この曲"フィーリング"(Tryin' To Get The Feeling)はバリー・マニロウの"I Write The Songs(歌の贈りもの)"の全米No1のあとにシングルカットされました。なので、僕も当時、かろうじてヒットチャートにこの曲がランクインしていた記憶はあります。

 そしてアルバム「歌の贈りもの」の原題もこの"Tryin’To Get The Feeling "("Again"は取れている)になっていますし、かなりの名曲と思ってます。冒頭のバリーのステージを見ればわかりますが、彼のライヴでもこの曲をドラマチックに歌い上げます。でも…"Tryin’To Get The Feeling Again"がこういう歌詞を持った歌だとは思わなかったな…。(詳しくは後述)

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◆この曲のオリジナルは、デヴィッド・ポメランツ(David Pomeranz)。彼の1976年発売のアルバム"It's In Everyone Of Us"に収録されました...ってことはバリーのヒットのあとで、セルフカバーってことになりますね。デヴィッドもアメリカの歌手で、バリーが歌った"The Old Song"=邦題:ふたりのオールドソングも彼の作品です。


Tryin'_to_Get_the_Feeling_Again_cover


(David Pomeranz)

Released in 1975
US Billboard Hot100#10
From The Album“Tryin' To Get The Feeling”

*原詞の引用は太字

Doctor, 
my woman is comin' back home late today
Could ya' maybe give me something?

'cause the feelin' is gone 
and I must get it back right away
Before she sees...

ドクター 
僕の彼女が今日遅く 帰ってくるんです
何か僕に 恋の薬をいただけませんか?

だって僕の感情は消えてしまったから
今すぐその想いを取り戻さなくては
僕がそうだったことを彼女が気づく前に

that I've been up, down, 
tryin' to get the feeling again
All around.... 
tryin' to get the feeling again
The one that made me shiver, 
made my knees start to quiver
Every time she walked in

僕は気分をあげたり 落ち込んだり
あの感情をまた取り戻そうとしてきたんだ
あらゆる努力を...
あの感情を取り戻そうとしてきたのさ
彼女が歩いてくると
僕の身体は震え
僕のヒザはがくがくとしたあの感情

And I've looked high, low, 
everywhere I possibly can
But there's no 
tryin' to get the feeling again
It seemed to disappear 
as fast as it came

どこに行こうとあちこち探し回り
あらゆる手を尽くしてきたんだ
でもあの感情を再び取り戻すことは
できなかったんだ
すぐに消えてしまったようなんだ
蘇っても あっという間にね…

I read ev'ry book
Looked through every meditation and poem
Just to bring back home
That old sweet sensation
But it ain't no use to me
To try to get that feeling again

あらゆる本を読んだり
あらゆる瞑想や詩を眺めてみたよ
懐かしい素敵な感覚を
取り戻したくて...
あの想いが再び取り返したい僕には
意味のないことだったよ...

Where did it run to?
I thought I'd done all that I could
Just to keep the lovelight burnin'
But whatever I've done
I guess I just haven't done it too good
'cause all that's left is yearnin'

どこに走っていってしまったんだ?
愛の灯りを燃やし続けられるように
できる限りのことはしてきたんだ
でも僕が何をしようと
充分うまくはできなかったみたいだ
だって僕に残っているのは懐かしい想いだけ

Cause I been up, down, 
tryin' to get the feeling again
All around....tryin' to get the feeling again
The one that made me shiver, 
made my knees start to quiver
Every time she walked in

気持ちが浮いては 沈んだんだ
あの感情を再び取り返そうとしたけれど
あらゆる手を尽くして あの感情を取り戻そうと
彼女が歩いてくるといつだって
僕の身体が震え
僕のヒザががくがくし始めたあの気持ちを

And I've looked high and low 
and everywhere I possibly can
But there's no tryin' to get the feeling again
It seemed to disappear as fast as it came

ずっと探し続けてきたんだ
力の限り あらゆる場所を
でもあの想いは再び戻ってはこなかった
よみがえっては瞬く間に
消えてしまったようなんだ

And I've been lookin', 
I've been lookin', 
I've been lookin'
I've been up, and down 
and tryin' to get the feelin'
I've been up ..I've been down...
I've been tryin' to get
I've been tryin'..
I've been tryin'..
I've been tryin'

僕は探したんだ
ずっと探してきた
ずっと ずっと
気持ちが浮き沈んでも
あの感情を取り戻したくて
元気になったり 落ち込んだり
でも努力してきた
頑張ってきた
やれることをやったんだ…
ずっとずっと

To get the feeling
I've been tryin' to get the feeling again
I want to get that feeling
I'm going to get that feeling
I got to get that feeling
I got to get that feeling

