アルバート・ハモンドのビルボードライヴ(2016)を観たのも懐かしいな…。


◆"The Free Electric Band"は1973年、前年の“カリフォルニアの青い空(It Never Rains in Southern California)"に引き続いて、アルバートがリリースしたアルバムです。
 アルバートの代表曲に挙げられる"The Peacemaker"や"落葉のコンツェルト(For the Peace of All Mankind)"も収録されています。


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この曲はそのアルバムタイトル曲。歌詞を見ておわかりかと思いますが、これはおそらくアルバートの自伝曲。どうして彼がミュージシャンの道を選んだのか、が(多少創作を含んで)歌われてますね。

◆"カリフォルニアの青い空"の物語が、決して青々としたカリフォルニアの空を歌った歌ではなく、カリフォルニアで文無しになって親戚にたかる男の物語であることは以前ご紹介しましたね。この曲"Free Electric Band"は、時代的には"カリフォルニアの青い空"の前。アルバートの少年時代からカリフォルニアへ行くまでのことを歌っているようで面白いですね(^▽^;)。

(追記)こちらこの曲の外国盤でのシングルジャケット!この和訳記事をアップしたら「黒字看板」さんがフォントを再現してくれました!→(こちらです)

やっぱりプロってすごいなあ。見事に再現されてます\(^o^)/

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Songwriters
Hammond, Albert / Hazlewood, Mike
Lyrics © EMI Music Publishing, Warner/Chappell Music, Inc.

Released in 1973
US Billboard Hot100#48
From The Album
"The Free Electric Band"
*原詞の引用は太字


My father is a doctor, 
He's a family merry man
My mother works for charity 
whenever she can
They're both good clean Americans 
who abide by the law
And they both stick up for liberty 
and they both support the war

僕の親父は医者
そして家庭的で陽気な男だよ
僕の母親は時間さえあれば
チャリティに精を出すそんな女性さ
二人は善人で清廉なアメリカ人
法を破ったりなんてしないのさ
二人とも"自由"を支持して
二人とも その下で"戦争"も支援したんだ

My happiness was paid for 
when they laid their money down
For summers in a summer camp 
and winters in the tow

僕の幸せは両親がお金を支払い
もたらされたもの
夏にはサマーキャンプが待っていて
冬だってそれに続く楽しみがあった

My future in the system 
was talked about and planned
But I gave it up for music 
and the free electric band

システムのなかの僕の未来は
両親が話して計画されていた
でも僕は
音楽と自由なエレクトリック・バンドが
大好きだったのさ

I went to school in hand-washed shirts 
with neatly ordered hair
And the school was big and newly built 
and filled with light and air
And the teacher taught us values 
that we had to learn to keep
And he clipped the ear of many idle kid 
who went to sleep

僕は手洗いのシャツを着て
こざっぱりした髪型で学校に通ったよ
その学校は大きくて新しい校舎で
光と新鮮な空気でいっぱいだった
先生は僕たちに物事の価値を教え
僕たちはそれを守ることを学んだ
そして先生は居眠りをする
沢山の怠惰な少年たちの耳をつねってたよ

Then my father organized for me 
a college in the east
But I went to California, 
the sunshine and the beach

それから僕の父親は僕を
東の大学に行かせようとしたんだ
でも僕は太陽の光と浜辺が待ってる
カリフォルニアに行ったんだ

My parents and my lecturers 
could never understand
Why I gave it up for music 
and the free electric band

僕の両親や先生たちは
わかりっこなかったのさ
どうして僕が
音楽と自由なエレクトリック・バンドに
夢中だったかなんて

Well, they used to sit and speculate 
upon their son's career
A lawyer or a doctor 
or a civil engineer

ああ みんな息子の将来を
座って思い描いていたもんさ
末は弁護士か医者? 
はたまた企業のCEO?

Just give me bread and water, 
put a guitar in my hand
'Cause all I need is music 
and the free electric band

そんな僕にはパンと水をくれればいいよ
この手にギターがあればいい
だって僕に必要なのは
音楽と自由なエレクトリック・バンドなんだ

My father sent me money, 
and I spent it very fast
On a girl I met in Berkeley 
in a social science class
Yes, and we learnt about her body, 
but her mind we didn't know
Until deep rooted attitudes 
and morals began to show

親父は僕にお金を送ってくれたけど
女の子のためにすぐ使っちゃったよ
バークレーの社会科学クラスで出会った娘さ
そう 僕らは彼女の身体を学んだんだ
でも彼女が何を考えてたのかわからなかったよ
深いところにある気持ちとモラルが
頭を持ち上げてきたのさ

She wanted to get married 
even though she never said
But I knew her well enough by now 
to see inside her head

彼女は口にすることはなかったけど
結婚したがっていたんだよ
でも今は彼女が考えていたことが
よくわかるようになったのさ

She'd settle for suburbia 
and a little patch of land
So I gave her up for music 
and the free electric band

彼女は郊外で
土地のある家に住みたかったんだ
だから僕は彼女をあきらめたよ
音楽と自由なエレクトリック・バンドのために

(Words and Idioms)
abide by the law=法律を守る
stick up for=〈人・もの〉を支持する, 弁護する
in tow=引かれて、けん引されて 後ろに従えて
give it up for~=~に拍手を送りましょう、~を褒めましょう
hand-wash=手で洗う、手洗いする
speculate=(あれこれ)思索する,沈思する
deeply rooted =深く根差した、根深い
settle for=安住する
suburbia=郊外
patch of land=小地面

日本語訳 by 音時


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◆息子のキャリアをあれこれ想像する歌詞…英詞では"A lawyer or a doctor or a civil engineer"となっています。果ては弁護士、もしくはお医者?はたまた"a civil engineer"、ということなのですが、直訳だと「土木技師」。うーむ、ちょっと「弁護士、医者、土木技師」だとちょっとそぐわないかな(^▽^;)(決して土木技師の職業が下、というわけではありませんよ!)

 この和訳作業を食卓でやってたときに、隣にいた長男と相談してみました。おそらく"手に理系の技術や知識を持っている企業の経営者"=アップルのスティーヴ・ジョブスのような人物をイメージしているのではないか?という結論です。ゆえに「企業CEO」と勝手に意訳してしまいました(^▽^;)。


◆"I gave it up for music and the free electric band"の"give it up for"について。

 "give it up"を「~拍手する」という意味(スラング)のようです。"give up"というと「あきらめる」と訳してしまいそうですが、上記の意味でいくと、" I gave it up for music and the free electric band"は「音楽と自由なエレクトリック・バンドに拍手をしたよ」=「大好きだよ」という訳にしました。
 ただ、最後のverseだけは"it"の代わりに"her"が来て I gave her up for music and the free electric band"となっているので"音楽と…のために彼女をあきらめた(捨てた)んだ"としました。


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◆この曲の国内盤シングルジャケットはこちら(Snow Records Japanさん)

◆Albert Hammond - 13.11.2015 - Free Electric Band



◆THE FREE ELECTRIC BAND (1973) スタジオバージョン。