ドゥービー・ブラザーズを初めて聴いた経験は…最初はアルバム「スタンピード」がリリースされたときのFM放送だったかな。カセットテープに録音したのは「スウィート・マキシン」と「君の胸に抱かれたい」でした。そして、3つ上の姉の高校の文化祭を観に行く機会があって、そこで一番上手いバンドが演奏したのがドゥービーの曲3曲「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」「チャイナ・グローブ」そしてこの曲「ロング・トレイン・ランニン」でした。ギターのカッティングがすごくカッコ良くて『僕もバンドやりたい!』と思いました!...結局バンド結成には至らなかったけど(^▽^;)。
◆それから雑誌の「ヤング・ギター」にドゥービーの日本公演の記事が出ていて、「ツイン・ドラム、トリプル・リードギターの大迫力!」という見出しでステージ写真も載っていたこともあって、「ノリノリのアメリカのロックバンド」という印象。全米No1になった"Black Water"はまだ耳にしていませんでしたのでパット・シモンズの南部の泥臭いような曲は知らなかったんですね。(聴いていたらまた印象が違ったでしょうね)だからそのあとリリースされた「Takin' To The Street」の表題曲を、やはりFMなどで聴いたときはその変容ぶりにびっくりしました。
今となってはマイケル・マクドナルドにバンドの主導権が移る過程だったということですね。ドゥービーは「ミニット・バイ・ミニット」そしてシングル「ある愚か者の場合(What A FoolBelieves)」で全米制覇をします。
◆この曲「Long Train Runnin’」は解説も無用かと思いますが、マイケル・マクドナルド加入の前の時代、バンドがトム・ジョンストンを中心にしていた時代の代表曲ですね。イントロのギターのカッティングをはじめとして、リズムが立ち上がってくる出だしは聴いていてぞくぞくします。また間奏のブルースハープ(ハーモニカ)もいい。そしてラストが余韻を持って終わる…。日本では今でもCMなんかに使われているので多くの方が耳にしたことがある曲でもあると思います。
◆そんな有名曲なのですが、この曲は当初はタイトルも付けられていない、ドゥービーにとってはライヴでアドリブでジャムをするにすぎない曲といいます。
この曲のWikipediaからの情報ですが、
作者のトム・ジョンストンは…
僕は通常は曲を先に書くのさ。歌詞がつくまでえらくフ時間がかかるときもある。この曲はレコーディングするまでに3年かかったんだ。その間はしばしば、別な名前で呼ばれていたのさ。仮のタイトルは""Rosie Pig Moseley" で、そのあと"Osborn"というタイトルの曲だよ。
作者のトム・ジョンストンは…
僕は通常は曲を先に書くのさ。歌詞がつくまでえらくフ時間がかかるときもある。この曲はレコーディングするまでに3年かかったんだ。その間はしばしば、別な名前で呼ばれていたのさ。仮のタイトルは""Rosie Pig Moseley" で、そのあと"Osborn"というタイトルの曲だよ。
トムは特に何も得るものもないただの"バーで歌うような歌"だと考えていましたが、プロデューサーのテッド・テンプルマンは"いや、この曲には何かある"とずっと考えていて、この曲にトムが歌詞をつけて仕上げることを信じていたそうです。
Writer(s)
Tom Johnston
Released in 1973
US Billboard Hot100#8
From The Album"The Captain And Me"
:原詞は太字
Down around the corner
A half a mile from here
You see them old trains runnin'
And you watch them disappear
Without love
Where would you be now
Without love
その角を曲がって遠くから
ここから半マイルほど先からさ
おんぼろ列車がやってくる
そいつが消えるまで 見つめるおまえ
愛を失って
おまえは今どこにいる?
愛のないままで...
You know I saw Miss Lucy
Down along the tracks
She lost her home and her family
And she won't be comin' back
Without love
Where would you be now
Without love
Miss ルーシーを見かけたよ
この線路に沿って 離れていくんだ
家も家族も失ったあの娘
もう戻ることもないだろう
愛を失って
おまえは今どこにいる?
愛のないままで...
