何度聴いても名曲です。平和を希求するこの歌が、歌い手によって強かったり優しかったりします。
ベット・ミドラーの歌うこの曲は、心のなかの平和を求める想いを優しく聴者に呼びかけ、でも根底の力強さをを歌っていると思います。1991年のグラミー賞"Song Of The Year"受賞曲です。
◆この曲の作者はジュリー・ゴールド。アメリカのシンガー・ソングライターです。
1987年、ジュリーは30歳のとき、ケーブルテレビ放送局(Home Box Office)の秘書をしながらこの曲を書いたようですよ。ジュリーは多くのアーティストやレコード会社にこの曲をレコーディングしないかと送ったようですが、当初は誰からも返事はなし。そのなかでカントリーシンガー"ナンシー・グリフィス"が1987年のアルバム"Lone Star State Of Mind"でこの曲を取り上げて歌いました。
ナンシーはこの曲をとても力強く歌っています。平和を希求するメッセージが伝わってくるようです。
また、作者であるジュリー・ゴールドの"From A Distance"も映像がありました。ピアノ弾き語りで、優しく、強く、弾いて歌います。
Writer(s): Julie Gold
Released in 1990
US Billboard Hot100#2
From The Album“Some People Lives”
:原詞は太字
From a distance
the world looks blue and green,
and the snow-capped mountains white.
From a distance
the ocean meets the stream,
and the eagle takes to flight.
遠くから見れば
世界は青と緑 そして
山は雪に覆われて白く見える
遠くから見れば
海は小さな川へとつながって
鷲は空を舞ってるの
From a distance,
there is harmony,
and it echoes through the land.
It's the voice of hope,
It's the voice of peace,
It's the voice of every man.
遠くから聞こえる
そこにはハーモニーがあって
世界中に響きわたってる
それは希望の声
それは平和の声
それはあらゆる人の声
From a distance
we all have enough,
and no one is in need.
And there are no guns,
no bombs, and no disease,
no hungry mouths to feed.
遠くから見れば
私たちはみな満ち足りてる
困ってる人などいない
そこには銃などなく
爆弾も 悪い病気もない
そこには飢えた人もいないの
From a distance
we are instruments
marching in a common band.
Playing songs of hope,
Playing songs of peace.
They're the songs of every man.
遠くから見たら
私たちはみな楽器なの
行進する同じ楽団の一員よ
希望の歌を奏で
平和の歌を奏でるの
誰もが歌を奏でてる
God is watching us.
God is watching us.
God is watching us from a distance.
神様が見守ってる
私たちをあたたかく
見守ってるのよ はるか遠くから
From a distance
you look like my friend,
even though we are at war.
From a distance
I just cannot comprehend
What all this fighting is for.
遠くから見れば
あなたは私の友だちと似てる
たとえ戦火のなかにいたとしても
遠くから見れば
私はちっとも理解できないの
何のために人々は争うのか
From a distance
there is harmony,
and it echoes through the land.
And it's the hope of hopes,
it's the love of loves,
it's the heart of every man.
遠くから聞こえる
そこにはハーモニーがあって
世界中にこだまする
それは希望のなかの希望
それは愛のなかの愛
みんなの心のなかはそうなってるの
It's the hope of hopes,
it's the love of loves.
This is the song of every man.
それは希望のなかの希望
それは愛のなかの愛
これはみんなのことを歌った歌
And God is watching us,
God is watching us,
God is watching us from a distance.
Oh, God is watching us,
God is watching.
God is watching us from a distance.
神様が見守ってる
私たちをあたたかく
見守ってるのよ はるか遠くから
神様が見守ってる
私たちをあたたかく
見守ってるのよ はるか遠くから...
