僕が初めて聴いたケニーの曲は、この曲だったと思います。

ホンワカした感じで、"ルシール"って名前しか歌詞の物語がわかりませんけど、これが「ザ・洋楽」って感じがしました。
チューニングの悪いラジオ関東の電波に乗ってこの曲を聴くのがなんか背伸びした感じでした。(^▽^;)。

◆"ルシール"...バーでの出来事を歌った歌です。
主人公はある女のひとに会います。さて、どんな物語が始まるのでしょうか?

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Writer/s: Hal Bynum, Roger Bowling
Publisher: THE BICYCLE MUSIC COMPANY, ANDITE INVASION

Released in1976
US Billboard Hot100#5
From The Album“”

:原詞は太字

In a bar in Toledo across from the depot
On a barstool, she took off her ring
I thought I'd get closer so I walked on over
I sat down and asked her name


トレドの街の駅の向かいにあるバーでの出来事さ
バーのイスに腰かけた女が指輪を外してたんだ
近づけば簡単にものにできると思って
隣りに座って名前を聞いたんだ

When the drinks finally hit her
she said "I'm no quitter
But I finally quit livin' on dreams
I'm hungry for laughter and here ever after
I'm after whatever the other life brings"


酔いが回ってくると彼女は言った
"アタシは臆病者なんかじゃない"ってね
"でもさすがに夢見て生きるのはやめたの"
"それでこれからは違った人生を歩んでたら
何がどうなるのかを追い求めることにしたのよ"

In the mirror, I saw him and I closely watched him
I thought how he looked out of place
He came to the woman who sat there beside me
He had a strange look on his face

鏡に目をやると 男が近づいてくるのが目に入った
周りから浮いたヤツだなと思ったよ
そいつは女に近づいて俺の隣りに座ったんだ
おかしな表情を浮かべていたよ

The big hands were calloused,
he looked like a mountain
For a minute I thought I was dead
But he started shaking, his big heart was breaking
He turned to the woman and said


でっかい両手は硬くなったタコだらけ
山みたいにでっかい男だった
すぐに"やばい 殴られる"と思ったけど
ヤツは震え出したのさ
ヤツのでっかいハートが傷ついていたんだな
女の方を向いてこう言ったんだ

"You picked a fine time to leave me, Lucille
With four hungry children and a crop in the field
I've had some bad times, lived through some sad times
But this time your hurting won't heal
You picked a fine time to leave me, Lucille"

おまえは"絶好"のタイミング"で出て行ったよな ルシール
4人の腹を空かせた子ども 作物は農場のままを置いて
何度もひどい目にあったし悲しい時も乗り越えてきたけど
今回おまえに受けた傷は治らない
"絶好"のタイミングで出て行きやがったな、ルシール

After he left us, I ordered more whiskey
I thought how she'd made him look small
From the lights of the barroom
To a rented hotel room
We walked without talking at all

男が帰った後 俺はウイスキーをもう一杯
あんなデカいやつでも女には形無しなんだな
バールームの薄暗いライトから
借りてあるホテルの部屋へ行くことにして
俺たちは会話もせずに歩きだした

She was a beauty but when she came to me
She must have thought I'd lost my mind
I couldn't hold her 'cause the words that he told her
Kept coming back time after time


女はきれいだったよ でも俺に話しかけてきたとき
思ったに違いないんだ 俺も同じく自暴自棄になってるって
俺はそいつを抱けなかったよ だって
あの男が女に言ってた言葉が次々に甦ってくるんだから

"You picked a fine time to leave me, Lucille
With four hungry children and a crop in the field
I've had some bad times, lived through some sad times
But this time your hurting won't heal
You picked a fine time to leave me, Lucille


おまえ 最悪な時に出て行ったよな ルシール
4人の腹を空かせた子ども 作物の収穫はどうする?
何度もツライ時期や悲しい時期も乗り越えてきたよな
でも今回が一番つらいよ
なんて時に出て行っちまったんだい ルシール

You picked a fine time to leave me, Lucille
With four hungry children and a crop in the field
I've had some bad times, lived through some sad times
But this time your hurting won't heal
You picked a fine time to leave me, Lucille"


おまえ 最悪な時に出て行ったよな ルシール
4人の腹を空かせた子ども 作物の収穫はどうする?
何度もツライ時期や悲しい時期も乗り越えてきたよな
でも今回が一番つらいよ
なんて時に出て行っちまったんだい ルシール

(Words and Idioms)
トレド(Toledo)=オハイオ州北西部に位置する工業都市。
across from=】…の向かいに.
depot=停車場,駅
walk over=試合などで相手に楽勝する
quitter=腰抜け、意気地なし、臆病者
ever after=その後ずっと
calloused=〔皮膚が〕硬くなった、硬化した、たこのできた
pick a fine time to =~するのに良い時を選ぶ、良いタイミングで~する
◆しばしば皮肉。その場合、真意は「悪いタイミングで~する」

日本語訳 by 音時

14-1Kenny


◆この曲「ルシール」の物語は、すべてが創作というわけではないようです。この曲の"Songfacts"ページに「ルシール」の書かれた背景が紹介されていました。

この曲は現実の出来事からインスピレーションを受けて書かれてます。作者のビナム(Bynum)がこの曲を書き始めたとき、彼自身が結婚の問題を抱えていたからです。ビナムは別の女性の誘惑に悩んでいて、彼の妻が荷物をまとめて出て行こうとしてたので、ビナムは「きみは僕から去っていくのにいい時間を選んだね(You picked a fine time to leave me)」と言いました。
もう1人の作者ボウリングは、トレド(Toledo)のグレイハウンドバスのバス停で言い争っているカップルの姿を目にし、その話をビナムに伝え、バス停をバールームの設定にするヒントを与えました。


すべてバーでの出来事って言うわけではなくて、作者ビナムの体験にもう一人の作者ボウリングの目撃したエピソードを重ねたってことのようです。

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また、2009年4月のQマガジンにでは、ケニーの面白い話が出ていました。

毎晩ショーを行い、この曲を歌うと、最初の4回くらいで「ねえ、私の名前ルシールって言うのよ」と必ず言ってくる人いるんだよ。そういう風に僕に話しかけてくる人は常に自分が最初の人だと思っているんだ。僕は逆らわないようにしてるんだよ。そうやって今までやってきてるんだ」
ケニーの母親はルシールという名前でした。母親は自分の息子の歌を耳にしたとき、自分のことだと思ったので、ケニーに電話をしてきて忠告をしました。ケニーは「歌を書いたのは僕じゃないよ」と説明し、母親は4人の空腹の子どもを残して夫を騙したりしないだろ?と言いました。実際、ルシール・ロジャースには8人の子どもがいたのですからね!

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