すると“お願いがあるんだ”
“ここにいてアンナ・リーと付き合ってくれないか”


And take a load off, Fanny
Take a load for free
Take a load off, Fanny
And (And, and)
You put the load right on me
(You put the load right on me)


荷物は下ろせよ ファニー
背負ったって一文にもならないぜ
心の荷も下ろすといいさ
荷物は俺の背中に載せるといいさ
(俺の真ん中に置けばいいんだよ)

Crazy Chester followed me

And he caught me in the fog
He said, "I will fix your rack
If you'll take Jack, my dog"


I said, "Wait a minute, Chester
You know I'm a peaceful man"
He said, "That's okay, boy
Won't you feed him when you can?" (Yeah)

おかしなチェスターが付いてきて
霧の中で俺をつかまえたのさ
ヤツは“寝床をなおしてやる
俺の愛犬ジャックの面倒を見てくれたらな”

俺は“待ってくれ、チェスター”
“俺は平和主義者だからな”
ヤツは言った“わかったよ”
“餌をやれるときにやってくれよな”


Take a load off, Fanny
Take a load for free
Take a load off, Fanny
And (And, and)
You put the load right on me
(You put the load right on me)



荷物は下ろせよ ファニー
背負ったって一文にもならないぜ
心の荷も下ろすといいさ
荷物は俺の背中に載せるといいさ
(俺の真ん中に置けばいいんだよ)

Catch a cannonball, now

To take me down the line
My bag is sinkin' low
And I do believe it's time


To get back to Miss Fanny
You know she's the only one
Who sent me here with her
Regards for everyone

今すぐ急行列車をつかまえてくれ
俺を連れていってほしいんだ
俺のカバンは重くなるばかりで
もうその時がきたんだ

ミス・ファニーのもとに帰るんだ
わかるだろ 彼女しかいないんだ
彼女が俺をここに寄越したんだ
“みなさんよろしくね“って言ってさ


Take a load off, Fanny
Take a load for free
Take a load off, Fanny
And (And, and)
You put the load right on me
(You put the load right on me)


荷を下ろせよ ファニー
背負ったって仕方ないから
荷を下ろせよ ファニー
そしたら…
俺の背に載せてくれよ
(それでいいのさ)

(Words and Idioms)
Go Down Moses=「行け、モーゼ」聖書「出エジプト記」における物語の一部が歌詞で歌われる黒人霊歌・スピリチュアル。
Do me a favor?=お願いを聞いてくれる?
keep company=【動詞】付く、付き添う、付添う
rack=〈俗〉寝床、ベッド
cannonball= (昔の球形の)砲弾、砲丸、特急列車

日本語訳 by 音時


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はい、所々に意味がわかりません…(^_^;)。

◆1st Verse…主人公は身体を休める場所を探してる

主人公が立ち寄った町“Nazareth”は、イエス・キリストが育った「ナザレ(Nazareth)」を想起させますが、これはそんな意味はなく、演奏をしていたギター(マーティン制)のヘッドのところに“Nazareth”と書いてあったから…歌詞にしたという話です。(ペンシルベニア州ノーサンプトン郡のナザレスはマーティンギターの発祥地とのこと)

◆“Fanny”とは?

“Fanny“とは…英辞郎によると…〈米俗〉尻〈英・卑俗〉女性器、セックスの対象としての女性とのことです(^_^;)。でもここではそういう意味じゃないんでしょうね。
 様々な解釈が世界中であるようですが、最もよく知られた説によれば、“ファニー“とはキャシー・スミス(麻薬売人兼グルーピー)のことだそうです。ザ・バンドの3人のメンバーとデート/寝泊まりし、ジョン・ベルーシにオーバードーズを飲ませたことで悪名高い。

◆2nd Verse…カルメンと悪魔が歩いているのを見た

カルメンと悪魔が横に並んで歩いていた…と言っていますが、カルメンが悪魔に取り憑かれてるのを見たということでしょうね。最後のStick aroundは、もう取り憑かれてしまって後戻りができなくなってしまってる状況なのかなと思いました。主人公はそんなカルメンに対して、“心の荷を下ろせないのか?”と手遅れな状況であっても呼びかけているのかな。

◆3rd Verse…審判の日を待つルカ(Luke)。気がかりは娘?のアン・リー

“ルカ“は囚人?なのかな?とも思いました。彼の心の重荷?(load)は若い娘?のアン・リー。ただ、なぜここで最初に“モーゼ”を持ってきて(さらに男性のモーゼにたいして“ミス“などと女性の呼びかけを付けています)るのがわからない…。聖書を嘲笑っているのかな…(^_^;)


Weightimages


◆4th Verse…ジャックという名の犬を飼う愛犬家のチェスター。犬を預かる代わりに…。

「寝床を直す」(fix your rack)というのが1st Verseの「寝床を探していた」主人公と結びつきます。「寝床」というのも実際のベッドという意味ではなく、やはり「休息できる場・存在」という意味なのでしょう。

◆5th Verse…正直このラストVerseが最もわかりませんでした…(^_^;)。なぜここで“ファニー”が出てくるのか?主人公の帰着する場所が“ファニー”…? “ファニー”が特定の女性ではなく「女性」の総称であれば、“愛に還っていく”などと無理口のこじつけも不可能ではないものの…なんか…ねえ…。

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The Bandがステイプル・シンガーズと演奏した「The Last Waltz」の“The Weight”の動画(下記に貼り付けます)などを見ても、とてもゴスペルチックで、やはり曲の主題が、聖書の理解やキリスト教の教義などに関わっているように感じます。和訳もそのあたりを踏まえて…と想ったのですがこれが難しい。現世の僕では難しいように感じました…(^_^;)。



◆“The Weight”
From their movie "The Last Waltz" with The Staple Singers -