1997年の"The Dance"Tourより


アルバム「Rumours」は昨日の“Gold Dust Woman”で終わったんじゃ…?
はい、そうなんです。いや、そうじゃないんです。

 もしもこの曲"Silver Spring"がアルバム「噂(Rumours)」に収録されていたら、アルバムの評価やマックの人気にも影響していたかもしれません…。

◆スティーヴィー・ニックス作のこの曲"Silver Spring"は、シングル"Go Your Own Way"のB面に収録されました。そして1992年のボックスセット"The Chain"で初めてアルバムに収録され、1997年にマックが黄金期のメンバーで再集結した"The Dance"のアルバムからのライヴ音源でシングルにもなりました。(冒頭のPVが"The Dance"です)
 第40回グラミー賞の最優秀ポップ・パフォーマンス賞(デュオ/グループ)にもノミネートされました。

 実は…この"Silver Spring"はアルバム「噂」に入る予定だったところが取り消され、その代わりに同じくスティーヴィーの作品になる"I Don't Want To Know"が収録されることになりました。


Silverダウンロード


 バンドの他のメンバーは"I Don't Want To Know"の方を好み、そちらの方が「Rumours」にはフィットすると考えたようです。理由は「時間が短かった」からと言われています。スティーヴィーはその決定にとても動揺し、その反抗として"I Don't Want To Know" を(ライヴでは)歌わないことに決めました…。

「Silver Spring」は、アルバム「Rumours」の2004年のリイシュー盤では、正しい場所に収録(Songbirdの後、The Chainの前)にされています。

 CDだと「その間」でいいのですが、アナログのLPレコードの場合、A面ラストだったのか、B面トップだったのかは気になりますね(^▽^;)。
やっぱり、B面トップだったのかなあとは思います…。


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(Stevie Nicks)

Released in 1997
From The Album“The Dance”

*原詞の引用は太字

You could be my silver springs
Blue green colors flashin'
I would be your only dream
Your shining autumn, 
ocean crashing

And did you say she was pretty
And did you say that she loves you
Baby, I don't wanna know

あなたは私の"輝く春"になれる
青や緑が ぱっとひらめく季節
私はあなたのたったひとつの夢でありたい
あなたの輝く秋の季節
波がぶつかって音を立てるわ

あの子が可愛いってそう言ったの?
その子もあなたを愛してるって?
ベイビー そんなこと知りたくない

I'll begin not to love you
Turn around, see me runnin'
I'll say I loved you years ago
Tell myself you never loved me, no

And did you say she was pretty
And did you say that she loves you
Baby, I don't wanna know
Oh, no
And can you tell me was it worth it
Really, I don't wanna know

私 あなたを愛するのをやめるの
振り返ってみて 駈けずりまわってるわ
あなたを以前愛してたって私は言うわ
自分に言い聞かせるの
あなたは私を愛してなんてなかったって

彼女が可愛いって そう言ったの?
彼女もあなたを愛してるって 言った?
ベイビー 知りたくないわ
ああ
そんなこと私に言う意味ある?
本当よ そんなこと知りたくない

Time casts a spell on you,
but you won't forget me
I know I could have loved you, 
but you would not let me

時間があなたに魔法をかけるわ
私をこの先忘れることないように
私はあなたを愛することができたのに
あなたがそうさせてはくれなかった…

Time casts a spell on you, 
but you won't forget me
I know I could have loved you, 
but you would not let me

時間があなたに魔法をかける
私を決して忘れることがないように
私ならあなたを愛せたのに
あなたがそうさせてくれなかったのよ

I'll follow you down 
'til the sound of my voice will haunt you
You'll never get away 
from the sound of the woman that loves you

あなたを追いかけていくわ
あなたが私の声の響きを忘れてしまうまで
あなたは逃げられないのよ
あなたを愛した女の響きが追いかけていくから

I'll follow you down 
'til the sound of my voice will haunt you
(was I such a fool?)
You'll never get away 
from the sound of the woman that loves you
(was I such a fool?)