Well the Illinois Central
And the Southern Central Freight
Gotta keep on pushin' Mama
'Cause you know they're runnin' late
ああ イリノイ・セントラル鉄道
サザン・セントラルの貨物列車
急いで進まなきゃいけないぜ
だってもう遅れてるんだ
Without love
Where would you be now - now, now, now
Without love
愛を失ったおまえ
おまえは今どこにいる? ああ今どこに?
恋人を置いていってしまったおまえ...
Where pistons keep on churnin'
And the wheels go 'round and 'round
And the steel rails are cold and hard
For the miles that they go down
ピストンは激しく動き続け
車輪はぐるぐるまわっていく
鋼鉄の線路は冷たくそして堅いまま
何マイルをも走り続ける
Without love
Where would you be right now
Without love
Where would you be now
愛のないままで…
おまえは今どこに?
愛のないままで...
おまえは今どこなんだ...?
(Words and Idioms)
freight=貨物運送、運賃
keep on pushing =どんどん前進する
churn=泡立つ、〈スクリューなどが〉激しく動く.
日本語訳 by 音時
◆そんなエピソードを聴くと、歌詞は後から付けられたのでたいしたことない曲?...かと思えば、和訳してみたところ、結構味わい深いものがありますね。
歌詞の3rd verseに出てくる「イリノイ・セントラル」ですが、これはかつて米国に存在していた鉄道会社の名前です。イリノイ州の主要都市であるシカゴからルイジアナ州ニューオーリンズ・アラバマ州バーミングハムを結ぶ路線で、1856年に完成した時点では「世界でもっとも長い鉄道」であったそうです。目にとまった「イリノイ・セントラル」の列車...この列車はこのあと長く長ーく走っていく、ことが想像できます
そんななかでの1st verse。
どこに行ってしまったのかわからない彼女。いま、彼女は何をしているんだろう?と思い浮かべる主人公。きっと彼女もこの列車を眺めて、いろんなことを考えているんじゃないんだろうか…?
2nd verse。
ミスが付いていますので、ルーシーは若い女性。結婚前の女性です。彼女は家も家族も捨ててこの列車に乗っていきます。"down along the tracks"ですから、直訳では"線路に沿って遠くへ行く"ということではありますが、線路に沿って遠くまで歩いていくのではなく、列車に乗って(線路に沿って)行くんだろう、と解釈しました。長い経路の鉄道ですから、線路も長く長く続いている光景が見えます。
ミスが付いていますので、ルーシーは若い女性。結婚前の女性です。彼女は家も家族も捨ててこの列車に乗っていきます。"down along the tracks"ですから、直訳では"線路に沿って遠くへ行く"ということではありますが、線路に沿って遠くまで歩いていくのではなく、列車に乗って(線路に沿って)行くんだろう、と解釈しました。長い経路の鉄道ですから、線路も長く長く続いている光景が見えます。
3nd verse。
「サウス・セントラル」も会社かな?"Freight"は貨物なので、貨物の脇に「South Central Freight」と書いてあるのかもしれない。慌ただしく貨物を運んでいる様子が目の前に展開されているのではないかな。
「サウス・セントラル」も会社かな?"Freight"は貨物なので、貨物の脇に「South Central Freight」と書いてあるのかもしれない。慌ただしく貨物を運んでいる様子が目の前に展開されているのではないかな。
…"Without Love..."。
「愛のないままで」。"love"は「恋人」という意味でもありますので「恋人(主人公)を置いていってしまった」という意味でもあるのでしょう。
「愛のないままで」。"love"は「恋人」という意味でもありますので「恋人(主人公)を置いていってしまった」という意味でもあるのでしょう。
4th verse。
ピストンは止むことなく動き、車輪は回り続ける。堅くて冷たい鋼鉄の線路。ずっとずっと長く続いていく…。
