そのままだと音が小さく聴こえますが、ヘッドホンで聴いていただくと、メインボーカルが左、コーラスが右で分かれていてなかなか素敵です)


 4~5年前に購入したラヴィン・スプーンフルのベストアルバム。「魔法を信じるかい?」が好きで購入したのですが、やっぱり他にもいい曲が沢山ありました!

◆特に気に入ったのがこの曲"You Din't Have To Be So Nice"。

 コーラスがなかなかよい!と思っていたら、なんとビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンは、この曲におけるボーカルの重ね方を参考にして「神のみぞ知る(God Only Knows)」(1966年)を制作したとのこと!なんか嬉しかったです(^▽^)。

◆"きみはそんなに素敵である必要はなかったよ"というタイトルで、歌詞ではそのあと"anyway(どっちにしても)"、"I would have liked you(きみを好きになっていただろう)"ですね。
 英文法では、「would have + 動詞の過去分詞」=意味「(もしあの時~だったら)~したであろう」です。

 うーむ、それが邦題で"うれしいあの娘"っていうのがどうしてそうなったのか、よくわかりません。
 
ureshiianoko

 原題の主旨を生かしてそれに沿って邦題をつけるなら、それこそビリー・ジョエルではないけれど「素顔のままで」っていうのがピッタリのように思います!
 「きみはきみのままで」とか「きみはそのままで」とか、どうでしょう? ←いまさら誰に提案してるの?


_You_Didn't_Have_to_Be_So_Nice__Lovin'_Spoonful_single


Songwriter(s) Steve Boone, John Sebastian

Released in 1965
US Billboard Hot100#10
From The Album“Daydream”

:原詞は太字

You didn't have to be so nice
I would have liked you anyway
If you had just looked once or twice
And gone upon your quiet way

きみはそんなに素敵じゃなくてよかったんだ
どっちみち 僕はきみを好きになってただろう
一、二度 僕をただ見てくれたなら
それで おとなしいきみに戻っていいんだよ

Today I said the time was right for me to follow you
I knew I'd find you in a day or two
And it's true

今日はきみについていくのにいい日だね
一日か二日したらきみに会えるとわかってる
そうさ本当だよ

You came upon a quiet day
You simply seemed to take your place
I knew that it would be that way
The minute that I saw your face

きみと出会ったのも静かな日だった
自然に僕の心のなかに入ってきたみたいさ
でも そうなるってわかってたんだ
きみの顔を見た瞬間でそう思ったから

And when we've had a few more days 
(When we've had a few more days)
I wonder if I'll get to say 
(Wonder if I'll get to say)
You didn't have to be so nice
 (Be so nice)
I would have liked you anyway
 (Would have liked)

あと何日か一緒に過ごしてたなら
(二人で何日か過ごしてたら)
僕は口にしていたのかな?
(口に出しちゃってたかな?)
きみはそんなに素敵じゃなくたって
(そんなに素敵じゃなくても)
どっちにしても僕は好きになってたんだって
(好きになっていた)

Today I said the time was right for me to follow you
 (Today, said that the time was right to follow you)
I knew I'd find you in a day or two 
(I knew that I would find you in a day or two)
And it's true

今日はきみの後を追いかけてみよう
(今日は きみに会いたい想いが募ってる)
一日か二日できみに会えるはずなんだよ
(あと何日かすればね)
そう それが現実になるのさ
ね? そうなったでしょ?

