「叫べ!」…何かを訴えている歌だとは思っていましたが、抽象的なことを歌っているので何を指しているのかはわかりませんでした…。
“Everybody Wants The Rule The World”が2週間の全米1位となった1985年6月、次のシングルである、この“Shout”もその2ヶ月後の8月に今度は3週間の全米1位となりました(連続の全米No1)。
◆僕の持っている「ビルボード・ナンバー1・ヒット Ⅲ 1985−1988」(音楽之友社)のこの曲のページでは、メンバーのローランド・オーザバルのコメントが載っていました。
「今までおとなしく難解にしすぎていたから、今回は直接心に訴える力強いものにしようとした。それが大変だったよ」
その記事によると、“ルール・ザ・ワールド”が1週間でレコーディングできたのに、この“Shout”とアルバム「Songs The Big Chairの“Head Over Heals”はアルバム全体が製作期間を8ヶ月要したうちの半分の4ヶ月費やしたといいます。(^_^;)。
◆また、この曲について「何を叫んでいるのか?」というと同じくローランドは…
「解釈の仕方が2つあると思う。わかりやすいのは、社会や政治に起きていること、迷惑していることについて自分の意見を述べることだ。もう一つは、イギリスにおけるアメリカの核兵器配備に対する叫びで、この問題には多くの人が僕を含めて脅えている」
「でも僕たちはレコードを売る以上のことを音楽でしようとは思わない」
「たしかに僕たちの歌にはたいていメッセージが込められているけど、誰もそこまで聞いちゃいないね」
と話されています。
Songwriter(s)
Roland Orzabal、Ian Stanley
Released in 1985
US Billboard Hot100#1(3)
From the Album “Songs From The Big Chair”
*原詞の引用は太字
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
叫べ
叫べ
すべて吐き出すがいい
俺にはどうしようもないことだけど
さあ叫べ
おまえに呼びかける
さあどうだ
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
In violent times
You shouldn't have to sell your soul
In black and white
They really really ought to know
Those one-track minds
That took you for a working boy
Kiss them goodbye
You shouldn't have to jump for joy
You shouldn't have to jump for joy
暴力的な時代さ
おまえは魂を売る必要はない
黒と白か判断つけるのさ
ヤツらは本当は自覚するべきなんだ
一つのことしか頭にない狭い視野
ヤツラはおまえを
労働者としてしか見てないんだ
労働者としてしか見てないんだ
そんなヤツらにはキスしておさらばさ
飛び上がって喜んだりなんておかしいぜ
飛び上がってはしゃいだりなんてするんじゃない
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
They gave you life
And in return you gave them hell
As cold as ice
I hope we live to tell the tale
I hope we live to tell the tale
ヤツらはおまえに命を与え
おまえは代わりにヤツらに地獄を与えた
氷のように冷たい物語さ
俺たちはこの物語を語るために 生きていこう
俺たちは生きて この物語を語り継いでいくんだ
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
叫べ
叫べ
すべて吐き出すがいい
俺にはどうしようもないことだけど
さあ叫べ
おまえに呼びかける
さあどうだ
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
And when you've taken down your guard
If I could change your mind
I'd really love to break your heart
I'd really love to break your heart
そしておまえが その警戒を解いたとき
もしおまえの心を変えられるなら
俺はおまえの心を壊してやりたいと思う
おまえの心を粉々にしてやりたいと思うんだ
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
(break your heart)
Come on (really love to break your heart)
I'm talking to you
Come on
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
So come on
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
Come on
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
(they really really ought to know)
Come on
Shout
Shout
Let it all out
(I'd really love to break your heart)
These are the things I can do without
(I'd really love to break your heart)
Come on
I'm talking to you
So come on
Shout
Shout
Let it all out
These are the things I can do without
Come on
I'm talking to you
(Words and Idioms)
one-track mind=一つの考えにとらわれた、視野が狭い
日本語訳 by 音時
◆歌詞に“ヤツら”(They)がでてきますね。
この“ヤツら”は…やっぱり“体制”とか“支配層”ってことでしょうかね。
