1974年に全米シングルチャート34位になったビリー"の"The Entertainer"です。当時はどのくらい注目されたんだろうなあ? ビリーが「売れる」のは、この3年後の「Just The Way You Are(当時の原題;そのままの君が好き)」まで待つことになりますが...この曲も名曲だと思います。


Billy Entertainer


◆"The Entertainer"が最高位34位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending 11th January, 1975
TW LW TITLE –•– Artist (Label)-Weeks on Chart (Peak To Date)

エルトンが1位の週。ポールやニール・セダカ、バリーにスティーヴィーにカーペンターズ!豪華な上位陣のなかで34位止まり…目立たなかったでしょうね。

1 1 LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS –•– Elton John (MCA)-7 (2 weeks at #1) (1)
2 2 YOU’RE THE FIRST, THE LAST, MY EVERYTHING –•– Barry White (20th Century)-11 (2)
3 4 JUNIOR’S FARM / SALLY G –•– Paul McCartney and Wings (Apple)-10 (3)
4 5 LAUGHTER IN THE RAIN –•– Neil Sedaka (Rocket)-13 (4)
5 10 MANDY –•– Barry Manilow (Bell)-9 (5)

6 7 ONLY YOU –•– Ringo Starr (Apple)-9 (6)
7 8 BOOGIE ON REGGAE WOMAN –•– Stevie Wonder (Tamla)-9 (7)
8 9 PLEASE MR. POSTMAN –•– The Carpenters (A&M)-8 (8)
9 3 KUNG FU FIGHTING –•– Carl Douglas (20th Century)-14 (1)
10 13 ONE MAN WOMAN / ONE WOMAN MAN –•– Paul Anka with Odia Coates (United Artists)-10 (10)

34 39 THE ENTERTAINER –•– Billy Joel (Columbia)-7 (34)

◆和訳をお読みいただくとおわかりになると思いますが、ショービジネスのなかで生きていくミュージシャンの悲哀を歌った歌。皮肉がいっぱい出てきますね!このような歌はいろんなミュージシャンがたまに歌いますが"それでも僕は聴いてくれる人がいる限り歌う"とか、カッコよく締めくくられたりしますが、そうはならず、皮肉と悲哀のまま終わるところがまたビリーらしい(!)(^▽^;)。そしてこの後、ビリーは"The Stranger"や"52nd Streetなどで大スターになっていきますが、"1980年に"Glass Houses"のIt's Still Rock And Roll To Me(ロックン・ロールは最高さ)でこの曲の続編!を作ったのかなと思いました。


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Songwriters JOEL, BILLY
Lyrics c Universal Music Publishing Group

Released in 1974
US Billboard Hot100#34
From The Album"Streetlife Serenade"

:原詞は太字

I am the entertainer 
and I know just where I stand
Another serenader 
and another longhaired band
Today I am your champion, 
I may have won your hearts
But I know the game,
you'll forget my name
And I won't be here in another year
If I don't stay on the charts

僕はエンターテイナー
自分の置かれてる立場はわかってるさ
甘い歌を歌う歌手や髪の長いバンド
新手がどんどん登場してくる
今日のところは僕がチャンピオンで
きみのハートを掴んでるかもしれないけど
このショービジネスのゲームじゃ
いずれ僕の名前なんて忘れてしまうよ
ヒットチャートに顔を出さなきゃ
次の年にはそこにはいない運命

I am the entertainer 
and I've had to pay my price
The things I did not know at first
I learned by doing twice
But still they come to haunt me, 
still they want their say
So I've learned to 
dance with a hand in my pants
And I rub my neck 
and I write em a check
And they go their merry way

僕はエンターテイナー
これまで苦労もしてきたよ
最初は知らなかったことだって
2度目は実際にやって覚えたのさ
でもいまだに僕につきまとって
悩ませることがあるのさ
だから僕は身体を張ることを覚えて
いらだちを押さえて小切手を書くのさ
ヤツらもそれで収まるんだよ

I am the entertainer, 
Been all around the world
I've played all kinds of places
And laid all kinds of girls
I can't remember faces
I don't remember names
But what the hell
You know it's just as well
'Cause after a while and a thousand miles
It all bocomes the same

僕はエンターテイナー
世界中を回ってきたよ
あらゆる場所で演ってきたし
あらゆる女の子の横で寝てきたよ
でも顔も思い出せなし
名前も思い出せない
だからって何でもないよ
それでいいじゃないか
何時間もあらゆる場所で演奏してりゃ
どこだって同じことだしね

I am the entertainer, 
I bring to you my songs
I'd like to spend a day or two 
but I can't stay that long
I got to meet expenses ,
I got to stay in line
Got to get those fees to the agencies
And I'd love to stay 
but there's bills to pay
so I just don't have the time

僕はエンターテイナー
きみに歌を聴かせてあげるよ
1日や2日いてあげたいけど
そんなに長いこといられないんだ
お金もかかっちゃうし
いつもと違ったことはできないよ
代理店にお金も払わなきゃいけないし
僕自身はとどまりたくても
支払うべき請求書がいっぱいあるから
ほんとに時間がないのさ

