このブログでこれまで取り上げてきた10ccの曲の和訳記事はこちらです。

10ccのステージは幸いにも2度ほど観る機会がありました。2015年1月のBillboard Liveの10ccのステージ、彼らの演奏力も高く…はい、僕も"酔いしれて"しまいました。

「磨き上げられたハイレベルなバンド・サウンドに酔いしれる夜」
(Billboad Live Tokyo のライブレポート

でもこの曲「恋人たちのこと(People In Love)」はまだライブでは聴いたことはないんですよね…。
やっぱりこの曲は"エリックの曲"だからなのかな。

コロナ禍のなかでなかなか海外アーティストの来日公演は実現しませんが…待ってます…。

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◆この曲「People In Love」。僕は好きな曲ですが、昔からの10ccファンの方からすると、甘いラヴ・ソングはいかがなものか?など複雑な思いで聴く人も多いようです。そして10ccの4人が2つに分裂するきっかけをつくった因縁の曲であるとも言えるようです…。

 そのあたりについて(ウィキペディアの解説を)要約してみると…

・4人だった10cc。エリック・スチュワートとグレアム・グールドマンは、バンドとしてのツアー活動を重視していましたが、ケヴィン・ゴドレイとロル・クレームはスタジオでの曲制作に集中したいと考えているなど、お互いの音楽性の違いが人間関係をも消耗させる原因になっていました。

その結果、レコード制作は4人で行うが、ツアーはエリックとグレアムだけで行うという暫定合意がなされたりしました。ケヴィン、ロル組は、自分たちがマンチェスター工科大学の協力で開発したギター・アタッチメント"ギズモ"のデモンストレーション・アルバムに取りかかっていきます。

・10ccの5thアルバム「Deceptive Bends」のためのレコーディングがスタートしました。ゴドレイとクレームは、このアルバムの製作途中までは、メンバーに在籍していました。

ダウンロード10cc


 「恋人たちのこと」の作者はエリックとグレアムの名前がクレジットされていますが、この曲についてゴドレイとクレームが風変わりなアレンジが施し、クレームによってバッキングヴォーカルが大幅に追加された(「ブードゥー・ブギー・ヴードゥー」バージョン)ましたが、このトラックはアルバム収録には「ひどい」と判断されました。ゴドレイとクレームは、その後少ししてバンドを去っていきました…。

・その結果、アルバムに収録されている「グッド・モーニング・ジャッジ」と「恋人たちのこと」のオフィシャルバージョンは、数人のサポートミュージシャンの補助のもと、エリックとグレアムのみで演奏しています。

・「恋人たちのこと」の「ブードゥー・ブギー・ヴードゥー」バージョンは、10ccのエディションボックスセット「テクノロジー」 (2012年) に収録されています。(下記に動画あり)


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Songwriters ERIC STEWART

Released in 1977
US Billboard Hot100#40
From The Album"Deceptive Bends"(愛ゆえに)

:原詞は太字

People in love do funny things
Walk under buses 
and burn their wings

People like us do nothing right
Talk to the ceiling into the night

恋してる人達はおかしなことをする
バスの下を歩いてみたり
背中の翼を焼いてみたり

僕らのような人達は
まともなことは何一つしない
天井に話しかけて夜を過ごしたりする

Look at the smile in her eyes
I knew I was right in my bones
I feel the turnin' of wheels as it grows
Look at my face in her eyes
Am I right am I wrong
She's given me butterflies all along.

あの娘の瞳の微笑を見てごらん
僕は生まれつき正しかったのさ
感情が大きくなるにつれ
恋の車輪が回りだしたのがわかる
あの娘の瞳に僕の顔が映ってる
僕は正しいの? それとも間違ってる?
あの娘の前じゃ僕はドキドキしっぱなしさ

Ooh sitting alone in the dark (hey, hey)
Ooh feeling you close to me
We're in a dream 
but the hands on the clock seem to know
Tell me it's time to go.

ああ 暗闇のなかで独り座ってる…
ああ きみがすぐそばにいるみたいだよ... 
僕らは夢のなか
でも時計の針はわかってるようだね
もう時間だよ って教えてくれるのさ

People in love play silly games
Running in circles and ev'rywhere

People like us can make believe
Love is forever and I'll never be.

恋してる人達は愚かなゲームをする
輪になってグルグルと走り回るのさ
あちらでもこちらでも

僕らのような人達は
愛は永遠なんだって信じるふりをする
僕は決してそうは思わないけど…

Ooh sitting alone in the dark (hey, hey)
Ooh feeling you close to me
We're in a dream 
but the hands on the clock seem to know
Tell us it's time to go.

ああ 暗闇のなかで独り座ってる…
ああ きみがすぐそばにいるみたいだよ... 
僕らは夢のなか
でも時計の針はわかってるのさ
もう時間だよ って教えてくれるんだ

(Words and Idioms)
in one's bones 生まれつき 
as it grows=大きくなるにつれて
cf.You give me butterflies"=君の前で僕の胸はドキドキ

日本語訳 by 音時

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◆「恋をした人たち」はおかしな行動をする…恋人どうしの僕たちもそうだね…。

"People In Love"と"People Like Us"は同じ意味で使っているのだろうと思います。恋人たちのことを歌の題材に取り上げて、ストレートではないにせよ、恋の素晴らしさを歌ってるのには違いないですよね。ゴドレイとクレームはそういうのが嫌いだったんでしょうか。

アレンジについても様々な実験的な試みをします。下の「ブードゥー・ブギー」バージョンを聴いてみると…うむ、やっぱりこの曲を台無しにしてる気がします。それは僕の聴いていた「People In Love」という曲を変な風にいじって欲しくないという想いから来るんだろうな。作者のエリック・スチュワートからすると、「俺(たち)の作った歌をあれこれいじくり回さないでくれ!」ということだったんじゃないですかね。

◆そんな"いわくつき"の作品のようですが、ぜひライブでも演っていただけたら…と思いますm(__)m

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◆"People In Love"が最高位40位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending 25th June, 1977

マックの「ドリームス」に代わって、マーヴィン「黒い夜」が首位に。ロッキーのテーマが間近に迫ってます。8位ショーン・キャシディが急上昇ですね。ドゥロンロンロンロドゥロンロン。10cc「恋人たちのこと」は40位を1位のみ。翌週はダウンです(-_-)

-1 2 GOT TO GIVE IT UP (Part 1) –•– Marvin Gaye
-2 3 GONNA FLY NOW (Theme From “Rocky”) –•– Bill Conti
-3 6 UNDERCOVER ANGEL –•– Alan O’Day
-4 4 FEELS LIKE THE FIRST TIME –•– Foreigner
-5 5 LUCILLE –•– Kenny Rogers

-6 1 DREAMS –•– Fleetwood Mac
-7 7 LONELY BOY –•– Andrew Gold
-8 16 DA DOO RON RON –•– Shaun Cassidy
-9 10 ANGEL IN YOUR ARMS –•– Hot
10 11 JET AIRLINER –•– The Steve Miller Band

40 41 PEOPLE IN LOVE –•– 10cc
◆"People In Love"のヴードゥー・ブギーバージョンです。 元歌を知らなければそこそこ悪くはないかとも思うのだが…ただ、元歌を生かしてるというアレンジではないよな。