全米ヒット曲を年ごとに取り上げていくブログ…星船さん 1984年のヒットでは、やっぱりこの曲取り上げないわけありませんね!(^▽^;)
歌詞がシンプルながら難解なので、できれば僕は"逃げたい"(Run Runawayt)って思ってましたが…やっぱり取り上げられました。 僕の気持ちは…"My Oh My"(^▽^;)。
逃げてはいられない!僕なりの解釈を試みました。

"My Oh My"の和訳記事も合わせてお読みください)

◆この記事ではその解釈の結論から先に…

人生の出来事に直面したときに…「逃げたっていいじゃないか」というものもあれば「逃げるな、進むのがいい」というものもある。
カメレオンのようでいいときもあれば、カメレオンのようじゃいけないってときもある。

そんな風に考えました。

◆歌詞は4番まであり、そのすべてに「カメレオンを見てみろよ」の部分が繰り返されます。
この「カメレオン」を良いものととらえているのか、それとも否定しているのか、当初はそのどちらなんだろう?=二者択一の問題と捉えていましたが、
ひょっとして、それぞれのフレーズごとに評価が違うのでは?と思ったらそう思えてきました。ずるい考えかもしれませんが(^▽^;)。

また、どうして「カメレオン」を歌詞に出したのかは、その習性を考えると…
・「白黒」のいずれかではなく「まわりに色を合わせることができる」。
・目だけ動かして身体はじっとしていて…突然捕まらないよう逃げるように動く(爬虫類はたいていみんなそうかな)
「カメレオンの習性」(Pet Pedia

そんなこともあるのかな、と思いました。




◆またタイトルにもなっている"Run Runaway"については、"Runaway"が"Run Away"ではないということに注目しました。

調べていくうちに“runaway”という語には「楽勝」「楽勝の〜」という意味があることがわかりました。「a runaway victory」と言う言葉には「楽勝」「大勝」「圧勝」という意味もあるようです。
したがって、

"Run Runaway"は"走れ(進め、逃げろ) それが楽な道=正しい方法=王道"なんて意味なのでは?と意訳ですが捉えました。

では、原詞と日本語訳です。

RR7frontRPS-145Japanlarge (1)


 written by Neville Holder Jim Lea
Lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC, Broma 16


Released in 1984
UK Single Chart♯7
US Billboard Hot100#20

From The Album
"The Amazing Kamikaze Syndrome"(UK)
"Keep Your Hands Off My Power Supply"(US)

:原詞は太字


I like black and white
Dreaming of black and white
You like black and white
Run runaway

白黒はっきりしてるのがいいのさ
白黒はっきりしてる世界を夢見てる
おまえも白黒が好きだろ
(そうじゃないなら)
逃げ出せばいい それが簡単さ

See chameleon
Lying there in the sun
All things to everyone
Run runaway

カメレオンを見てみろよ
太陽の下で のほほん としてる
すべてのものは みんなに関係してる
(でもカメレオンは)
突然逃げ出すのさ それが簡単だから


If you're in the swing
Money ain't everything
If you're in the swing
Run runaway

心が揺れてるときは
カネがすべてなんて思わないさ
自分に自信がないときは
逃げたっていいんじゃないか それが正解さ

See chameleon
Lying there in the sun
All things to everyone
Run runaway

カメレオンを見てみろよ
お日様の下でじっとしてるぜ
自分にはなんも関係ないって顔していても
突然逃げ出すよ それでいいんだ


If you got a crush
Don't beat about the bush
When I got a crush
Run runaway

誰かを好きになっちまったら
遠まわしはやめておけ
でも俺に好きな人ができたら
逃げちまうかな それが楽だから

See chameleon
Lying there in the sun
All things to everyone
Run runaway

カメレオンを見てみろよ
太陽の下で のほほん としてる
すべてのものは みんなに関係してる
(でもカメレオンは)
突然逃げ出すのさ それが簡単だから


Oh now can't you wait
Love don't come on a plate
Oh now can't you wait
Run runaway