(Words and Idiom)
snow-capped mountain=雪を頂く山
日本語訳 by 音時
◆ジュリー・ゴールドはこの"From A Distance"についての絵本も発行し、メッセージを発しています(絵は本人ではなくJane Ray。いろんな絵本の絵を書いている画家さんですね)。今回この曲の背景を調べてるときにこの絵本を発見し、思わず買ってしまいました(^▽^;)
ジュリーのあとがきの一部を引用します。
三十歳の誕生日を前に狭いアパートで創ったわたしのささやかな歌が、国をこえ世代をこえてこどもたちに多くの喜びをもたらしてきたかと思うと、感激でいっぱいです。
いつかきっと、世界中から銃も、爆弾も、病もなくなる日がくることでしょう。それが、わたしの"何よりもたいせつな願い"です。
"From a Distance"…僕たちは目の前のことで一喜一憂し、一生懸命です。それが平凡な人生です。でもときには"From a Distance"から見つめてみたいと思います。この時代を生き、次の世代にこの世界を渡していく、一人の存在として。
(絵本を購入)
ジュリー ゴールド
◆1分ちょっとの動画です。宇宙から地球を見てみると…この星に様々な人種がいて、宗教があって、戦争もあって...なんて想像つきませんよね。数ある星のなかで、希望や愛の歌が響き渡って聞こえてくるような星があったら...とても素晴らしいことだと思います。
◆ベットの歌うこの曲、全米シングルチャートでも大ヒットしたのですが、最高位は2位で、1位まであと一歩と残念でした(-_-;)
US Top 40 Singles For The Week Ending December 15, 1990
TW LW TITLE Artist – Weeks on Chart (Peak Position)
1 1 BECAUSE I LOVE YOU (THE POSTMAN SONG) –•– Stevie B – 11 (1)
2 3 FROM A DISTANCE –•– Bette Midler – 11 (2)
3 2 I’M YOUR BABY TONIGHT –•– Whitney Houston – 9 (1)
4 10 JUSTIFY MY LOVE –•– Madonna – 5 (4)
5 7 IMPULSIVE –•– Wilson Phillips – 10 (5)
6 8 THE WAY YOU DO THE THINGS YOU DO –•– UB40 – 14 (6)
7 9 TOM’S DINER –•– D.N.A. Featuring Suzanne Vega – 11 (7)
8 4 SOMETHING TO BELIEVE IN –•– Poison – 11 (4)
9 12 FREEDOM –•– George Michael – 8 (9)
10 11 HIGH ENOUGH –•– Damn Yankees – 13 (10)
コメント
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ハリアー黒です。
From A Distanceに同名異曲があった事を思い出しました。
P.F.スローンの「孤独の世界」(From A Distance)は1966年発売。
前年、彼が書いた「明日なき世界」(Eve Of Destruction)はBarry McGuireが歌いチャートNo.1を獲得しています。
本人歌唱版も発売したが話題にならなかった。
そこで一念発起したのか「俺は歌手なんだ」と本作をリリース。
今にして思えば、何故?と思うが、米国ではチャート100位にも上がらなかった。
この年、日本でも発売されたものの、やはり結果は今ひとつ。
3年後、レーベルの取扱いがビクターから東芝に変わり再発。
すると、これが大ヒット。
露骨な反戦歌ではないものの、結構哲学的な内容を切々と歌っています。
数奇な運命をたどり日本だけでヒットした名曲です。笑
ベット・ミドラーの歌も「From A Distance」の曲名通り、自身の立場を離れ、世界を俯瞰するような内容でした。
時代はキューバ危機(1962)からベトナム戦争撤退(~1973)へと続く正に冷戦真っ只中。
当時のミュージシャンは横の連帯が密だったらしく、スローンもジョン・フィリップス(ママス&パパス)と共同生活し「夢のカリフォルニア」ではギター参加している。
一時期はディランの継承者として期待されたスローン。
でも70年代以降は鳴かず飛ばずの状態が続いた。
そんな状況を憂えたのか、ジミー・ウェッブとジャクソン・ブラウンが、その名もズバリ「P.F.スローン」という曲を作ってデュエットしている。
7年前の今日、2015年11月16日腎臓がんで逝去。享年70。
でも、どうにかしないと。
そんな時、このサイトにたどり着きました。
世界中の人々が、この歌声に耳を傾ける事を願います。
名曲ですね。
心の隅々まで浸み入るようです。
東京の桜開花もあと数日。
例年だと3月下旬頃ですが、温暖化の影響でしょうか?
今年はやけに早いですね。
人は生まれてから死ぬまで、出会いと同じ数の別れを経験します。
とりわけ桜が咲く季節は、旅立ちと出会いが交錯する時期。
技術の進歩はダイナミックな移動を可能にし、北半球と南半球。アジアとヨーロッパなど、はるか遠くの人々をごく短時間に結びつけることができます。
史上初めて人類を月に送ったアポロ計画では、多くの飛行士が宇宙から地球を撮影しました。
月面上から撮影した「地球の出」や17号が撮影した「ザ・ブルー・マーブル」が特に有名です。
今になって振り返れば、アポロ計画が残した最も重要な功績は「月の石」などではなく、地球が壊れやすい小さな惑星にすぎないという認識を共有した事だったと痛感します。
1960年代末、スチュアート・ブランドが創刊したヒッピー向け雑誌「全地球カタログ」もアポロ宇宙飛行士が撮影した写真を使い、多くの若者が影響を受けました。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズもその一人。
2005年スタンフォード大学卒業式で「全地球カタログ」最終号からの言葉を引用し、あのスピーチを締めくくりました。
「Stay hungry. Stay foolish.(渇望せよ、愚直であれ)」