あの感情を取り戻そうと
再びあの感情を取り戻したくて
あの気持ちをつかみたくて
あの気持ちをつかもうとして
あの感情を
あの気持ちを

And again...and again...
and again...and again
Tryin' to get that feeling
I been tryin' to get the feeling again 

何度も 何度も
ずっと ずっと
あの感情を取り戻そうと
ずっと頑張ってきたんだ
あの気持ちをまた取り戻したくて…


(Words and Idioms)
quiver=(小刻みに)揺れる,震える
look high and low for=探し回る, 探しまわる
yearn=慕う、(…を)慕わしく思う、懐かしく思う

日本語訳 by 音時

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◆邦題はアルバムでは“フィーリング”(A面2曲め)、シングル・カットされて“うつろな想い”とされました。(この記事では僕に馴染みのある邦題“フィーリング”の方で表記させていただきました)

◆はい、歌詞の舞台は結構複雑な?設定ですね。主人公の奥さん?彼女さん?でしょうか、いずれにしてもどこか遠くに行っていた彼女が今晩戻ってくるって言うんですね。今では彼女に対しての愛する気持ちが消えてしまっているので、その気持ちを何とか取り戻さなくては…という歌なのです。

 なんで最初"Doctor"が出てくるのかなと思いましたが、"何か僕にいいもの(Something)をください"とお願いしてるからには、"恋の薬(惚れ薬)なんでしょうね。
うーむ、一度失った恋は戻らない…ってことを歌ってるんだよな。ここまで劇的に(^▽^;)。ちょっとこの感情は僕にはわかりませんが…。この主人公、自分が努力したことを正当化しているような…。

◆この曲の"Songfact"情報を読んだところ、結構面白かったです。

まず、この曲の歌詞の物語は、バリーではなく作者デヴィッドの実体験がベースになっています(-_-;)。

 私たちにはちょっとした嵐のような時期がありました。私と最初の妻との間にはちょっとした浮き沈みがあり、この歌がそのことを歌っています。その経験からこの曲を書いています。私は別な人と熱い恋をしていた時期があり、あるとき、恐れがすべて消えてしまいました。私にもなんでだかわからず、またとてもミステリーのようです。
 音楽が最初に浮かびました。そして歌詞で"That up/down, trying to get the feeling again."という部分です...。

まあデヴィッドの体験は横に置いといて(←置いとくんかーい)、面白かったのは次のところです。

 この曲は本当のところ、カーペンターズのために書いた曲でした。彼らが曲を探していると聞いたものでね。でも彼らはレコードにはしなかった。その代わりにバリーがレコードにして、大ヒットとなりました。カーペンターズは1995年のアルバム"Interpretations"にてこの曲をリリースしましたね。カレンがレコーディングしていたことにびっくりしました。

 はい、そうなんですね。当初はカーペンターズに書いた曲だったのです。でもなぜバリーが?というと、このことも書かれていました。デヴィッドにはエド・シルヴァーズという友人がいて、彼はワーナー・ブラザースの社長でした。このエドがデヴィッドのデモテープをベット・ミドラーに聴かせていたところ、ベットと一緒に仕事をしていたバリーがこの曲"Tryin' To Get..."に注目した、ということのようです。面白いものですね。

カーペンターズのバージョンの和訳はこちら。主人公を女性にして和訳しました…。

◆日本でのアルバムの邦題は当初「フィーリング」だったようですね。それが「歌の贈りもの」の大ヒットにより、邦題そのものが「歌の贈りもの」に変更になった…のかな。

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◆“フィーリング”が最高位10位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending 22nd May, 1976

ウイングス"心のラヴ・ソング"が1位に。2位がダイアナ"愛の二日酔い"ですよ。スゴイですねえ~。9位は名曲 僕の愛犬シャノンの歌です…。
10位を2週間、というのがバリーのこの曲のチャート上の成績でした。

-1 3 SILLY LOVE SONGS –•– Wings 
-2 5 LOVE HANGOVER –•– Diana Ross 
-3 4 FOOLED AROUND AND FELL IN LOVE –•– Elvin Bishop 
-4 1 BOOGIE FEVER –•– The Sylvers
-5 7 GET UP AND BOOGIE (That’s Right) –•– Silver Convention 

-6 2 WELCOME BACK –•– John Sebastian 
-7 9 HAPPY DAYS –•– Pratt and McClain 
-8 14 MISTY BLUE –•– Dorothy Moore 
-9 10 SHANNON –•– Henry Gross
10 11 TRYIN’ TO GET THE FEELING AGAIN –•– Barry Manilow


◆バリーのエンターテインメントのステージです!



◆こちらデヴィッド・ポメランツのオリジナルです。