レッド・ツェッペリンの「天国への階段」。

僕は初めて聴いたのは「Ⅳ」ではなく「永遠の詩」のライヴレコードでした。映画も観て、その壮大さとカッコ良さにはぶっとびましたね!
「天国への階段」を聴く時は流し(BGM)では聴けない・聴かない。
家族に邪魔されないようにヘッドホンをして、集中して聴くように目をつぶって電気も消して…。
…真っ暗な居間でレコードを聴いていた弟に最初気づかずに姉にビックリ(゚Д゚)ノ されたこともあったなあ…(苦笑)

はい、でも敬意を示さないと聴けない名曲でした。

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◆8分という長さもありますが、シングルにならず、アルバム中の名曲ですね。(「Ⅳ」からのシングルカットは、"Black Dog"が全米15位、"Rock and Roll"は47位が最高位でした)
 長い曲であっても冗長にならず、だんだんと高揚していく感じ。プラントの声も含めて4人の楽器がバトルするような演奏。やはりこれぞレッド・ツェッペリン!ですよね。

◆一方の歌詞はというと…これは難解です。僕のよく聴いていた「永遠の詩」ではプラントは「これは"希望の歌"(Song of hope)だ」と紹介してから歌うのでずっとそう信じてきましたが…。
 こちらの記事でプラントは「今は歌詞に共感できない」と言っているようですね。
ちょっと残念なコメントではありますが、まあ、人は誰しも年をとりますから…(^▽^;)。

◆"一人の貴婦人がいる。彼女は光るものはすべて金なんだと信じていて、天国の階段を買おうとしている"…という歌詞から始まる物語。はたして彼女は「買える」のでしょうか?

続きは後半にて。


Zeppelin4

(Plant、Page)

Released in 1972
From The Album“Led Zeppelin Ⅳ”

:原詞は太字


There's a lady who's sure 
all that glitters is gold
And she's buying a stairway to heaven
When she gets there she knows, 
if the stores are all closed
With a word she can get what she came for
Ooh, ooh, and she's buying 
a stairway to heaven

一人の貴婦人がいる
彼女は光るものはすべて黄金だと信じて
天国の階段を買おうとしてる
天国に辿り着けば 店がみな閉まっていても
一言声をかければ 
お目当てのものが買えるのさ
ああ 彼女は天国への階段を買おうとしてる…

There's a sign on the wall 
but she wants to be sure
'Cause you know sometimes 
words have two meanings
In a tree by the brook, 
there's a songbird who sings
Sometimes all of our thoughts are misgiven

案内が壁に書かれているが
彼女は確かめずにはいられない
だって言葉は ときどき
2つの意味を持つことがあるから
小川のそばの木で 小鳥が一羽 歌を歌ってる
ときどき僕たちの考え
すべてが疑わしいんだって

Ooh, makes me wonder
Ooh, makes me wonder

ああ どうしてなんだ
ああ どうしたらいいんだ…


There's a feeling I get when I look to the west
And my spirit is crying for leaving
In my thoughts I have seen rings of smoke
through the trees
And the voices of those who stand looking

西の方角を向くと 感情が芽生える
そして僕の魂は
離れなきゃいけないと叫ぶんだ
頭のなかでは 木々の間に浮かぶ
煙りの輪が見えた
それを立って眺める人たちの声も聞こえたよ

Ooh, it makes me wonder
Ooh, really makes me wonder

ああ なんでなんだ
ああ どういうことなのか…


And it's whispered that 
soon if we all call the tune
Then the piper will lead us to reason
And a new day will dawn 
for those who stand long
And the forests will echo with laughter

そして ささやきが聞こえる
調べを求めればすぐに聴こえる
そして笛吹きが理性へと導いてくれるのだ と
待ち続けていた者たちにも
新しい夜明けが訪れて
森にも笑い声がこだまするだろう と…


If there's a bustle in your hedgerow,
don't be alarmed, now
It's just a spring clean for the May queen
Yes, there are two paths you can go by,
but in the long run
There's still time to change the road you're on

きみの生垣のあたりが騒がしくなっても
心配することはない
そいつは5月の女王を迎えるための
ただの大掃除
そう そこにはきみが通るべき二つの道がある
でも 長い旅になりそうだ
きみが選んだ道を変える機会は
まだ残されてる

And it makes me wonder
Ohh, woah

ああ きみはどうするのだろう
ああ

Your head is humming and it won't go, 
in case you don't know
The piper's calling you to join him
Dear lady, can you hear the wind blow? 
And did you know
Your stairway lies on the whispering wind?