あなたを追いかけていくわ
あなたが私の声の響きを忘れてしまうまで
(私って愚かな女なのかしら?)
あなたは逃げられないのよ
あなたを愛した女の響きが追いかけていくから
(私はそんなことする愚かな女?)

I'll follow you down 
'til the sound of my voice will haunt you
(give me just a chance)
You'll never get away 
from the sound of the woman that loves you

あなたを追いかけていく
あなたが私の声の響きを忘れてしまうまで
(もう一度チャンスをください)
あなたは逃げられないの
あなたを愛した女の響きが追いかけていくわ

You could be my silver springs
My blue green colors flashin' …

あなたは私の"輝く春"になれたのに
私の色がぱっとひらめくのが見える
それは青そして緑…


(Words and Idioms)
cast a spell=呪文を唱える、魔法をかける 

日本語訳 by 音時

 FleetwoodRumours

◆スティーヴィーは"Silver Spring"について次のように話しています。

 "シルヴァー・スプリング"はリンジーとのことについて書いた曲よ。私たちはメリーランドの辺りを車で走ってて、フリーウェイの下に"Silver Spring, Maryland"という案内を見たの。私は"シルヴァー・スプリング"という名前が大好きだった。私にはとても素敵な場所なように響いたのよ。'あなたは私の"silver springs"になれるの…'、私にとってのあなたの存在を全体的に象徴したものなのよ。

 はい、そうだったんですね。でもこの曲の歌詞…"You"は主人公に"彼女は可愛いんだ"とか"彼女は僕を愛してくれる"とか言ってるんです。そんなこと主人公は聴きたくないのに…(-_-;)。

 ああ、"時間が魔法をかける"んです。"私を決して忘れることがないような"魔法を。

あなたを追いかけていく あなたが私の声の響きを忘れてしまうまで
あなたは逃げられないの あなたを愛した女の響きが追いかけていくわ

…はい、タイトルの"Silver Spring"のイメージ、きらきら輝く"春"、ないし水が噴き出てる"泉"。何かしら爽やかなイメージを持っていたのですが、女のひとの情念が込められてて…ちょっと怖い(^▽^;)です。

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◆この冒頭の"The Dance"のツアーライヴでの"Silver Spring"の映像。スティーヴィーが歌う脇で、リンジーがしらっ(?)とギターを弾いていますが、スティーヴィーは何度も何度もリンジーを見ます。何度もじっと見て…リンジーもたまらなくなって(?)見返す…。
 クリスティンが向こうの方で"あの人達、やってるわ…"と見ていたりもしますね。

 "The Dance"の"Silver Spring"はスティーヴィーとリンジー、男と女が見つめ合ってライヴで情念をぶつけ合ってる感じです。演奏終了後に観客はスタンディング・オベーションです!

 この記事の冒頭で"Silver Spring"を収録しなかったのは正解のようなことを僕が書いたのは、これだけはっきりと感情を表した曲は、色んなポップソングが宝箱のように入っている「Rumours」のアルバムにはふさわしくなかったんじゃないか?と思ったからです。

 もしかして、曲が長いので"I Don't Want To Know"になったと言われていますが、実はそうではなくて、これだけ私的な曲は入れるのは避けようって、ミック・フリートウッドが判断した…なんてこともあるのではないかな。リンジーからスティーヴィーに宛てた曲が"Go Your Own Way"、スティーヴィーからリンジーへのお返しが"Dreams"。二人は"1発ずつ殴り合って"ますが、ここに"Silver Spring"を入れたらスティーヴィーのパンチがリンジーにさらに一発になるので、公平に判断した、ってことも…?

 うん、なんかやっぱり"Rumours"は"Songbird"の次に裏面ひっくり返して"The Chain"、これが慣れていていいな…(^▽^;)。

以上、アルバム「噂(Rumours)」の全曲特集を終了します…!

◆こちら"Silver Spring"のアーリー・テイクVersion。