You didn't have to be so nice
 (Didn't have to be so nice)
I would have liked you anyway
 (Would have liked you anyway)
If you had just looked once or twice
 (Once or twice)
And gone upon your quiet way
 (Quiet way)

きみはそんなに可愛くなくても
(そんなに可愛くなくたって)
どっちみち僕は好きになってたよ
(好きになっていたのさ)
ただ 一、二度 僕を見てくれたならいいのさ
(一、二回で)
そしたらおとなしいきみに戻ってね
(おとなしいきみで)

日本語訳 by 音時


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"ラヴィン・スプーンフル"のベスト盤には、4人のメンバーのポートレイトカードも付いていました!
左からジョン・セバスチャン、スティーヴ・ブーン、ジョー・バトラー、ザル・ヤノフスキ―

◆この曲の作者はジョン・セバスチャンと、グループのベーシストであるスティーヴ・ブーン。
スティーヴへの2019年12月に行われたインタビューがこちらのぺージに出ていました。
(和訳は僕がしているのでちょっといいかげんです)

Lovin’ Spoonful’s Steve Boone: Reviving the band in the ’90s and on the road since
(米国の音楽雑誌「Goldmine」のWebページ

Goldmine(GM):
あなたたちのセカンドシングル"You Didn't have to be so nice"はあなた(スティーヴ)とジョン・セバスチャンによって書かれました。ジョンはバンドのソングライターとして知られていますが、この曲はどんな風に書かれたのですか?

Steve Boone(SB):
初めてジョンとザル(ギタリストのザル・ヤノフスキー)にあったとき、すぐに音楽を愛する3人なんだって思ったよ。(中略)あるときザルがトロントにいるニューリット・ワイルド(Nurit Wilde)という友だちに会わせてくれたんだ。僕とぴったりなんじゃないかと言っていたんだ。彼女がニューヨークにやってきて僕は会って、プラトニックな関係になった。当時僕のソングライティングの経験はビーチ・パーティの歌などに限られていたよ。でもジョンに会って彼がアイデアやフレーズを中心に曲を作るなど、曲を書くための技術を持っているのを見て、僕もそういうことをしたいと思ってたんだ。

GM:そうしてジョンがあなたのソングライティングの才能に影響したんですね。

SB:ある日、ジョー(ドラムスのジョー・バトラー)のガールフレンドの家に行ったとき、ピアノがあったので、僕は頭の片隅にあったリフを弾き始めたんだ。突然メロディがひらめいて弾き始めたら、歌詞が頭のなかにやってきた“You didn’t have to be so nice, I would have liked you anyway..."これはニューリットのことを言ってるんだ。だって彼女はとっても素適だったからね。翌朝のリハーサルのときに僕はジョンにこの曲のアイデアについて話したんだ。ジョンは"やってみよう!"と言ってくれて僕らはアイデアを話し合った。メロディやタイトル、最初の歌詞は僕のアイデアのまま(intact)だったけど、歌に仕上げなくちゃならなかった。ジョンは「二行連句」をくっつける才能を持っていたよ。“Do you believe in magic in a young girl’s heart.”みたいにね。これが彼ができる魔法のような思考法だよ。彼が曲を作るのに主なインスピレーションを与えてくれたんだ。この曲は僕らのヒットになり、アイデアをどう生かしていくか教えてくれるものとなったんだ。

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◆ただ、歌詞を読んでいくと、実際には"きみはそんなに可愛くなくたって僕は恋してた"という一言は彼女(ニューリット)には言わなかった様子。うむ、実際に言っていたらどうなっていたでしょうね。「嬉しい!」って思う女子もいるかと思うけど、"別にあんたのために可愛くなってるわけじゃない"って言われそうかな…。あっでも彼女はおとなしい性格なので、きっとポッと頬を赤く染めて照れ笑い、それも可愛い(願望入ってます)。


◆あの”イパネマの娘”の大ヒットを出したアストラッド・ジルベルトがカバーしています。アストラッドは6歳の息子さんと母子で一緒に歌っています。邦題は”ママと歌おう”ってそのままじゃん。でもこの曲、親が子どもに捧げる”無償の愛”っていうのもあてはまるように思いますね。



えっこの曲、ユーミンの「守ってあげたい」のヒントになった曲らしいよ。たしかに”You don't have to worry,worry…”と歌詞も似ている。(「守ってあげたい」ウィキペディア


◆映画「ポストマン」で使われています。エイミー・グラントとケヴィン・コスナーのデュエットでバラードになっています!