ピストンは止むことなく動き、車輪は回り続ける。堅くて冷たい鋼鉄の線路。ずっとずっと長く続いていく…。
長い長い経路を走っていく、イリノイ・セントラル鉄道の列車を眺めている主人公は、どこか遠くに行ってしまった恋人を想いながら、その距離のことや、忙しく駆け抜けていった愛のことを考えているのでしょう。そんななか、遠くから角を曲がって目の前にやってきた列車がまた通り過ぎて見えなくなっていきます…。
いったん歌詞を味わって、この曲を聴いてみると…こんな光景が浮かんできますよね。名曲です。
◆これは1982年のギリシアでのドゥービーの解散ライヴより。"Long Train Runnin'。ボーカルはコーネリアス・バンパス。
◆1996年 再結成してトム・ジョンストンも復活のドゥービー。(from Rockin' Down The Highway)
◆シンセサイザーが加わったアレンジバージョン。うーむ、あまり好きくない(^▽^;)。列車の忙しなさだけが倍増し、主人公の気持ちを想像できる余地が減らされた感じがしてしまいます。
コメント
コメント一覧 (12)
始めのギター(カッティング)がいい。ギターを持つと、つい練習してしまいます。ドラムスとパーカッションもキマッテいます。ボーカルもハーモニカ(ブルースハープと言うのですね)も大好きです。
主人公は、長い経路を走っていく列車を眺め、遠くに行ってしまった恋人を思い出しているのですね。慌ただしく駆け抜けていってしまった愛について思いをはせる。なんと美しい情景でしょう。
よくできた曲だと思います。
ありがとうございます‼️
この曲はソウルバーでもかけてくれて私はいつも「ロングトレインなんとかをお願いします。」とリクエストして踊っていました。音楽通の友人は「これはロックなんですよ。」と言ってました(わかってます)がなぜか踊りたくなる曲なんですよ。
カッティングで高揚してボーカルの塩辛い声に痺れハーモニカでゾクゾクし終盤のコンボ?で陶酔すると言う流れでした。
(PS)モンキーズのスペル間違い、訂正しました。ありがとうございました。
この曲、当時から泥臭いなぁ、と思っていたらアメリカ南部の様子を歌っていたんですね。南北縦断鉄道でシカゴまでつながっているとの本文記事であ、なるほどと思いました。
当時シカゴは食肉業の集積地でシカゴに集まった肉牛、豚などが加工され全米に流通してました。そのため南部から北部に向かう貨物の中に牛や豚も相当運ばれていたのでしょうね。
この曲が泥臭いと感じたのはブルースっぽいロックだからだと思います。
南北戦争後、徐々に奴隷だった黒人が北上しシカゴおよび周辺に住んだことにより南部の黒人霊歌を基本とするブルースやジャズがシカゴに広がりました。
でもグループ結成はカルフォルニアwwww
この音画的手法で取り上げてほしいのはイーグルスの「駆け足の人生(追い越し車線の人生?):Life In The Fast Lane」です。
イントロがスターターが掛からない50年代のピックアップトラックのようで、いざエンジンが掛かるとそこそこのスピードで走り出し、曲のブリッジでギアをトップにいれて追い越し車線を必死で走っているようなギターのリフが入ります。この曲の構成と歌詞がすごくマッチしていて音画的手法の曲では一番なのではないかと。
音時さん、こんにちわ。
ドゥービー・ブラザーズにはあまり縁がなかったのですが、それでもこの曲は有名ですね。
この曲でへ~、と思ったのはかつてフジの深夜番組『音楽の正体』で取り上げられたからです。(#15シカゴのブラス音が雑踏に消えるとき~音でも画が描ける)
音楽理論に「音画的手法」というのがあるらしく、クラッシックだとコルサコフの「熊ん蜂の飛行」、ベートーベンの「田園交響曲」でのカッコウの真似、TVシリーズ「コンバットのメインテーマ」におけるベースライン、松任谷由実の「ジャコビニ彗星の日」のイントロなど。
そのなかに「ロングトレインラニング」が取り上げられてました。イントロのカッティングギターのリフは蒸気機関車が車輪を回して発車している様子を模したもの、と解説をうけ「なるほど」と納得。
言われれば蒸気機関車みたいですね。
土埃舞う広大な荒野、そんな西部のイメージが湧いてくるドゥービーサウンド。
ちなみに、昔調べてみたんですが、「ドゥービー」って、
「葉っぱ」(マリファナやコカインなどの軽いヤツ)の隠語みたいですね。
「マリファナ・兄弟」って、なんか雰囲気あるなぁ・・・て思ったのを思い出しました。
“ザゥラ~♪”くらいでしょうか(^_^;)。
英語は全く出来ないんですが、without loveやったんですね。そうは全く聞こえてなかった(^^;)