PVでも、“叫べ”“叫べ”と繰り返されるなかで、だんだんとコーラスする人数も増え(子どもも含め)ていきます。
歌詞の解釈は難しいところですが、心の警戒が解かれるとき(=ヤツらに純粋な心を蝕まれてしまう?)は、このままおまえが悪に染まってしまうよりも、俺がおまえの心を変え、その心を壊してあげたいよ、と歌っているのかな…(^_^;)。
◆この曲がチャートで最高位を記録した週の全米ビルボードチャートを見てみましょう。
US Top 40 Singles For The Week Ending 3rd August, 1985
TW LW TITLE Artist (Label)-Weeks on Chart (Peak To Date)
TFFがポール・ヤングに代わって首位に。5→3位とスティングの動きもよかったのですが、この週は何と言っても16→7位にトップ10入したヒューイ・ルイスが大注目。映画の大ヒットと合わせ、この曲もこのあと全米No1になりますね。
1 2 SHOUT –•– Tears For Fears (Mercury)-8 (1 Week at #1) (1)
2 1 EVERYTIME YOU GO AWAY –•– Paul Young (Columbia)-13 (1)
3 5 IF YOU LOVE SOMEBODY SET THEM FREE –•– Sting (A&M)-9 (3)
4 3 YOU GIVE GOOD LOVE –•– Whitney Houston (Arista)-13 (3)
5 6 GLORY DAYS –•– Bruce Springsteen (Columbia)-10 (5)
6 9 NEVER SURRENDER –•– Corey Hart (EMI-America)-9 (6)
7 16 POWER OF LOVE –•– Huey Lewis & The News (Chrysalis)-6 (7)
8 8 SENTIMENTAL STREET –•– Night Ranger (MCA / Camel)-11 (8)
9 10 GET IT ON (Bang A Gong) –•– The Power Station (Capitol)-9 (9)
10 14 WHO’S HOLDING DONNA NOW –•– DeBarge (Gordy)-10 (10)
◆ Night of the Proms - Antwerp, Belgium, 2006
◆ Night of the Proms - Antwerp, Belgium, 2006
(この記事の参考にしました)
「ビルボード・ナンバー1・ヒット Ⅲ 1985−1988」(音楽之友社)
コメント
コメント一覧 (11)
「音時さんの記事を読んで… この曲で伝えたいメッセージが、もう少し具体的になるといいなと感じました。」 と、書き込んでしまいました。
これは、音時さんへの批判や注文などではありません。
言いたかったのは…。曲を作った人に向けた感想でした。
歌詞を書く時に、「言いたいことが多すぎると伝わらないよ」、「聞く人の立場になって、主題を分からせるためのヒントを精選してね」 ということでした。
音時さんがイヤな思いをしたかも知れないので、追加でコメントします。
こちらこそ引き続きどうぞよろしくお願いします。
ちょうどこの曲が流行っていた頃、アメリカにいました。
カーラジオで良くかかっていたなぁ、なんて思って。
子供でしたので、当然歌詞とか良く分っているわけでもなく、
流行歌として耳にしていました。(今考えるともったいないですね)
こちらのサイトで懐かしい曲のタイトルをみて、
当時のことを思い出したり、またこぼれ話とかも読めてへぇと思ったりして、
楽しく拝見しています。
あと、私も趣味の英語の勉強がてら、今改めて当時の楽曲を耳にして、
そんな意味だったのかとか、この単語ってそうやって使うのか
などと思ったりしています。
懐かしさのあまり、コメントしました。またお邪魔します。失礼しました。
アルバムのタイトル『大きな椅子からの歌集』は、「 Sybil(シビル)」という映画から取られているのですね。少女シビルは、16の人格を持つ多重人格者!! 医師の大きな椅子に座っているときにだけ安心感を得られた。
(16の人格! そんなことあるんですね。ビックリです。)
ノンフィクションだそうです。現れた人格について調べました。
<< シビルの人格 >>
①シビル・イザベル・ドーセット……基本人格。IQ170で絵の才能をもつが、自信がない。
②ヴィクトリア・アントワネット・シャロー……自信のある、優雅で洗練されたフランス人女性。
<途中省略>
⑤ナンシー・ルー・アン・ボールドウィン……怯えて興奮していることが多い。
⑥ルーシー・ドーセット……2歳児。
⑦クララ・ドーセット……正統派キリスト教の狂信的な信徒。シビルに批判的。
<以下省略>
ひょえー。こんな感じで16の人格があるのですね。
このアルバムには、人格(曲の個性や趣、雰囲気など)の違った曲があるということかなあ?
うーん、確かに抽象的な歌詞が直訳になっていて、意味不明な和訳ですよねー。自分でもそう思います(-。-;。なぜ“叫べ“なのか、何を指してるか、もう少し解釈をすすめて、叫ぶ理由に納得できるような和訳をしたいですね。時間があるときに取り組めたら、、と思います。アルバムのタイトル名については“everybody wants rule the world“の和訳記事にて触れているのでご参照ください。
このアルバムの収録曲、秀作ぞろいだと思います。ローランド達がつくる楽曲って、不思議な魅力があります。しかも、聴けば聴くほど、良さが実感されていきます。
アルバムのタイトルを直訳すると「大きな椅子からの歌集」 どういう意味なんだろう?
「シャウト」、カッコいい!! PVもアントワープ(アントウェルペン)のライブ映像も、何度となく見ました。気分がスカッとします。
<音時さんの記事を読んで…> この曲で伝えたいメッセージが、もう少し具体的になるといいなと感じました。
<追伸> PVを初めて見たとき、ボクもローランドとカートの区別ができませんでした。笑
特に阿佐ヶ谷姉妹さんはリードするお姉さんの江里子さんに突っ込む妹の美穂さんの毒舌が楽しかったり、役割分担もしっかりされてて、いつも大笑いしてます。
そのため、『シャウト』と『ルール・ザ・ワールド』のPVを見たとき、当初は別々の人が歌っているとは気づきませんでした。
ってことはですよ、どっちがどっちだかいまだに区別がつかない日本の2人組・阿佐ヶ谷姉妹なんて、「笑い界のティアーズ・フォー・フィアーズ」になるのでしょうか?