ジャクソン・ブラウンの“For America”。

“ただごと“じゃないこの曲、ジャクソンの直接的なメッセージが歌われていて、BGMでは聴けません…。

ジャクソンの東京公演は80年代にも駆けつけて参加したものでしたが、本当に一度だけ、仕事が終わらなくて、会場の武道館へ九段下駅からずっとダッシュで駆けつけた時がありました。2階席のスタンド席に着いたら、1曲目が“For America”の途中でした(^_^;)。はい、まさか1曲目に“For America”が来るとは…! ですのでよーく覚えています。

(この方のWebページにセットリストが出ていました。こちらです。ありがとうございます)
 1989年9月29日の日本武道館公演だったか…“World in Motionツアー”の一環だったんですね。


◆当時、米大統領はタカ派のレーガンでした。イラク侵攻を目の前にして、ジャクソンは、何かメッセージを発信しなくては、と思ったのでしょう。メッセージはこれ以上ないほど明確です。

 "次の戦争が来ても、自分たちの生活様式が守られたと本当に思うのだろうか?"
  自分の国のことを祈り、正しいと教えられ、お国のために働きなさいと育てられた自分。

  自分の国を愛しながらも、その国が他の国々にしてきたことを憎んでいる歌…なんでしょう。


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(Jackson Browne)

Released in 1986
US Billboard Hot100#30
From the Album “Lives in the Balance”

*原詞の引用は太字

As if I really didn't understand
That I was just another part of their plan
I went off looking for the promise
Believing in the Motherland

From the comfort of a dreamer's bed
And the safety of my own head
I went on speaking of the future
While other people fought and bled

まるでちっとも気づいてなかったんだ
僕も彼らの計画の一部に過ぎないということを
約束を果たそうと出かけたんだ
祖国(マザーランド)を信じながら

快適なベッドで夢を見ていたよ
自分自身の頭のなかの安全な場所でね
未来のことを語り続けてたのさ
他の人々が戦い血を流している間に…

The kid I was when I first left home
Was looking for his freedom and a life of his own
But the freedom that he found wasn't quite as sweet
When the truth was known

初めて家を出たときの僕は子どもだった
自由と一人暮らしの生活を追い求めてた
だけど真実が明らかになったとき
見つけた自由はそれほど甘いものではなかったのさ

I have prayed for America
I was made for America
It's in my blood and in my bones
By the dawn's early light
By all I know is right
We're gonna reap what we have sown

僕はアメリカのために祈り
アメリカのために生きるようにと育てられた
それが僕の血と骨の中に染み込んでる
夜明けの早い光のなかで
それが正しいと確信した僕たちは
自分達が蒔いた種を刈り取ろうとしてる


As if freedom was a question of might
As if loyalty was black and white
You hear people say it all the time
"My country wrong or right"

I want to know what that's got to do
With what it takes to find out what's true
With everyone from the President on down
Trying to keep it from you

まるで自由とは力の問題であるかのように
忠誠心とは 黒か白か
答えを出さないといけなくなっているみたいだ
人々がいつもこう言っているのを聞くだろう
"間違っていようが正しかろうが 私の国だ"

何をしたらいいかが知りたいんだ
本当のことを知るために何が必要なのか
大統領を筆頭にして すべての人が
きみからそれを隠そうとしてる

The thing I wonder about the Dads and Moms
Who send their sons to the Vietnams
Will they really think their way of life
Has been protected as the next war comes?

僕が不思議に思うのは 
子どもたちをベトナムの送る父親と母親たち
自分たちの生活様式が守られたと
思うのだろうか? 次の戦争が来ても

I have prayed for America
I was made for America
Her shining dream plays in my mind
By the rocket's red glare
A generation's blank stare
We better wake her up this time
Yeah

僕はアメリカのために祈り
アメリカのために生きるよう育てられた
頭のなかで アメリカの輝かしい夢が戯れる
ロケットの赤い光に照らされて
今の世代の者達の目はうつろさ
今度こそ目を覚まさせたほうがいい
ああ

The kid I was when I first left home
Was looking for his freedom and a life of his own
But the freedom that he found wasn't quite as sweet
When the truth was known

初めて家を出たときの僕は子どもだった
自由と一人暮らしの生活を追い求めてた
だけど真実が明らかになったとき
見つけた自由はそれほど甘いものではなかった

I have prayed for America
I was made for America
I can't let go 'til she's come around
Until the land of the free
Is awake and can see
And until her conscience has been found

アメリカのために祈り
生きるよう育てられた
僕は投げ出すわけにいかないんだ
アメリカが遠回りして戻ってくるまで
自由の国が目を覚まし
真実が見えるようになるまで
そしてアメリカの良心が見い出されるまで…

(Words and Idioms)
from the president down=社長を筆頭に
blank stare 《a ~》ぼんやりとした目、ぽかんとした顔
come around · ぐるっと回ってやって来る、回り道してやって来る

日本語訳 by 音時


190522120


◆星船さんブログでの紹介はこちらです。 「ビルボードチャート日記」by 星船
(2022年4月時点では和訳できなかったこの曲を年末になって時間ができてようやく和訳できました)

◆“She”や“Her”っていうのは「アメリカ」という国のことを指してるんですね。
こちらのページをご参照あれ。(教えてgoo!

◆この曲の背景を調べていたら、知らなかったのですが、パナマのルーベン・ブラデスというシンガーの "Buscando America" という曲への返答としてジャクソンは“For America”を曲を書いたのではないかという話です。
 “For America“はこの曲の翌年にリリースされました。ジャクソンとルーベン・ブレイズは一緒に出演したことがあり、友人だそうです。

 タイトルは直訳すると「アメリカを探して」。この歌の中では、アメリカはアメリカ合衆国ではなく、ラテンアメリカ全体を指していて、広くはもしかしたら、アメリカやカナダも入っているのかもしれないようです。
 この曲は、ヨーロッパの征服以来、ラテンアメリカが受けてきた抑圧と腐敗をルーベン・ブレイズが嘆き歌います。

 “独裁政権下で生きる私は、アメリカを探すが見つからない。
  彼女の拷問された体、それがどこにあるのか誰も知らない"。





◆ジャクソンは諦めず歌っています。

この国が遠回りして戻ってくるまで
自由の国が目を覚まし
真実が見えるようになるまで
そしてこの国の良心が見い出されるまで…

 ジャクソンが自分の母国“アメリカ“を歌っている箇所は、自分の母国に置き換えて考えてみたいですね…。