ああ 俺は待てないのさ
愛は皿に載って出てきやしなから
ああ おまえは待てるのかい
進むんだ 人生の勝者になる王道さ

See chameleon
Lying there in the sun
All things to everyone
Run runaway

カメレオンじゃそうはいかない
お日様のもと横たわってるだけ
自分に関係ないことなんてない
進むんだ それが王道だ

(Words and Idioms)
get a crush on ~に熱を上げる
"Don't beat about the bush"
=《薮のまわりを叩いて獲物を駆り立てるな》(遠回しにいうな)

日本語訳 by 音時

RR12rearGordonKerrlarge

◆この曲のウィキペディアによると、曲を書いたノディホルダーはこの曲を"a rocky Scottish jig"(岩だらけのスコットランドのジグ?)と表現しているようです。「ジグ」とは"テンポの速い活発なダンス音楽」のこと。演奏には"フィドル"が使われていて民族音楽っぽいアレンジをしていますね。

 1984年のインタビューでは「俺たちはずっと古いバイオリンを使ってジグをやりたかったんだ。古いスコットランドのジグに一種のロックビートを入れることにしたんだよ」と話し、1986年のファンクラブのインタビューではもうひとりの作者であるジム・リーは「誰かと会話をしている間にノディが曲のメロディーを思いついたんだよ」と話していました。

 そこで紹介されていたのが、19世紀の賛美歌の"There Is a Happy Land"という曲。こちらをYoutubeで探して聴いてみたら…はい、"Run Runaway"とそっくり!



スレイドが"Run Runaway"と歌う部分は"Far Farway"と歌っています。("Bright,bright as day"という歌詞も出てきます)
きっと欧米の方だとこの讃美歌を知っている人も多いと思うので、"Run Runaway"は"Far Faraway"と讃美歌で歌う「本歌取り」のような楽しさで理解されたんじゃないでしょうかね!

◆スレイドは1970年初頭にグラム・ロックの爆発的ヒットの際にT.レックスやスウィートらとともに英国で人気のバンドになりました。沢山のヒット曲を出しています。アメリカ進出も目論んだようですが、目立った成果は得られず、英国でも1974年頃からチャートアクションが鈍り始め、1977年にはレコード会社との契約も切られてしまい、しばらく低迷を味わうことになりました。

kamikaze slade

1980年になるとスレイド自体も徐々に人気を取り戻し、ライブ(レディング・フェスティバル)での演奏も高く評価され、再びシングルがチャート上位に顔を出すようになりました。スレイドの復活を決定的にしたのは、クワイエット・ライオットがカバーしたスレイドのヒット曲「Cum on Feel the Noize」(1983)の大ヒットですね。このことでオリジナルのアーティストとしてスレイドに注目が集まります。
 英国で1983年11年に"My Oh My"が第2位のヒット、12月にはアルバム"The Amazing Kamikaze Syndrome"がリリース。翌年には1月には第二弾シングルのこの曲"Run Runaway"が7位のヒットとなります。(アルバムタイトルに"Kamikaze"がつくのはなぜ?と思いますよね。これは"My Oh My"の和訳記事で取り上げます)

バンドは1983年の暮れにRCAからCBSと契約を結び、アルバム"The Amazing Kamikaze Syndrome"と数曲を入れ直し、米国とカナダにて、曲順を変え"Keep your Hands Off My Power Supply"をリリース、ここからシングルカットされた"ラン・ランナアウェイ"が全米20位に入り、米国でのスレイドの初ヒットとなりました!(このアルバムジャケット、ポップなイラストでいいですね!このタイトルも意味深だ。調べてみよう)

516D6DQ00ML._AC_


"Run Runaway"…聴いてくると、とても馴染んできます。思わず身体を動かしたくなりますね。"Slade"のライブ映像を見てると、会場で立ち上がって一緒にこの曲を歌いたくなってしまいます!