ロッドのマーキュリーレーベルのラストソロアルバムが「スマイラー」。

どうですかこのアルバムジャケット。スコティッシュの誇りのタータンチェックの額の中で腰に手を置き自信あふれたロッドの姿。もちろんジャケットだけでなく英国の誇りのようなものもアルバムトータルに感じます。この後、大西洋を渡りアメリカで「アトランテッィック・クロッシング」をリリースすることを考えるとなおさら感慨深いものがあります。

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◆A面トップ、犬の鳴き声の効果音から始まるチャックベリーの「Sweet Little Rock'n Roller」、エルトン・ジョンから贈られた曲、キャロル・キング、ボブ・ディランのカバー。そして何と言っても極めつけが、この曲「Mine For Me」。この曲はポール・マッカートニーの作った曲なのですよ~!
(リンダと共作;コーラスもポール&リンダ)


◆「スマイラー」…このアルバム好きだったんだけど、音質が悪く、そして初めてレコードをかけた時から小さく静電気が出ていて聴きづらかったんです。なんでも、輸入盤LPを無理やり日本盤に仕立てていたらしいですね…。でもジャケットは結構眺めていた記憶が甦ってきました。

  見開きのジャケットで、30人以上沢山の人がいる写真。中央に白い服を着て座ったロッド。誰が誰だかの解説がジャケット裏に。有名ミュージシャンというよりも、スタッフと家族の写真だった。ロンのまわりにいるのはロンの家族。一番後ろでヒゲの男の人の後ろにいる派手な帽子をかぶってるのはロッドのお兄さん。ロッドの隣に立ってる黒人のお姉さんの斜め後ろにいるタータンチェックのスーツを来てるメガネの男の人がロッドのお父さん。

ロッド自身の説明には「この使えない情報についての責任者」と書かれていました…(^_^;)。

(LP「スマイラー」についてはこちらの方のブログに写真入で詳しく出てましたのでリンクさせていただきます)

Smilerimages (1)



(Paul McCartney)

Released in 1974
US Billboard Hot100#91
From The Album“Smiler”
*原詞の引用は太字


In a couple of hours 
I'll be drivin' home to the one I love
So save your breath sweet painted lady
it won't be me


Over the mountain and under the sea
They'll never be another one 
like mine for me

もうあと2,3時間で
僕の愛する人の家に着く
おしゃべりはやめて 着飾ったレディ 
きみの相手は僕じゃない


山々を越えて 海の奥深くまで
他に替わる女なんていない
彼女は僕のための僕の女性なのさ


It was only an hour or so ago 
that I sang my song
Persuaded painted ladies 
that I could say I'd been free


Over the mountain and under the sea
They'll never be another one 
like mine for me

1時間かそこら前にステージも終わった
ずっと独り者だったんだけどねって
化粧したレディ達に説明してたんだ

山々を越えて 海の奥深くまで
他に替わる女なんていないのさ
彼女は僕のための僕の女性だから

Mine is always 
mine is grand
Don't you know that the woman that love me 
she understands
And can't you see that it's mine for me

僕の彼女はいつも 
そう彼女は素敵なのさ
僕を愛してくれる彼女は
僕をわかっていてくれる
そうさ 
そんな素敵な女が僕の彼女なのさ

And in a couple of hours 
I'll be driving home to the one I love
So save your breath sweet painted lady 
it won't be me
Over the mountain and under the sea
They'll never be another one like mine for me
You're for me

もうあと2,3時間で
僕の愛する人の家に着く
おしゃべりはやめて 着飾ったレディ 
きみの相手は僕じゃない

山々を越えて 海の奥深くまで
他に替わる女なんていないのさ
彼女は僕のための僕の女性なんだ

Mine is always, mine is grand
Don't you know that the woman that love me 
she understands
And can't you see that it's mine for me

They'll never be another one like mine for me
They'll never be another one like mine for me

They'll never be another one like you for me 

僕の彼女はいつも 
そう彼女は素敵なのさ
僕を愛してくれる彼女は
僕をわかっていてくれるんだ
そうさ そんな素敵な女が僕の彼女なのさ

僕の彼女のような女なんて どこにもいない
誰も彼女に代わることなんてできないのさ

僕のための僕だけの彼女なんだから…

(Words and Idioms)

