この曲"Victim Of Love"はドン・ヘンリーがリードボーカルをとっています。

 ただし、この曲のアイデアを主に出したのはドン・フェルダーだったので、フェルダーは自分が歌いたいと主張したので論争になったようです(^_^;)。フェルダーは、アルバム『ホテル・カリフォルニア』でリード・ボーカルを約束されたことを覚えていて、この曲こそはと思っていたようです!

 ドン・ヘンリーによると、ヴォーカルを録音させたものの、バンドの基準に合わなかったといいます。フェルダーの気を引くために、マネージャーのアーヴィング・アゾフがフェルダーを食事に誘い、その間にヘンリーが曲を作り完成させました。
フェルダー曰く:

"苦い思いをしたよ。あの曲をドンに奪われたような気がしたんだ。「でも、僕のボーカルとドン・ヘンリーのボーカルでは、議論のしようがなかったんだ…。

 フェルダーもヘンリーの方がボーカリストとしての実力があるのが明らかだ、ということから、身を引いたようですね。最終的には、作者クレジットは「ドン・ヘンリー、グレン、J.Dサウザー」を加えた4人の共作とされています。(この曲のSongfactsページからの情報です)

◆"Victim Of Love"って歌詞などではよく出てくる言葉。

“Victim”(Weblio辞書)
犠牲(者)、被害者、かも、えじき、(宗教的儀式における)いけにえ、人身御供(ひとみごくう)


“愛の犠牲(者)”…愛の被害者、愛のえじき、愛のいけにえ…?

「愛」するがゆえに?自分が痛めつけられ、傷つけられる彼女…?

"愛の犠牲(者)"ってことだけど、このまんま邦題にするのは避けたかったのかな。でもなぜに邦題が「暗黙の日々」…歌詞の物語で言えば、"愛の犠牲になっている彼女。そのことが暗黙になっている日々"を歌った歌ってことなんだろうけど…遠まわしすぎ!
HCoriginal

(Felder, Henley, Frey, Souther)

Released in 1976
From The Album"Hotel California"

*原詞の引用は太字

What kind of love have you got? 
You should be home, but you're not 
A room full of noise and dangerous boys 
still makes you thirsty and hot

おまえが手に入れたのはどんな愛?
家にいるべきなのに いないおまえ
騒音でいっぱいな部屋と危険な男たち
おまえの喉を渇かせて熱くさせる

I heard about you and that man 
There's just one thing I don't understand 
You say he's a liar 
and he put out your fire 
How come 
you still got his gun in your hand? 

おまえとアイツとの話は聞いたけど
ひとつ理解できないことがある
おまえはアイツが嘘つきで
アイツへの火は消えたって言うけど
それならどうしてまだ
アイツの銃を手に握ってるんだ?

Victim of love
I see a broken heart 
You got your stories to tell 

Victim of love
it's such an easy part 
and you know how to play it so well 

愛の犠牲者
俺には傷ついた心が見える
おまえも言いたいことがあったのに

愛の犠牲者
たやすく演じられる役回りさ
おまえは上手な演じ方をわかってる

Some people never come clean 
I think you know what I mean 
You're walkin' the wire, pain and desire 
Looking for love in between 

本当のことを話さない人もいる
おまえは俺の言いたいことがわかるよな
おまえは綱渡りをしてるんだ 苦痛と欲望の
その間にある愛を探してる

Tell me your secrets, I'll tell you mine 
This ain't no time to be cool 
And tell all your girlfriends, 
you "been around the world" friends 
that talk is for losers and fools 

おまえの秘密を教えてくれ 俺も教えるから
カッコ良く振る舞ってる場合じゃない
おまえの女友だちみんなに伝えることさ
"世界を見て回ってきた"っていう友だち達さ
負け組と愚か者たちへの話になるね

Victim of love, 
I see a broken heart 
I could be wrong, but I'm no 

Victim of love, 
we're not so far apart 
Show me, 
what kind of love have you got? 

愛の犠牲者
傷ついた心は隠せない
間違ってるかもしれないけど
俺はそんなことはしない

愛の犠牲者
俺たちはそんなに違ってない
教えてくれ
おまえの手にした愛ってどんな愛?

Victim of love, 
you're just a victim of love 
I could be wrong , but I'm not 

Victim of love, 
now you're a victim of love 
What kind of love have you got? 
What kind of love have you got? 
What kind of love have you got? 

愛の犠牲者
おまえは愛の犠牲者なんだ
俺は間違ってるかもしれないけど
犠牲者なんかじゃない

愛の犠牲者
ああ おまえは愛の犠牲だ
おまえの愛ってどんな愛?
おまえの愛ってどんな愛?
おまえの愛って…

(Words and Idioms)
put out a fire=消火する, 火事を消す
come clean=真実を話す, 白状する, 泥を吐く

日本語訳 by 音時


eagles-hotel-california-1977-33


 ドン・フェルダーはイーグルスのアルバム"On The Border"のセッションの途中でバンドに迎え入れられました。当初は「呪われた夜」の後にバンドを脱退するバーニー・レドンと知り合いだったようですね。イーグルスがカントリーミュージックの方向から厚みのあるヘヴィなバンドサウンドの方向に舵を切る役割を果たしました。

◆アルバム「呪われた夜」では、表題曲のギターの音に魅かれましたね~。また収録曲「Visions」ではリード・ボーカルを取っています(イーグルスの曲でドン・フェルダーが歌っている曲はこの一曲だけ、です)
 でも何と言ってもドン・フェルダーと言えば「ホテル・カリフォルニア」でしょう!歌詞はドン・ヘンリーが書いているものの、作曲、コード進行、ギター・ソロ、アレンジなどはドン・フェルダーの手掛けたもの、ってことが今では明らかになっています。

◆ドン・フェルダーはイーグルス解散後、ソロで活動していましたが、1994年の再結成の際も参加しました。しかし2000年に解雇になりました。(当時は、グレン・フレイから「バンドに貢献していない。」と解雇を言い渡されたということになっていましたが、実際の理由は音楽的なことではなく、バンド内の関係で、グレンとドン・ヘンリーの横暴にたいしてドン・フェルダーが不満をもらし続けたことに業を煮やしたグレイの決断でだったと言います)。そして…裁判沙汰に(-_-;)。 

 2010年には「ドン・フェルダー自伝 天国と地獄 イーグルスという人生」(Heaven and Hell: My Life in The Eagles) 、いわゆる暴露本も発表されました。僕は怖くて読んでいません…(^▽^;)。→昨年(2020年 図書館で借りて読みました)

◆ドンのソロ・アルバムから"Girls In Black" 2015年のミルウォーキーでのライヴから。





◆こちらも同ミルウォーキーでのライヴから。イントロのギターが!イーグルスの曲"魔女のささやき(Witch Woman)"。




◆そしてこちらも…"ホテル・カリフォルニア"だ!ギターソロ、この音なんだよな~。