このブログでこれまで取り上げてきたバリー・マニロウの曲の和訳記事はこちらです。
バリー・マニロウの「Ships(人生は航海)」。
今日11月2日は僕の父親の命日でありまして個人的ではありますが、父のことを歌った歌を掲載したい日であります。この歌もいい歌です。
◆原題と邦題、この曲のタイトルにある通り、人生を船に例えて歌った歌なんだろうというのは理解していましたが、歌詞を詳しくあたってはいませんでした。
1st verse…主人公がまだ小さいときの想い出だったんでしょうね。肌が切れそうな寒い中、二人で座って海を見ている。父はやさしさを見せて“手を握ろうか”と言ってきました。いや?どうだったかな?と、そんなに優しい父だったっけな?と想い返したのでしょう。
でも「離れているときは愛はたやすい」なんて子どもが言うかな? ちょっと疑問に思いましたが、主人公は子供といっても高校くらい?すでにそんなに大きくなっていても、我が子の手がかじかんでると思ったら「手を貸しなさい。握ってあげよう」って言ってしまうかもしれないし。そして息子は旅立ち、親子は離れ離れになります。
でも「離れているときは愛はたやすい」なんて子どもが言うかな? ちょっと疑問に思いましたが、主人公は子供といっても高校くらい?すでにそんなに大きくなっていても、我が子の手がかじかんでると思ったら「手を貸しなさい。握ってあげよう」って言ってしまうかもしれないし。そして息子は旅立ち、親子は離れ離れになります。
2nd verse…1st verseの時代から何年か経ったのち、父子は再会します。海に浮かぶボート。そのだいぶ後ろにボートがもう一つ。どっちが息子で、どっちが父親なのでしょうか?“お前が手紙を書いたときだけ、“私たち(“We”となってますね)はお前を理解(Read)できる”と訳しましたが、“Read”は“理解する”ではなく単純ながらも“読む”かもしれません。このときの父親と主人公は何歳になっていたのでしょうか?もしかすると本当に高齢で、手紙でももらわない限りは字を読むことをしなくなっていたのかもしれません。
また、ここで“We”と複数なっているのは“父と子”のお互いのことなのか?それとも、ここまで登場していないけど母親(かーさん)が生きていたのか、それとも父は後妻をもらっていた(無粋)のかもしれない!?
船は必ず海を航海していきます。一つの場所にとどまっていることはありません。僕たちは仲良く海に漂っていたけれど、時が経ち、時代は変わり、そして人はまたひとつ年を取っていきます。
海を航海している船達も視界から消えていきます。出会いそれは別離の始まりです。
でも…寒い中で、親父と一緒にいつまでも夜の海を見ていたこと…彼は忘れないと思います。
Songwriters Hunter, Ian
Lyrics © EMI Music Publishing
Released in 1979
US Billboard Hot100#9
From The Album“One Voice”
:原詞は太字
We walked to the sea
Just my father and me
And the dogs played around on the sand
僕たちは海に歩いていった
父と僕の二人きり
犬達が砂の上を走り回っていたけれど
Winter cold cut the air
Hangin' still everywhere
Dressed in gray,
Did he say Hold my hand?
冬の寒さが空気を切るようで
いまだに至るところで立ち込めてる
グレーのコートを着た僕たち
父は“手をつなぐか?”と言ったかな…
I said,
love's easier when it's far away
We sat and watched a distant light
僕は言った
“愛は遠くにあるときは簡単なんだ”って
僕ら二人は座って 遠くの光を見ていた
We're two ships that pass in the night
and we both smile and we say it's alright
We're still here
It's just that we're out of sight
Like those ships that pass in the night
僕たち二人は船 だ 夜を渡る船
二人とも微笑んで 平気だよって言ったんだ
二人でずっとそこにいて
そして僕らは見えなくなった
まるで船が夜を渡っていくように
There's a boat on the line
Where the sea meets the sky
There's another that rides far behind
海と空の境界線
水平線にボートが浮かんでる
かなり後ろの方にもう一台
別のボートが浮かんでる
And it seems you and I
are like strangers
A wide ways apart
as we drift on through time
まるで他人同士のような
あなたと僕みたいだ
時の波間を漂うように
遠く離れてしまってる
He said,
it's harder now, we're far away
We only read you when you write
彼は言った
“今が大変なときなんだ
俺たちは離れ離れさ
お前が手紙をくれたときだけ
俺たちはお前を理解できる
We're two ships that pass in the night
And we smile when we say it's alright
We're still here
It's just that we're out of sight
Like those ships that pass in the night
僕たち二人は船 夜を渡る船だ
二人とも微笑んで まあいいさって
僕ら二人 ずっとそこにいたけど
そして僕らは見えなくなった
まるで船が夜を渡っていくように
We're just ships that pass in the night
And we smile when we say it's alright
