トンプソン・ツインズは“Hold Me Now”のヒット、アルバム「Into The Gap」(彼らの4枚目のアルバム)から聴きました。大ヒットとなりましたので、続いてリリースされる作品については、彼らも売れるか心配だったことでしょう。

 僕は5枚目のアルバム「Here's to Future Days」(フューチャー・デイズ)では、サードシングル“King For The Day”が好きでした。
 (星船さんブログには、こっちを取り上げてほしかったな)(^_^;)
 

◆さて、この曲“Lay Your Hands on me”ですが、アルバム「Here's to Future Days」の前にシングルとして英国でリリースされているんですね。知らなかった…。

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 そのあたりをWikipediaで見てみました。途中、トム・ベイリーの過労による入院や、そのときにナイル・ロジャースと知り合いになり、ライブ・エイドがあって、そして“Lay Your Hands on me”の米国でのリリースにあたってナイルがプロデュースを担当したり、色々あったようですね…! まとめると下記のようになります。

◆5作目のアルバムを作るべく、レコーディングは1984年末には開始されましたが、このときすでに完成されていたシングル「Lay Your Hands on Me」がイギリスで発売されました。アレックス・サドキンとボーカル/ギターのトム・ベイリーの共同プロデュース発表された。サドキンは、トンプソン・ツインズの過去2作のアルバムをプロデュースしていて、これらのアルバムはバンドにとってこれまでで最大の商業的成功を収めており、このニューシングルは英国シングルチャートで13位まで上昇しています。

◆しかし詳しい事情は僕にはわからないのですが、バンドはその後、サドキンと袂を分かつことを決意し、フランス・パリでベイリーが単独でプロデューサーを務め、ニュー・アルバムの制作を続けたようです。

そして1985年3月、アルバムの完成が近づき、次のシングル「Roll Over」のイギリスでの発売が間近に迫った頃、トム・ベイリーは突然病に倒れてしまいます。(診断は「神経衰弱」)。医師から休養を命じられた。この事件をきっかけに、すでに小売店に出荷されたものもあったにもかかわらず、「Roll Over」の全枚数を回収することになります。

◆アルバムの発売を延期したことで、バンドはプロジェクト全体を再考し、ベイリーの回復後に再び制作を開始します。この時、ベイリーの提案でナイル・ロジャースを共同プロデュースに起用しました。これは何でも、ベイリーは休養中にニューヨークでナイル・ロジャースと出会い、2人がクリエイティブな面で意気投合したということらしいです。

◆トンプソン・ツインズは1985年7月に行われたライブ・エイドに出演し、“Hold Me Now”とビートルズの「Revolution」をロック調にアレンジして演奏しましたが、このときステージにはナイル・ロジャース、マドンナ、ギタリストのスティーブ・スティーブンスが共演しています。
 ナイルはその後、「Lay Your Hands on Me」のプロデュースも担当し、サウンドをゴスペル風に変更するなどアレンジを行い、このヴァージョンがアメリカで6位を記録しました!

◆次のイギリスでのシングル「Don't Mess With Doctor Dream」は15位、続いて発表された「King for a Day」は、アメリカでは8位にランクインしました。

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Songwriter(s) Alannah Currie; Tom Bailey; Joe Leeway

Released in 1985
US Billboard Hot100#6
From the Album “”

*原詞の引用は太字

This old life seemed much too long
With little point in going on
I couldn't think of what to say
Words just vanished in a haze
I was feeling cold and tired
Yeah, kinda sad and uninspired

この馴れきった人生は送るのはあまりにも長い
続けることにたいした意味はないんだ
何を言えばいいのかわからないんだ
言葉が霧のなかに消えていくだけさ
寒さと疲れを感じてたんだ
そうさ 何だか悲しくてやる気も出ない

When it almost seemed too much
I see your face and sense the grace
And feel the magic in your touch

もうほとんど沢山だと思っていたのに
きみの顔を見ると 恵みを感じたんだ
きみのふれあいに僕は魔法を感じたんだ

Oh, lay your hands
Lay your hands on me
Oh, lay your hands (woo hoo)
Oh, lay your hands
Oh, lay your hands on me
Oh, lay your hands

ああ きみの両手を
僕の手の上にを重ねておくれ
ああ きみの手を
僕の手の上に重ねてよ
ああ きみの手を

Back and forth across the sea
I have chased so many dreams
But I have never felt a grace
That I have felt in your embrace
I was tired and I was cold
Yeah, with a hunger in my soul

海を越えて行ったり来たり
たくさんの夢を追いかけてきたよ
だけど 恵みは感じたことがなかったんだ
きみに抱かれて感じた恵みの愛を
僕は疲れて寒かった
そうさ 心が飢えていたんだよ

When it almost seemed too much
I see your face and sense the grace
And feel the magic in your touch

