この曲はブルースはライブですでに演奏していましたが、歌詞に納得していなかったのでレコードでは未発表となっていました。でもその状況のまま、パティ・スミスに送られて、パティが詞を完成させて1978年にリリースしたところ、全米17位の大ヒットになりました。(メジャーなチャートではパティ・スミスのヒット曲はこの1曲のみです)

◆この曲のSongfactsで曲の背景について書かれていました。

ボスはこの曲の歌詞を完成させるのに格闘していた。そこでジミー・アイヴァン(Jimmy Iovine)のリクエストに同意してパティ・スミスに送って完成させてもらうことにした。スプリングスティーンはMojo誌(2010年8月)に次のように説明している。

これはラヴソングで、俺はそのときラヴソングはちっとも書けないでいたんだ。俺は隠れたラヴソングしか書かなかったからね。"For You"、"Sandy"、まあ"Thunder Road"もそうかな。それらの曲はまるで別な角度からやってくるんだ。俺のラヴソングはストレートにやってくることはまずないね。ダイレクトな曲が欲しがられていても俺自身がそれじゃ気分が良くないんだ。"頑固なサムライ"って感じかな。
"暗闇(Darkness)"は…すべてをはぎ取っていくんだ。人と人との関係も、すべて…そして自分自身が誰なのかってことに行きつく。だからこの曲は"Darkness On The Edge Of Town"に収録そこなった偉大なる歌なんだ。俺は彼女(パティ)がやってくれたように歌詞をうまくかけなかったからね。パティはちょうど Fred 'Sonic' Smith との恋愛の途中だったから、その心情を表現したんだ。彼女の書いた歌詞はとても素敵だったよ。

d3054d95ed39511cf78a259aeb54487e


ブルースの歌った"Because The Night"の歌詞は、他のアーチストも含めた"(大人の)ラヴソング"としては確かに平凡な感じがしますし、当時"明日なき暴走(Born To Run)"~"闇に吠える街(Darkness On The Edge Of Town)"アルバムに収録するには、単純に「愛に(夜に)逃げ込んだ二人」の歌はそぐわないように思います。

bruce-songs-because-the-night


◆しかし、これがライヴになると…演奏が入ってくるのでちょっと違ってくるんですね。ライヴでの"Because The Night"はイントロの演奏が長く、また間奏の演奏も力が入ったものになります。歌詞とメロディだけでなく表現がされるライヴ向きの曲だともいえるでしょう。

 ブルースの作品のなかで"レコードになっていない名曲"としてファンには知られていた"Because The Nigt"ですが、"Born In The U.S.A"の大ヒットの後、リリースされた5枚組ライヴアルバム"Live 1975-85"に収録されましたね。

100_SMEIG0100006701686


(Bruce Sptringsteen)

Released in 1985
From The Album"Live 1975-85"

:原詞は太字

Take me now baby here as I am
Pull me close try and understand
I work all day out in the hot sun
Break my back until the morning comes

ベイビー受け入れてくれ ありのままの俺を
そばに引寄せてくれ わかってほしいんだ
俺は太陽の下で1日じゅう働いてる
懸命に働くんだ 朝がやってくるまで

Come on now try and understand
The way I feel when I'm in your hands
Take me now as the sun descends
They can't hurt you now
They can't hurt you now
They can't hurt you now

こっちに来てくれ わかってほしい
おまえの腕のなかで俺が感じてることを
今すぐ俺を奪ってくれ 太陽はもう沈んだんだ
誰もおまえを傷つけたりはしない
誰もおまえを傷つけたりはしない
誰もおまえを傷つけたりはしないから…

Because the night belongs to lovers
Because the night belongs to us
Because the night belongs to lovers
Because the night belongs to us


だって
夜は 恋人たちのものだから
夜は 俺たちのためにある
夜は 恋人たちのものだから
夜は 俺たちのためにある

What I got I have earned
What I'm not baby I have learned
Desire is hunger is the fire I breath
Stay in my bed 'till the morning comes


稼いだものは手にしてきたけど
自分じゃなれないんだ 学んだところでね
欲望は飢餓のようで 俺の呼吸は炎のようだ
ベッドにいてくれ 朝がやって来るまで

Come on now try and understand
The way I feel under your hands
Take me now as the sun descends
They can't hurt us now
They can't hurt us now
They can't hurt us now


さあ来て 俺を理解してくれ
俺がどう感じてるのか おまえの腕のなかで
俺を奪ってほしい 太陽はもういない
誰も俺たちを傷つけたりしない
誰も俺たちを傷つけやしない
誰も俺たちを傷つけたりしないから

Because the night belongs to lovers
Because the night belongs to lust
Because the night belongs to lovers
Because the night belongs to us

だって
夜は 恋人たちのものだから
夜は 俺たちのためにある
夜は 恋人たちのものだから
夜は 俺たちのためにある

With love we sleep
With doubt the vicious circle
Turn and burns
Without you
Though I cannot live
Forgive me now
the time has come
Take the moment and
They can't hurt us now
They can't hurt us now

愛とともに俺たちは眠る
悪循環なんて俺たちは信じない
すぐに事態もよくなるさ
おまえがいなけりゃ
俺は生きていけない
許してくれ
時は来たから
この瞬間を生きていくんだ
誰も俺たちを傷つけはしない
誰も俺たちを傷つけたりはしないさ

Because the night belongs to lovers
Because the night belongs to us
Because the night belongs to lovers
Because the night belongs to us


だって
夜は 恋人たちのものだから
夜は 俺たちのためにある
夜は 恋人たちのものだから
夜は 俺たちのためにある…

(Words and Idioms)
break one's back=背骨を折る.懸命に努力する; 一生懸命働く
undercover=秘密に行なう,秘密の
lust=強い欲望、切望、渇望、色情、肉欲
as=~するので(原因を表す)
descend =下りる、降りる、降下する
here and now=今この場で, 即刻, 直ちに
vicious circle=(一連の事態の)悪循環
Turn and Burn=軍事用語「一撃離脱」(戦闘機がミサイルを撃ち込むと同時に反転して去っていくこと)、転じて「仕事を手早く済ませること」「事態の急転」

日本語訳 by 音時

BRUCE_SPRINGSTEEN_BECAUSE_TEH_NIGHT_LIVE_7_PIC_41


◆"Born In The U.S.A"から"Darkness…"の時期にブルースは沢山の曲をレコーディングしています。結局"Darknes…"に収録されなかった曲たちについて、2010年に"The Promise:The Lost Sessions"というアルバムが発表されました。ここに収録された"Because The Night"はパティ・スミスの歌詞を取り入れていますので聴き比べてみるといいと思います。

(パティの"Because The Night"の記事はこちら

◆"The Promise"に収録された"Because The Night",歌詞が微妙に違います。

 

◆ライヴでの"Because The Night"。すごい迫力です。(イントロ演奏長いです)



◆これはスゴい、パティ・スミス、U2(ボーノ)、ボスの共演。 (Live from the 25th Anniversary Rock and roll Hall of Fame concert!)