ハートの1979年のアルバム"Dog & Butterfly"、この曲はそのタイトル曲です。ハートのライヴではアコースティックで姉妹で聴かせる曲ですね。

 ちなみにLPレコードでは、A面が"Dog Side"でロック曲、B面が"Butterfly Side"でアコーステッィクやバラードを収録。こういうのもLPレコードならではの楽しさですね。このことは、このアルバムからの1st Singleの"Straight On"(全米15位のヒット)の和訳記事にも書いていましたね。


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written by Ann Wilson, Nancy Wilson, Sue Ennis

Released in 1979
US Billboard Hot100#34
From The Album“Dog &Butterfly”

*原詞の引用は太字

There I was with the old man
Stranded again so off I'd ran
A young world crashing around me
No possibilities of getting what I need
He looked at me and smiled
Said "No, no, no, no, no child

私がある老人と一緒にいた時の話
また立ち往生 逃げてばかりの私
幼かった私の世界は騒がしくて
自分に必要なものをつかめる可能性もなかった
老人が私を見て微笑みかけてこう言った
"だめだめ 違うよ お譲ちゃん"

See the dog and butterfly
Up in the air he like to fly
Dog and butterfly below she had to try
She roll back down to the warm soft ground
Laughing to the sky, up to the sky
Dog and butterfly

"ほら 犬と蝶を見てごらん
 蝶は空を飛びたがってるんだ
 見てごらん 犬と蝶を
 犬は下で蝶をつかまえようとしても
 あたたかく柔らかい土に転がり落ちる
 でも空を見て満足してるんだ 空を見上げて
 それが犬と蝶の関係さ"

Well I stumbled upon your secret place
Safe in the trees you had tears on your face
Wrestling with your desires 
frozen strangers stealing your fires. 
The message hit my mind
Only words that I could find

そう 私は秘密の場所に転がりこんだ
自分の涙を見せないよう木々の陰に隠れてた
自分の欲望と格闘して
他人の冷たい目に心の炎を奪われてしまうから
あの老人のメッセージが心に甦る
私が想い出せたのは少しの言葉だけど

See the dog and butterfly
Up in the air he like to fly
Dog and butterfly 
Below she had to try
She roll back down to the warm soft ground
Laughing to the sky, up to the sky
Dog and butterfly

"見てごらん あの犬と蝶を
 空の上を 蝶は飛びたがるんだ
 見てごらん 犬と蝶を 
 犬は地上で蝶をつかまえようとするが
 やっぱり土に転がり落ちてばかりさ
 でも空を見て楽しそうなんだ 
 それが犬と蝶の関係さ"

We're getting older 
the world's getting colder
For the life of me 
I don't know the reason why

わたしたちも年を取っていくと
世間もわたしたちの人生に
冷たくなっていくんだ
なぜだかはわからないけど

Maybe it's livin' making us give in hearts 
rolling in taken back on the tide
We're balanced together ocean upon the sky

生きることは心のなかに人生の波を
元に戻させたりするものなのかもしれない
わたしたちは海とその上に広がる空と
バランスを取っているの

Another night in this strange town
Moonlight holding me light as down
Voice of confusion inside of me
Just begging to go back where I'm free
Feels like I'm through
Then the old man's words are true

また別な夜 この見知らぬ街で
月明かりが私を包み込んでくれた
私のなかで混乱した声が響いたの
"自由にしてくれる場所に帰りなさい"
そのとき私はわかった気がした
あの老人の言葉は本当だったんだと

See the dog and butterfly
Up in the air he like to fly
Dog and butterfly, below she had to try
She roll back down to the warm soft
Ground with a little tear in her eye
She had to try, she had to try
Dog and butterfly

"見てごらん あの犬と蝶を
 空の上を 蝶は飛びたがるんだ
 見てごらん 犬と蝶を 
 犬は地上でつかまえようとするけど
 やっぱり土に転がり落ちてばかりさ
 空を見て吠えるけど 幸せそうなんだ
 それが犬と蝶の関係さ"

Up in the air, he liked to fly
The dog and butterfly, 
Below she had to try
She rolled back down to the warm soft ground
Laughing she don't know why
But she had to try she had to try
Dog and butterfly

"空の上を 蝶は飛びたがるんだ
 見てごらん 犬と蝶を 
 犬は地上でつかまえようとするけど
 やっぱり土に転がり落ちてばかりさ
 幸せなんだよ 意味はわからなくても
 それでもまた蝶を追いかける 
 やっぱり追いかけるんだ
 それが犬と蝶なんだ…"

(Words and Idioms)
stranded=〔船が〕座礁した 〔人や乗り物などが〕動けなくなった
run off=走り去る、逃げ去る
crash around=騒々しく動き回る 
laugh=うれしそうである,満足[幸せ]な状態にある.
roll in=転がり込む 
take back=元に戻す、返す
tide=潮時、好機、物事の潮流

日本語訳 by 音時

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◆"Dog & Butterfly"はアンが歌詞を書いていますが、この曲を書いたきっかけがあったようです。(この曲のSongmeaning ページより)

 アンが飼っていたシェパード犬(Sheepdog)が歌詞のきっかけになりました。あるとき、アンは庭で蝶々を追いかけている愛犬をじっと見ていました。アンは妹のナンシーに"蝶を追いかける犬は、まるで人生そのものみたいなの"と説明しました。"地上から離れられない生き物は、いつだってジャンプして、決してつかむことのできないものに手を伸ばし続けるの、とにかくそういうことをしてしまう。それがこの曲のポイントよ。私たちは何かしら高みにあるものをつかもうとしてしまうの"。

幾つかのサイトの情報では"Dogs & Butterfly"は中国の故事からヒントを得たというようなことも出ていました。確かにアルバムジャケットなどはそんなイメージを取り入れてますしね。ただ、調べたのですが故事のルーツはわからず…。一方、アンの飼っていた犬の話も発見しましたので、そちらの方も信憑性があるかな、と思います。

D&Butter


◆そんなわけで「犬がひらひらと飛ぶ蝶をつかまえようとジャンプしても届かず。ただそのことをする犬もなんだか嬉しそう」ということを人生に例えてる…歌詞としては、老人が若い頃の私に話してくれた話…という体。そのことを頭の中に入れて和訳をしたところ、処々に意味がわからないところはあったのですが、それなりに全体の歌詞は描けたかなと思います。

 一般的には、蝶が女性(She)で犬が男性(he)をイメージしますが、この曲は逆なんですね。犬がsheで、蝶がhe。女性であるアンは、人生漂うように生きる男性に魅かれ、追い求めるけれど、夢は叶わず。しかしそのことで悲観するわけでなく、そのこと自身を楽しんでしまっているのかな。それも性…なんて勝手なことを考えてしまいます(^▽^;)。

◆ハートのライヴから"Dog & Butterfly"



◆これも"Dog's Song"。ツェッペリンのカバーで"Black Dog".