In a couple of hours=2.3時間で
Persuade=説得する

日本語訳 by 音時
Rodimages (1)


◆2013年のポール・マッカートニーの来日前に総力特集された「大人のロック!秋号 Vol.33」(日経BP)を読んでいて、ポールの特集記事(P.82ページ 文:広田寛治)を見て大きくうなずいてしまった。引用すると…

「(中略)ポールは、詞とメロディを感性のサウンドで融合させようとした。ポールの詞はそれだけを取り出して読んでみると、たわいなく、ちょっと陳腐に感じることがある。だが、その詞が彼の紡ぎ出すメロディに乗り、さらには、彼の感性がイメージするサウンドと一体になることで、曲はとてつもない輝きを放ち、ポールがその作品に込めたメッセージや深い思いが、五感に直接響いてくるのだ。(以下、略)」

 もうムック本なのにラインマーカーを引きそうになりました…!


◆そう、そう思います。この曲「Mine For Me」もそう。

この曲と詞を作る時にポールがどのくらいロッドのことをイメージして書いたのかは不明です。歌詞だけ見ると、着飾った女達に自分の「彼女自慢」をしてるだけの曲ですが、メロディに詞を乗せて歌うと、イングリッシュトラッドの雰囲気があり、そしてロッドらしいPOPSになってます。
 全米91位はしょうがないのかな。マーキュリーレコードのプロモーションも十分ではなく、そして曲自体も全米向きの歌じゃなかったようにも思います。

 ポールがロッドにこの曲を贈ったデモ・テープ(Paul Sings)が出てきたりしないかな。左利きでオベーションギターを持って弾き語りするポールのMine For Meも聴いてみたい。

弾き語りではないけど、、、あった!
ポールの1974年のライブにロッドが飛び入りして、ポール&リンダと“Mine For Me”をちょっとだけ歌います。




◆LP「スマイラー」国内盤には和訳がついてなくて、“Mine for me“は、僕の語学力では歌の意味は不明でした。Over the mountain、under the sea、んふふ、be another one like mine for me といつしか鼻歌曲に…。ロッドにとってはそんなに意味のある曲じゃなかったかもしれませんけど、僕にとってはロッドて好きな歌のランキングでは上位に入る曲に。いつか訳したいと思ってました。

でも、やっぱり、意味がわからなかった…(-_-;)。


歌詞のsweet painted ladyが何者か?僕だけの僕のものとは何のことなのか?
そんななか、あるとき和訳が降りてきた!ほんとこんな感じです。

年上の女マギーメイに女を教えてもらい、学校に戻らなきゃ、でもあんたを本気で愛してたんだ。
お前がリタって名前は知ってるよ。一夜限りだけど愛し合おう。で、おまえの名前なんだっけ?

単純化しすぎだけど、スマイラーの頃のロッドのイメージ。ポールがロッドを思い浮かべた時もきっとこうしたプレイボーイ像があったと思います。でも、ロッド=プレイボーイ説ってもしかして作られたものじゃないか?と思ったら…なんとなく、このMine for meの世界が開けました!ほんとカイジじゃないけど、ザワザワザワ、、、した気分です。

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ああ、僕の彼女は僕のために尽くしてくれる人なんだ。いつも偉大で(尊敬できる)女性なんだ。
山よりも海よりも。
でもプレイボーイ(歌手だから仕方ない)は着飾ったグルーピーたちにも構わないといけない。もうすぐ自分の家に着くから、ごめんネ、この間までフリーだったんだけど、今は奥さん大事だからさ、でも僕の歌よろしくね!と言っているシンガー“ロッド”。

ポール・マッカートニーはさすがにロッドにあげる歌の主人公像として、プレイボーイだけに終わらせない。ファンサービスも忘れない、でも愛する人は一人だけなんだよ、それがロッドスチュワートという男なんだ、って曲を作った。これがMine for me って歌なんだ! と勝手に解釈しました!