ほとんどもう沢山だと思っていたのに
きみの顔を見ると恵みを感じた
きみのふれあいに魔法を感じたんだ

Oh, lay your hands
Oh, lay your hands on me
Lay your hands, woo hoo
Oh, lay your hands
Oh, lay your hands on me
Oh, lay your hands, oooh

You know make me feel so good
Yeah, like I never ever thought I would
You know you make me feel so strong
And now our laughter just goes on and on (and on)
So c'mon lay your hands on me
'Cause close to you
Is where I really wanna be

きみはとてもいい気分にさせてくれる
そう 思ってもみなかった気持ち良さだ
きみはとても強く感じさせてくれる
そして今 僕たちの笑い声がずっと響き渡るんだ
そう おいで きみの手を僕の手に重ねてよ
そうきみのそばに行きたい
それは僕が心から望むことだから

And if it ever gets too much
I see your face and sense the grace
And feel the magic in our touch

もしそれがどうしても難しいことならば
きみの顔を見て 優しさを感じるよ
触れ合うことで魔法を感じられるさ

Oh, lay your hands
Lay your hands on me
Oh, lay your hands (Woo hoo)
Oh, lay your hands
Oh, lay your hands on me
Oh, lay your hands

ああきみの手を
僕の手のうえに乗せてほしいんさ
ああきみの手を
僕の頭上にかざしておくれ

あああなたの手を
私の頭上にかざしてください…

(Words and Idioms)
lay hands on… = …をつかむ, 握る, 捕らえる. (2) 〈人〉に襲いかかる; 〈人〉を傷つける. (3) 〈神父・牧師が〉〈人〉に手を触れて祝福する
There is little point in ... -=~にはあまり意味がない
hunger in one's soul 《a ~》心[魂・精神]の飢え

日本語訳 by 音時

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◆この“Lay Your Hands on me”ですが、相手の手(両手)を「私の上に」という命令形の言葉ですね。
 和訳するのに、この曲が恋愛の曲だとすると、『ああ、きみの両手を僕(の手)に重ねてよ』ってことだよな…と想像するのですが、おや?でも手に手を重ねてほしいのなら、
 “Lay your hands on mine(my hands)”ってなるのでは?とも思いました。

 だとすると“Lay your hands on me”って、“私の上に手をかざして“って意味にもなるぞ、と思いました。なんかどうなんでしょう、僕の頭のなかに浮かんだ光景は、頭のうえに教祖様に手をかざしてもらって力をいただく…などという宗教的な儀式の光景が…(^_^;)。
 この曲の歌詞の「You」ってそういうことかも?と思い、最後の最後の和訳のところだけ、そんな意味合いの和訳にしてしまいました。


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◆この読み?は当たっていたみたい?で、トム・ベイリー自身も「この曲は宗教的な意味合いはないけど、メタファーについて書いてるんだ」というようなことを言っています。

こちらもウィキペディアからの情報です。

・トンプソンツインズのフロントマンであるトム・ベイリーは、教会で聖歌隊を歌って音楽のトレーニングを受けました。この曲には宗教的な意味合いが含まれていますが、それだけではありません。
・この歌詞では、触れるだけで誰かを癒すことができることが語られています。また、ピーター・ガブリエルは1982年に「Lay Your Hands On Me」という曲を発表しています。

・僕たちが興味を持ったのは、その種のグループの儀式のアイデアで、特にアーティスト、パフォーマー、観客にどのように関係するのかということでした。... (この曲は)、特定の宗教的なものではないんだ。特定の宗教に特化したものではなくて、宗教的な儀式をそのように見て、ある種のメタファーを描いているのさ。僕はいつも、曲があることについてのメタファーであると同時に、別のことについてのメタファーでもあるというような、重層的なメタファーが好きなんだよ。これは、宗教的な音楽を書く際の、実に古くて崇高な伝統の一部なんだ。一般的に、宗教的な歌では神への愛を語るけどが、同時に人間を愛しているということも言ってるのさ。それは、その巨大な感情の重みを曲に呼び起こす方法なんだよ。


◆この曲には2つのバージョンが存在します。
冒頭の動画は1984年末にヨーロッパとオーストラリアで発売された最初のバージョンで、アレックス・サドキン&トム・ベイリーのプロデュースです。
 また1985年のバージョンは、ナイル・ロジャースとの共同プロデュースで、エレクトリック・ギターとゴスペル・コーラスを加えて作り直したもので、アメリカでシングルとして発売され、このバージョンはアルバムにも収録されています。


◆こちらがナイル・ロジャース USバージョン。エレキギターの間奏が入り、“Lay Your Hands”が“みんなで合唱!になっています。




◆Bon Joviの同名異曲“Lay Your Hands on me”。1989年全米7位。アルバム「New Jersey」のオープニングトラックです。
こちらの意味はライブでアーティスト向けて、手を差し出してくれ(そのパワーを俺にもくれ!)って感じかな。





◆Thompson Twins / Steve Stevens / Nile Rodgers / Madonna - Revolution (Live Aid 1985)