アズテック・カメラ(Aztec Camera)は80年代の洋楽を聴いていくなかで、雑誌だかラジオだかで「女の子にモテるならこの曲を聴かなきゃ!」みたいな特集があって、そこで紹介されていたグループでした。

 “そんなのどうでもいい、俺は俺の好きな曲を聴く!”と心のなかでは言いながらも…気になってレンタルレコードで「ハイ・ランド、ハード・レイン」(1983)と「ナイフ」(1984)を借り、カセットに取ってたまに聴いていました。聴きやすいしセンスあるなあとは思ったのですが、僕にはそんなに刺さることはなく、“まあ女の子にモテなくても好きな曲を聞こう”とその時思ったものです(笑)。

◆でもだいぶ経ったあとですが、FM番組で、この曲“Birds”を耳にして『誰の曲かな?なかなかいいじゃん』と思っていたらアズテック・カメラの新曲だと紹介されてちょっとびっくりしました。

 彼ら(ロディ・フレイム)の作る楽曲はもっとポップな感じがする印象でしたが、この曲“Birds”は、鳥のように飛んで行きたいと願う主人公の心象風景のようなものが哀愁を持って歌われている感じがしました。
 翼を持っていない人間には「空を飛びたい本能があるんだ」なんて言われたら信じてしまうような…。

(坂本龍一さんプロデュースというのでなんとなく納得…)



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Words and music by roddy frame

Released in 1993
From the Album “Dreamland”

*原詞の引用は太字

"hey baby, baby bring your love to me"
Repeats the radio relentlessly
All day I dream a dream where feelings flee
In free formation.
The sweetest sound reflects in saddened eyes
Defies description and identifies
The heart that hungers for the sudden skies
The souls migration.

“ベイビー きみの愛を僕にくれよ”
ラジオが執拗に繰り返す
僕は一日中夢見てたんだ
自由な状況で心が自由になれる場所の夢を
悲しげな瞳に映った 一番甘美な音楽には
説明や識別なんか要らないよ
突然の空を欲しがる心
魂はそこに移り住む

How sweet to fly
To touch the sky
To feel in the flow
Like the one who glides there.

なんて素敵なんだ
空に届くまで飛べるなんて
大空を滑るように飛ぶ
漂よう鳥たちのように

I feel we flew
We never knew
But to know is to go
When your heart resides there.

行ったこともない場所を
飛べたような気分
知りたいのなら付いていけばいい
きみの心がいたいと思う場所に

I take a winter coat and walk the square
The people gather and the birds they scare
Concrete and clay conspire to cage me there
Among the lost boys.

冬物のコートを着て広場まで歩く
集まった人たちは鳥たちを怖がってる
コンクリートと土がそこで僕を檻に閉じ込めようとする
迷子の少年たちと一緒に

Down in the streets I see the trees grow bare
Broken and battered in the thinning air
The birds are scattered in my footsteps there
I long for lost joy.

通りの下の木々は みなむき出しになり
薄い空気の下で折れてぼろぼろだ
僕の足元で鳥たちは散り散りになり
僕はなくした喜びを恋しく思う

How sweet to fly
To touch the sky
To feel in the flow
Like the one who glides there.

空に届くまで飛べるなんて
なんて素敵なんだろう
大空を滑るように飛ぶ
漂よう鳥たちのように

I feel we flew
We never knew
But to know is to go
When your heart resides there.

行ったこともない場所を
飛べたような気分
知りたいのなら付いていけばいい
きみの心がいたいと思う場所に

(Words and Idioms)
relentlessly 【副】容赦なく、冷酷に、執拗に
saddened 【形】悲しんで、悲しみに包まれた
defy 【他動】 〔権力・法令・規則などに〕逆らう、従わない
description and identifies=説明と識別
migration 【名】 〔人や動物の〕移住、渡り、回遊
glide=氷上を滑る(地上・水面・空中などを)滑るように移動する,音も立てずに進む
reside =場所に住む、居住する
scare=〈人などを〉怖がらせる,びっくりさせる
conspire = 〔人と悪事を〕共謀する
bare =〔体の一部が〕衣類で覆われていない、むき出しになった
battered =〔物が〕使い古して傷んだ[壊れた]、ぼろぼろの 
scatter · 〔人や動物が〕散り散りになる

日本語訳 by 音時

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“Aztec“とは「アステカ文明」のこと。その次代、民族に“カメラ”はあったのかな。
でも古いものと現代のものを組み合わせたグループ名はやっぱりセンスを感じますね。こういうのがモテるんだな(わかったような…)。

◆ウィキペディア情報:
アズテック・カメラ(Aztec Camera)は、1980年にスコットランドで、ロディ・フレイムを中心に結成されたニュー・ウェイヴ・バンド。1981年にインディーズのポストカード・レコードからデビューした後、6枚のオリジナル・アルバムを発表。1998年からロディ・フレイムはソロ名義でアルバムを発表している。

また英語版のWikipediaの情報では、アルバム「Dreamland」の制作にあたって、ロディ・フレイムが坂本龍一氏をプロデューサーに迎えたのは、最初はロンドンで開催されたジャパン・フェスティバルでのパフォーマンスを観た後のことだったようです。ロディは次のように言っています。


彼(坂本龍一)がイエロー・マジック・オーケストラにいたときにやったことが好きだったし、『戦場のメリークリスマス』の音楽をピアノで演奏しているアルバムも好きだった。そこで、彼の作曲にまつわる雰囲気は、実は作曲にあるのだということに気づいたんだよ。

 坂本龍一さんが多忙だったこともあり、長い間待った末、イビサ島でようやくロディと坂本氏は会い、最終的にアメリカのニューヨークで4週間かけてアルバムを録音したとのことです!



◆彼らのデビューアルバム「High Land, Hard Rain」はこの曲から始まります。“思い出のサニー・ビート(Oblivious)“。“oblivious“って、気にしないとか、気に留めない、って意味ですね。(1983年 全英47位)




◆セカンド・アルバム「ナイフ」からはこの曲がよかったな。“All I Need Is Everything”。
(1984年 全英36位)