I am the entertainer, 
I've come to do my show
You've heard my latest record
spin on the radio
It took me years to write it, 
they were the best years of my life
it was a beautiful song
But it ran too long
If you're gonna have a hit 
you gotta make it fit
So they cut it down to 3:05

僕はエンターテイナー
ショウを演りにきたのさ
僕の最新の曲を
もうラジオで聴いたかな
あの曲を書くのに何年もかかったよ
僕の人生のなかで最高の日々だった
とてもいい曲さ
でもヤツラ
"ちょっと長すぎだろ
ヒットさせたいんなら
ピッタリサイズにしなきゃ"ってさ
それでヤツら
3分05秒にカットしやがったんだ

I am the entertainer, 
the idol of my age
I make all kinds of money 
when I go on the stage
You see me in the papers, 
I've been in the magazines
But if I go cold, 
I won't get sold
I get put in the back 
in the discount rack
Like another can of beans

僕はエンターテイナー
僕の世代じゃアイドルだよ
演奏を続けるうちに
たくさんのお金を稼いだんだ
僕のことは新聞で見られるし
雑誌にも載ったんだ
でも飽きられちゃったら
もう売れないんだ
ディスカウントの棚の奥に
押し込められちゃうのさ
ビーンズの缶みたいにね

I am the entertainer 
and I know just where I stand
Another serenader 
and another longhaired band
Today I am your champion,
I may have won your hearts
But I knew the game, 
you'll forget my name
I won't be here in another year
If I don't stay on the charts.

僕はエンターテイナー
自分の置かれてる立場はわかってるさ
甘い歌を歌う歌手や髪の長いバンド
新手がどんどん登場してくる
今日のところは僕がチャンピオンで
きみのハートを掴んでるかもしれないけど
このショービジネスのゲームじゃ
いずれ僕の名前なんて忘れてしまうよ
ヒットチャートに顔を出さなきゃ
次の年にはそこにはいない運命さ


(Words and Idioms)
haunt=考え・思い出などが付きまとう
cf.put one's hand in one's pocket=金を払う
cf.rub the back of one's neck
=首の後ろをなでる(いらだちのしぐさ)
go on their merry way
=for people to continue on with their life.
what the hell=たいしたことはない
just as well=(返答)さしつかえない, それもけっこう
meet expenses =所要経費を払う
stay in line=同調する

日本語訳 by 音時

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◆2nd verseが僕にとっては、なじみのない、難解なイディオムのオンパレードでした。でもこれがビリーの詩人たる本領発揮なのでしょう。そう思いながら食らいついて!和訳しました。

(1)"dance with a hand in my pants"

・調べてもわからなかったのですが、"put one's hand in one's pocket=金を払う"というイディオムを見つけました。「ポケットのなかにある財布に手を入れて…お金を出す」ということかと思いますので、このフレーズは"パンツのなかに手を入れてダンスする…"ということかと。つまり…からだを張って●◎○することでは?と思いました。

(2)"rub my neck"

"rub the back of one's neck=首の後ろをなでる(いらだちのしぐさ)"というイディオムがあったので「いらだちを押さえて…」という訳にしました。

(3)"go on their merry way"

英語の"Yahoo Answers"で、このフレーズの意味を聞いている人がいました。"People fight and die for what they believe in. I'm just here to patch them up so they can go on their merry way. Do no harm and all that. "という文章に出てくるフレーズでした。

その答えに"go on their merry way=for people to continue on with their life."と答えている人がいましたので、この解釈を使わせていただきました。先の文章は、"人々は自分の信じるもののために喧嘩して死んだりする。私は彼らが自分の人生をまっとうできるよう静めてあげるのです。それでなにも問題はありません"となるのかな。お医者さん(メンタルの?)なのかな。

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◆4th verseのなかで"いい曲だけど、長すぎる"ってことで"3分5秒でカットされてしまった"という歌詞が出てきます。

調べましたが名曲「ピアノ・マン」を5分38秒の長さのところ、シングルで4分30秒にカットなどの実例はありましたが、3分5秒というのはビリーの話ではないようです。
 ただ調べていて、ライチャス・ブラザースの"ふられた気持ち(You've lost that lovin' feeling)"についての"3分5秒"のエピソードを発見しました。
 これは当時、ラジオでかかる曲の長さは"3分5秒"がベストと言われていた中で"ふられた気持ち"は実際には3分50秒ありました。でもラジオ局やらが"長い"とうるさいので、作者のフィル・スペクターはクレジットを"3分5秒"とわざと間違えて印刷して配布。DJ達はなんかおかしいなあ?と思いながらもラジオでよくかけて、大ヒットになったという話。

 ビリーは自分の「ピアノ・マン」の経験などを踏まえ、この"3分5秒"を出して皮肉ったのかなと思います。

"The Entertainer"...なかなか訳しがいのある一曲でした!