We're still here
It's just that we're out of sight
Like those ships that pass in the night
僕たち二人は船 夜を渡っていく
二人とも微笑んで 平気だよって言ったんだ
二人でずっとそこにいて
そして僕らは見えなくなった
まるで船が夜を渡っていくように
We're just two ships that pass in the night
And we smile when we say it's alright
We're still here
It's just that we're out of sight
僕たちは船 夜を航海する船
そんなこと感じて二人笑いあう
そして“お互い頑張う”って
二人座っていつまでも海を見ていた
そして
そんなときは過ぎてしまったことを
僕たちは感じていたんだ…
日本語訳 by 音時
◆改めてビックリ。この曲はイアン・ハンターの作品でした。彼がまだバンド“Mott The Hoople”に所属していたときに書いた作品で、彼の父親との関係を歌詞に書いたと言います。すぐにはレコーディングされずにイアンの1979年のソロ・アルバム「You're Never Alone With A Schizophrenic(バイオレンスの煽動者)」に収録されました。バリーはよくすぐに取り上げたな。
◆“Ships”が最高位9位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles December 1, 1979
バーブラ&ドナの大迫力デュエット「No More Tears」が1位。2~3位はバラードが続きます。5位はイーグルス“今夜胸が痛いぜ”。6位ルパートが大ジャンプアップ。大人になってピニャ・コラーダを飲んだときに、こんなもんかな?と思ったな(-_-;)。7位スティーヴィー「愛を贈れば」。バリー「人生は航海」は9位を2週続けたのち17位に後退します。
-1 1 NO MORE TEARS (Enough Is Enough) –•– Barbra Streisand / Donna Summer
-2 2 BABE –•– Styx">BABE –•– Styx
-3 3 STILL –•– The Commodores
-4 6 PLEASE DON’T GO –•– K.C. and the Sunshine Band
-5 5 HEARTACHE TONIGHT –•– The Eagles
-6 12 ESCAPE (The Pina Colada Song) –•– Rupert Holmes
-7 8 SEND ONE YOUR LOVE –•– Stevie Wonder
-8 4 DIM ALL THE LIGHTS –•– Donna Summer
-9 11 SHIPS –•– Barry Manilow
10 10 POP MUZIK –•– M
◆ブロードウェイでのエンターティナーのステージです。Barryの歌う“Ships”.
◆これがイアン・ハンターのオリジナル。「バイオレンスの煽動者(You're Never Alone With A Schizophrenic)」から。
◆Ian Hunter“Ships”オーケストラをバックに歌います。ちょっとこれ、感動的。バリー以上かな...!
コメント
コメント一覧 (6)
僕の和訳の物語の解釈の違いや、時制の違いなども改めて自覚し、ちょっと恥ずかしくなってしまいましたが、sudanさんのコメントのご指摘がわかりやすいよう、和訳の手直しはしないでおき、この曲(記事)にこれから訪れる方に鑑賞していただくようにしましょう…!どうもありがとうございました。
Did he say, "Hold my hand" は、年老いて弱ったお父さんが言ったセリフ(動詞の原形から始まる命令文)ではないかと思います。息子に対して何か赦しをこうような、あるいはいたわりを求めるような、あるいは助けを求めるような。それをおそらく息子は素直に受け入れなかった。息子は "Love is easier when it's far away."と言ってしまったのですから。
And it seems you and I
are like strangers
A wide ways apart
as we drift on through time
この部分では、親子でありながら他人同士のようになってしまった父と子の悲しさが歌われています。最後の"as"は「〜するにつれて」という時間の経過を表す"as"だと思います。昔はおそらく仲良しの親子だったのでしょう。それが、時とともに疎遠な仲になっていく。何か、仲違いするようなトラブルがあったのかもしれません。
We're still here
It's just that we're out of sight
の部分ですが、父と子はまだお互いにこの地球上のどこかに生きて存在しているんだけれども、夜の海を航海する船のように、お互いの姿を見ることはできず、お互いの人生が交わることも、おそらくもうない…という感じに読めます。"It's just that..."の表現が、「どちらが悪いわけでもないんだ、しょうがないんだ」という気持ちを醸し出しています。
And we smile when we say it's alright.
ここは過去形ではなく現在形になっていますので、昔の出来事ではなく、今、例えば電話でやり取りするようなことがあっても、微笑みながら「ああ、こっちは大丈夫」みたいな、上辺を取り繕うかのような会話を交わす…という状況ではないでしょうか。
というわけで、全体的には「疎遠になってしまった親子関係を切なく歌う曲」のように私は感じています。
「人生は航海」も悪くないタイトルです。「人生は後悔」じゃありません(^_^;)。
このレコード(シングル盤)持ってました。ラジオで聴いて気に入ったのか
レコード店でたまたま見て買ったのかもう忘れました(笑)
なんか歌詞覚えて歌ったりもしてました
高校生が聴くような曲でもないのにね
歳を重ねたIan Hunterのオーケストラをバックに唄うバージョン、抑え気味でいいですね。