鼻歌が頭のなかに響いても役には立たないね
それが笛吹きが仲間にならないかと
誘ってると気づかなければ
親愛なるきみ 
風の音が聞こえないかい?
そしてきみの求める天国への階段は 
風のささやきのなかにあるんだって
知らなかったのかい?


[Guitar Solo]


And as we wind on down the road
Our shadows taller than our soul
There walks a lady we all know
Who shines white light and wants to show

How everything still turns to gold
And if you listen very hard
The tune will come to you at last
When all are one and one is all
To be a rock and not to roll

そして僕たちが
曲がりくねった道を進もうとすると
僕らの影が 魂を覆い隠そうと背を高くする
そこにあの貴婦人が歩みよってくる
白い光を当てるのを見せようとするんだ

すべてのものがどうやって金になるのか
耳を澄ませてよく聞こうとするならば
その調べがやがてきみにも届くはず
すべては一つになり 一つのものがすべて
それが岩となり 転がり落ちることはない


And she's buying a stairway to heaven

それでも彼女は
天国への階段を買おうとしている…


(Words and Idioms)
come for=…の目的で来る,を取りにくる
brook=小川
cry for=~を求めて(泣き)叫ぶ[叫び声を上げる]
bustle=喧噪
hedgerow=〔低木を並べた〕生け垣
be alarmed=震駭;心配;驚く;騒ぐ;気遣う
spring-clean=大掃除をする◇寒い冬が終わり、春になり、窓を開けて大掃除をするところから
paths=小道、細道
hum=ブンブンいう,鼻歌を歌う.

日本語訳 by 音時

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◆歌詞の物語の登場人物は「強欲な一人の貴婦人」「作者(物語の語り手)」「立ってみてる人たち(作者の仲間になります)」「笛吹き」になるでしょうか。

 「天国に行けば欲しいものがみな手に入る。だから天国への階段(行きチケット?)を買おう」としてる貴婦人に、「笛吹き」が奏でる"Tune(調べ)"=音楽にこそ人々に幸せをもたらしてくれると信じる自分たち(作者+他の人々)が語りかけている構図になるのかな、と思いました。

 また「天国」というのは当然"死なないといけない場所"です。語り手(たち)にも「死の予感」のようなものは何度か訪れます。

There's a feeling I get when I look to the west(西の方を向くと…)とか...
*「西」は太陽の沈む方角なので死を暗示しているのでは…?

Our shadows taller than our soul(影が魂より高くなる…)とか...
*死の誘惑、天国に行った方が幸せになれるのでは…?という迷いなど。

すべてのものが金になることができる方法は、天国のなかにあるのではない。吹く風のなかにある=生きているこの世の中にこそある。

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◆また「笛吹き」は「ミュージシャン」(=ツェッペリン)なのではないかとも思いました。
"To be a rock and not to roll"という歌詞にも、ロックサウンドに耳を傾けるがいい、と言っているのかなとも…。
   ただ、それでも貴婦人の想いを変えることはできなかった…音楽が通じない人はいる…ってこと?かな…。彼女は考えを改めることはなく、未だに「天国への階段」を探し求めてる、、、。

~すみません。この曲の解釈はいろいろあるでしょう。「浅い!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、受け止めは人それぞれ、ってことでご容赦ください…(^▽^;)


◆2016年、米国のバンド「スピリット(Spirit)」が「天国の階段」のオープニングコードがスピリットの1968年の楽曲「Taurus」から盗まれたものだと主張し、著作権侵害でツェッペリンを訴えました。(バンドのギタリストであった故ランディ・ウルフの遺産管財人のマイケル・スキッドモアにより)

BBC NEWS
レッド・ツェッペリン、「天国への階段」めぐり勝訴 「盗作でない」 



 僕も「Taurus」を聴いてみましたが、うん、これは似てるなあ、というのが感想です(^-^;。当時、ツェッペリンとスピリットは一緒のツアーに出ていたということですから、ペイジは「Taurus」を聴いていたのは間違いがないでしょう。
 ただ、いわゆる「盗作・パクリ」と「インスピレーション」は違いますよね。また、40年以上経っての訴えですので今さら感もあります…。ツェッペリンは勝訴しましたが、ちょっと釈然としませんね…。

◆こちら「永遠の詩」の「天国への階段」。”This is a song of hope…”というプラントの曲紹介。
ペイジのギターソロでの映像は今も憶えています。



◆1983年のMSGでのライブ。ペイジのソロ(ボーカルなし)の”天国への階段”。
最後8:00過ぎにベックとクラプトンが絡んできます!