(既掲載曲です)

 2001年9.11世界同時多発テロが起きました。そしてイラク戦争が2003年3月に起きます。イラク戦争が勃発したとき、Green Dayはアルバムレコーディング中だったといいます。


 そのアルバムが「American Ideit(アメリカの馬鹿者)」。日本語の「馬鹿」は英語だと“fool”“ridiculous”“Stupid”“Silly”などもありますが、“Idiot”は“思慮に欠ける馬鹿者”というニュアンスのようです。

◆アメリカンである自分達が「アメリカの馬鹿者」というアルバムを出し歌う...このアルバムはその後ロック・オペラにもなるように全体を通して、「反戦」を歌っていますが、それを自分達アメリカ人のアイデンティにもふれて考えさせられるものになってますね。

 といっても、僕は Green Day をアルバムで本格的に聞いたのはこの「American Idiot」からで、そう語る知識や経験もありません(^_^;)。
 最初のシングルになった「Boulevard Of Broken Dreams」が、あわや(!?)全米1位になりそうで応援してて、慌てて?CDを購入。(Billboard chartでは50centの「Candy Shop」に次いで第2位まで上昇。その後「Candy Shop」強し、Green Dayが力尽きてダウンしたあと、さらに1位を続け、合計9週連続1位だった)

 そしてこのアルバムが「聴きこむべきアルバム」であると思い、それから...聴きました。このアルバムを軸に過去にさかのぼり…。


51hEmgnC32L._AC_SX355_


Songwriters: ARMSTRONG, BILLIE JOE/WRIGHT III, FRANK EDWIN/PRITCHARD, MIKE RYAN
lyrics © Warner/Chappell Music, Inc.

Released in 2005
US Billboard Hot100#6
From The Album“American Idiot”

*原詞の引用は太字

Summer has come and passed 
The innocent can never last 
Wake me up when September ends 

夏は来ては過ぎていってしまう
純粋な思いも長くは続かない
僕を起こすのは9月が終わったらにして

Like my fathers come to pass 
Seven years has gone so fast 
Wake me up when September ends 

父親がこの世を去ったように
7年の月日も足早に過ぎて行った
僕を起こすのは9月が過ぎてからにして

Here comes the rain again 
Falling from the stars 
Drenched in my pain again 
Becoming who we are 

ああ また 雨が降ってきた
星達の間から降り注いでくる
また再び 僕の痛みに染みとおる
悲しみがあるからこそ
僕らが僕ら自身になれるのだろう

As my memory rests 
But never forgets what I lost 
Wake me up when September ends 

記憶は止まってしまうかもしれないけど
失ったものを忘れるわけにはいかない
9月が過ぎるまで僕を休ませておいて

Summer has come and passed 
The innocent can never last 
Wake me up when September ends 

夏は来ては過ぎていく
純粋な人の生命も永遠ではないんだ
僕を起こすのは9月が過ぎてからにしてくれ

Ring out the bells again 
Like we did when Spring began 
Wake me up when September ends 

鐘をもう一度 鳴らすんだ
春が始まった時の僕たちのように
9月が終わったら僕を起こしてほしいんだ

Here comes the rain again 
Falling from the stars 
Drenched in my pain again 
Becoming who we are 

ああ また 雨が降ってきた
星達の間から降り注いでくる
また再び 僕の痛みに染みとおる
その悲しみがあるからこそ
僕らはようやく僕らになれるんだ

As my memory rests 
But never forgets what I lost 
Wake me up when September ends 

記憶は止まってしまうかもしれないけど
失ったものは決して忘れない
9月が終わったら僕を起こしてくれよ

Summer has come and passed 
The innocent can never last 
Wake me up when September ends 

夏は来ては過ぎ去っていく
純粋な人の生命もいつまでもは続かない
9月が行ってしまうまで僕を起こさないで

Like my fathers come to pass 
Twenty years has gone so fast 
Wake me up when September ends 
Wake me up when September ends 
Wake me up when September ends

僕の父親がこの世を去った時のように
20年もの年月が足早に過ぎて行った

9月が終わったら起こしてくれ
9月まで起こさないでよ
9月はまだ眠っていたいんだ
9月が終わったら…僕は目を覚ます

日本語訳 by 音時


6191UqQ-xCL._AC_SL1200_

◆“Wake me up when September ends“は、どう和訳するのが正しいんだろう?

そのまんまだと、“9月が終わったら起こしてくれ“なのですが、主人公の気持ちは

9月になるまで起こさないでくれよ
9月中はまだ眠っていたい

の方が近いような気がします。そして勝手ながら、

9月が終わったら僕は目を覚ますんだ

と前向きな気持ちに捉えました。

◆歌詞にもある通り、この曲はGreen Dayのフロントであるビリー・ジョー・アームストロングの亡くなった父親のことを歌っています。Wikipediaによれば、10歳の頃のこと。彼にとって父親は“Innocent”な存在だったんでしょう。夏が過ぎる頃、父親の死を思い出し、彼は涙が止まらなくなります…。

 夏から秋にかけて...爽やかで、楽しい夏が去り、物悲しい季節、だんだん風が冷たくなってきます。9月は残暑もあり、夏と秋の境目であいまいな月、10月になればはっきりした「秋」となり、夏はもう遠い季節。そんな9月と父親の想い出がリンクし、『9月はまだ眠っていたい』と歌わせたのだろうと思います。

 一方、この曲のPVは若い男女のカップルが戦争によって引き裂かれていく様子が描かれているようです。多くの人にとって、とくにアメリカ人にとっては9月は9.11とイラク戦争を思い出させる月。この曲のヒットはおそらく、ビリーの悲しみと父親の追悼を歌ったこの曲を、自分達を歌った曲なんだと感じさせるものがあったものと思います。

◆緑豊かな田舎で楽しく暮らしていたカップル。二人はずっと一緒さと誓いあっていた。しかし…彼は兵士に志願していた…2人の将来のために、それが2人のためだと思って。