Fast Car”そして“Talking’bout A Revolution”などで、1988年にセンセーショナルなデビューを飾ったトレイシー・チャップマン。
 翌年にはセカンドアルバム“Crossroads”がリリースとなり、注目していた僕はすぐにCDレンタルをしました(←買わんのかい!)


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◆一通り聴いたなかで、一番気に入って印象に残ったのがこの曲“Subcity”。だってちょっと淋しい感じではあるけれど、ブルースハープも爽やかでアコースティックギターもいい感じの曲でしたから...。
でも曲の雰囲気とは打って変わって、歌詞の物語はハードでした...(-_-;)。

◆“Subcity”って辞書を引いても出てこない。トレイシーの造語なんでしょうかね。
接頭語として“Sub”を辞書で調べてみると、

sub- 【接頭】 下の、下位の、従属の、副~、亜~

等の意味が出てきます。

 地下鉄が“Subway”というように和訳で“地下の都市”と記述しようかとも思ったのですが、地下という位置の問題ではないんだろうと思いました。
“下の都市”“下位の生活”というように、位置の問題ではない、階層や地位、社会格差っていう意味なんだろうなあと思いました。


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トレイシーは弱い者の立場から生きる権利を訴えかけています。

トレイシーのセカンドアルバムからは、この曲“Subcity”も入れて3曲のシングルがリリースされましたが、いずれも全米のトップ40入りはせず、不発に終わっています...。

でも、僕はこういう歌こそ和訳しなくちゃ...なんて思ってしまいました(-_-;)。


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Lyrics as written by Tracy L Chapman
Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC


Released in 1989
From the album“Crossroads”

*原詞の引用は太字です

People say it doesn't exist
Cause no one would like to admit
That there is a city underground
Where people live everyday
Off the waste and decay
Off the discards of their fellow man

誰もそんなもの存在しないと言う
だって誰も認めたくはないからね
でも一目につかない都市があるのよ
毎日人々が生活しているの
捨てられて腐敗したものに頼って
同じ人間が廃棄したもので生きてるの

Here in subcity life is hard
We can't receive any government relief
Won't you please, 
please give the President my honest regards
For disregarding me

下層の都市じゃ 生きることすらつらい
政府の援助は何一つ受けられないの
お願いよ 
大統領閣下に
アタシの素直な想いをお伝えください
“無視しないでよ”って

They say there's too much crime 
in these city streets
My sentiments exactly
Government and big business 
hold the purse strings
When I worked I worked in the factories
I'm at the mercy of the world
I guess I'm lucky to be alive

犯罪が多すぎるって言われてる
この都会の街路ではね
でも率直に言わせてもらうと
政府やビッグビジネスがその問題の根幹よ
工場で一生懸命働いていたって
世間に振り回されるだけ
生きてるだけで幸運なんだってわかったわ

Here in subcity life is hard
We can't receive any government relief
Won't you please, 
please give the President my honest regards
For disregarding me

下層の都市じゃ 生きること自体が戦い
政府のお助けなんか何も受けられない
頼んだわよ 
大統領閣下に
アタシの感謝をお伝えくださいな
“無視してどうもありがとう”って

They say we've fallen through the cracks
They say the system works
But we won't let it
Help
I guess they never stop to think
We might not just want handouts
But a way to make an honest living
Living this ain't living

落ちこぼれたんだって言われるわ
システムは稼働してるからいいんだってさ
だけどアタシたちは受け入れない
助けてよ
ヤツらは考えることを止めないわ
欲しいのはただの配布物なんかじゃない
実直に生きていくその方法なのよ
こんな風に生きてるのって
生きているなんて言えないわ

Here in subcity life is hard
We can't receive any government relief
Won't you please, 
please give the President my honest regards
For disregarding me

What did I do deserve this
Had my trust in god
Worked everyday of my life
Thought I had some guarantees
That's what I thought
At least that's what I thought

こんな目に会うなんてどうしてなの?
神さまを信じる心を持って
毎日毎日働いてきたのに
何かしらの保証があるって思ってた
ただそう思っていたの
少なくとも私は そう思ってたのに

Here in subcity life is hard
We can't receive any government relief
Won't you please, 
please give the President my honest regards
For disregarding me

下層の都市で生きるのはつらい
政府の援助なんてあてにならない
だからそうよ 
大統領閣下に
嫌味のひとつでも言いたくなる…

Last night I had another restless sleep
Wondering what tomorrow might bring
Last night I dreamed
A cold blue light was shining down on me
I screamed myself awake
Thought I must be dying
Thought I must be dying

昨日の夜も また眠れない夜を過ごした
明日はどうなっちゃうのか不安でいっぱい
昨晩 夢を見たの
冷たい青い光が私を照らしてた
私は叫び声をあけて起きたの
私は死にかけてるんだって
私は死んじゃうに違いないって

Here in subcity life is hard
We can't receive any government relief
I'd like to give Mr. President my honest regards
For disregarding me

ここ 下層都市じゃ生きるのもつらい
政府の援助なんてもらったこともない
大統領閣下に私の感謝をお伝えください
“無視しないでよ”って

Disregarding me
Disregarding me
Disregarding me
Disregarding me

Disregarding me
Disregarding me
Disregarding me
Disregarding me
Disregarding me

私だって生きてるの
私の声を聞いて
私の暮らしを知って
私の生活を考えて

軽視しないで
無視しないで
軽視しないで
無視しないで

 (Words and Idioms)
underground=地下の[にある]、人目につかない
live off=~で生計を立てる、~に寄生して生きていく
decay =腐る,朽ちる;腐らせる
discard=捨てる、捨て去る、廃棄{はいき}
fellow man=人間同士
disregard=(…を)無視する,軽視する
sentiment=気持ち、感情、心情、感傷
hold the purse strings=財布の紐を握る
at the mercy of=~の意のなすがままに、~に翻弄されて
Fall through the cracks=システムや組織の中で目が届かずに見落とされる状況
Handout=配布物、配布資料

日本語訳 by 音時(On Time)





◆セカンドアルバム“Crossroads”タイトル曲です。