全米No1ヒットが出なかったスティーヴィーのアルバムで、僕にとってはちょっととっつきにくかったのですが、この曲をスティーヴィーのベストと推す人もいますね。

スティーヴィーの1973年の「インナーヴィジョンズ(Innervisions)」は重いテーマの曲も多く、これまで和訳でもあまり取り上げてきませんでした。(^_^;)。でも…。

◆今回この“Too High”を取り上げてみて、その手応えから、ちょっと「訳し甲斐がある」というか、どんな歌詞なんだろうと一行ずつ味わうとなかなか楽しく!?なってきました。

…でも楽しいといっても、この曲、アルバム1曲めから重いぞ…。


x1076686737.1


(Stevie Wonder)

Released in 1973
From the Album “Innervisions”

*原詞の引用は太字


I'm too high, I'm too high
But I ain't touched the sky
I'm too high, I'm too high
But I ain't touched the sky

ハイなんだ 行き過ぎちゃってる
だけど空には届かないけど
ハイなんだ とっても気分がいい
でも空に手は届かないよ

She's a girl in a dream
She sees a four eyed cartoon monster
on the T.V. screen

She takes another puff
and says "It's a crazy scene"

That red is green and she's a tangerine

彼女は夢のなかの恋人
TVで4ツ目の怪物が出てるのを見てる
彼女は他の「粉」を取ってこう言う
“くだらない場面よね”ってさ
画面は赤から緑になり 彼女はミカンになった

I'm too high, I'm too high
But I ain't left the ground
I'm too high, I'm too high
I hope I never ever come down

ハイになった やりすぎちゃって
だけど 地面から浮くわけじゃない
ハイなんだ とってもハイさ
このまま 落ちないでいたいよ

She's the girl in her life
But her world's a superficial paradise
She had a chance to make it big
more than once or twice

But no dice, she wasn't very nice

彼女は自分の人生を謳歌してる
だけど その世界は上辺だけの楽園さ
彼女は一度や二度それ以上 
もっと良くするチャンスがあったのに
だけどもうサイコロを振るチャンスはない
彼女はミスっちゃったのさ

I'm too high, I'm too high
I can't ever touch the sky
I'm too high, I'm so high
I feel like I'm about to die


とってもハイさ 飛びすぎだよ
だけど天には届いてないさ
すごいいい気分 高いところにいる
でももうすぐ死にそうな気がする

She's a girl of the past
I guess that I got to her at last
And did you hear the news about the girl today?
She passed away, what did her friend say?

彼女は過去の少女になった
最後にやっと彼女に伝わったと思うよ
今日のニュースに出てた少女のこと聞いたかい?
死んじゃったってさ その友達がこう言ってたよ

They said she's too high, too high
Can't hang around anyway…

行き過ぎちゃったって 
ハイになり過ぎて
あんなになっちゃったら終わりよってさ…

(Words and Idioms)
superficial 【形】 表面の 表面的な、うわべだけの、外見上の、見かけの
"[hang] around"=のらくらする、無為に過ごす、ゴロゴロする

日本語訳 by 音時

InnerInner


はい、テーマは「麻薬」なんでしょうね。
歌詞では、ハイになり過ぎてしまい幻覚症状が見える少女が最初に出てきます。
“She takes another puff“は、お化粧の粉のようでもあり…いややっぱり白い粉の話でしょう(^_^;)。

彼女は人生を謳歌しているけどそれは見せかけ。
もう手遅れになってしまってるんだ…。

◆ただ、下記の2行をどう訳すか、で物語の結末が変わってきます。


She's a girl of the past
I guess that I got to her at last

「過去の少女」になった彼女
でも最後に「彼女に伝わった(I got to her)」と思うよ

はい、僕は敢えて、最後に彼女に「きみはもう手遅れさ」と警鐘を鳴らしたことで、彼女に彼から「ダメ、麻薬、ゼッタイ」のメッセージが伝わり(get to her)彼女は助かった…と解釈しました。

「クスリ漬けでダメになった彼女」はもう「過去の少女」。今の彼女はドラッグをやめて更生に向かってる…。

そんななかで今日も新聞ではクスリで命を落とす若者を報じている…。

◆完全に悪い話で終わらせたくない…1曲目から夢も希望もない歌詞の曲をスティーヴィーに歌ってほしくないという僕の思いがそうさせました(^_^;)。

どうでしょうか?


7133jfYbw0L._AC_SX425_