【これまで取り上げてきたスティーヴィー・ワンダーの和訳曲記事はこちらです】

 アルバム"Hotter Than July"のA面は曲間のつなぎが短く、悲しい曲"Rocket Love"が終わったかなと思うと、この曲"疑惑"がいきなり始まります。

 スティ―ヴィーの出だしの声が低いので何て歌ってるのか最初はわかりませんでした。ちなみに終盤の演奏がちょっと長いのですが、これがいきなり終わり、"As If You Read My Mind(目を閉じれば愛)"のイントロのピアノが始まります。


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◆リアルタイムでかなりよく聴いたアルバムです。1st シングルはアルバムに先駆けた先行シングル"Master Braster"でしたが、次は"レイトリー"だろうなと予想していたら、A面の「疑惑」だったので驚いたのを覚えています。

 結局"疑惑は"全米だと最高位11位、"レイトリー"は3rd シングルになりましたが、最高位は全米64位とトップ40入りも逃してしまいました。("レイトリー"は3人組の女性R&BコーラスグループのDivineのカバーが1988年に全米No1になっています)


(Side A)
-1.愛と嘘 - Did I Hear You Say You Love Me
-2.キャンドルにともした恋 - All I Do
-3.ロケット・ラヴ - Rocket Love
-4.疑惑 - I Ain't Gonna Stand for It
-5.目を閉じれば愛 - As If You Read My Mind

(Side B)
-1.マスター・ブラスター - Master Blaster (Jammin)
-2.孤独のダンサー - Do Like You
-3.哀しい絆 - Cash in Your Face
-4.レイトリー - Lately
-5.ハッピー・バースデイ - Happy Birthday


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(Stevie Wonder)


Released in 1980
US Billboard Hot100#11
From The Album“Hotter Than July”

:原詞は太字

Don't wanna believe what they're telling me
Somebody's been picking in my cherry tree
Don't wanna mistrust nobody by mistake
But I can tell
someone's been digging round in my cake


ひとの噂話なんて信じたくない
誰かが僕の桃の木から実を盗んだんだって
間違えて誰かを疑ったりなんてしたくない
でも誰かが僕のケーキを
かじって散らかしてったと確信したんだよ

And I ain't gonna stand for it baby
And I ain't gonna stand for it baby
And I ain't gonna stand for it baby

And I ain't gonna stand for it baby
And I ain't gonna stand for it baby
I ain't gonna stand for it baby


そんなの我慢できないよ
そんなのこらえるなんてできないよ
そんなの我慢できないよ
そんなの我慢できないよ
こらえるなんてしたくないよ
そんなの我慢がならないよ ベイビー


Don't wanna believe what somebody said
But somebody said
somebody's shoes was under my bed

Don't wanna cause nobody no bodily harm
But somebody's been rubbing
on my good luck charm



誰かが言ったことなんて信じたくない
でも誰かの靴が
僕のベッドの下にあったって言うんだ
誰かに暴力をふるったりするのは嫌だけど
誰かが僕の宝物に
触ってたみたいなんだ


And I ain't gonna stand for it baby
And I ain't gonna stand for it baby
And I ain't gonna stand for it baby

And I ain't gonna stand for it baby
And I ain't gonna stand for it baby
I ain't gonna stand for it baby


そんなの我慢できないよ
そんなのこらえるなんてできないよ
そんなの我慢できないよ
そんなの我慢できないよ
こらえるなんてしたくないよ
そんなの我慢がならないよ ベイビー

(Words and Idioms)
mistrust=〈…を〉信用しない; 疑う
stand for=~を我慢する、~をこらえる
good-luck charm= 幸運のお守り、幸運を呼ぶもの

日本語訳 by 音時

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◆"I Ain't Gonna Stand For It"は和訳すると"もう我慢ならねえ!"ですが、さすがにパンクロックの邦題でもこんなタイトルはつけません。それでも漢字2文字の「疑惑」とつけるとはなあ(^▽^;)。

 でもこれはスティーヴィーの代表曲で「迷信」(Superstition)、「悪夢(You Haven't Done Nothing)」、「回想(I Wish)」と漢字2文字熟語シリーズ(僕が命名)があるので、その並びに位置するのでしょう!


「桃の木から盗まれた」「ケーキをかじったあと」などは、ホントのことではなく比喩で、恋人にちょっかいをかけた(浮気をされた)ってことかなと思いました。

(12インチヴァージョンには3rd Verseがあるようです)~Youtubeに音源が見当たりませんでした(^▽^;)

I feel the truth and it sure don't lie
'Cause somebody done cut off a piece of my pie
I'm what you call a non-violent man
Until I get somethin' dangerous in my hand
But I ain't gonna stand for baby…


事実だって思うよ 事実は嘘はつかないさ
だって誰かが僕のパイをかじった後がある
僕はいわゆる 非暴力主義者だけれど
アブナいものを手にしたら
使ってしまうかもしれないよ
そんなの我慢できないよ ベイビー…




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 なぜ"これ以上何かあるようだったら暴力をふるってしまうかも"という作者スティーヴィーの想いがここに入っているのか、ちょっと思い当ることがあります。このアルバム"Hotter Than July"のジャケットの内側には、故マーティン・ルーサー・キング牧師を称える写真などが入っていて、彼の誕生日を祝日にしよう!と呼びかけた"Happy Birthday"が収録されています。マーティン・ルーサー・キング牧師は「非暴力主義」。でも暗殺されてしまいました…。

 牧師の生命を奪った勢力にたいして、「目には目を、暴力には暴力を」を呼びかけた人たちもいたでしょう。でも平和を望む人達はガマンをしました。暴力には暴力、武器には武器...ということで人の命を奪うことが繰り返されて行われる社会はキング牧師が望んだものではありませんから。でも…"我慢できないよ!"。

そんな関係もこの曲の歌詞からは感じました。

◆エリック・クラプトンが、2001年リリースのアルバム"Reptile(レプタイル)"でこの曲をカバーしています。("Reptile"とは「爬虫類」のこと。クラプトンによると、爬虫類というのは、地元の居酒屋で一緒に一杯やろうか、ていうようなヤツのことらしいです)


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◆“疑惑”が最高位11位を記録した週の全米チャートです。
US Top 40 Singles Week Ending March 7, 1981

エディの"恋のレイニー・ナイト"が2週連続の1位。エディに首位の座を譲ったドリー・パートンがしぶとく2位をキープ。翌週はドリーが1位に返り咲きます!ジョンの"ウーマン"、名曲です。売れなかったREOが"禁じられた夜"で全米制覇!スティクスも名盤"パラダイス・シアター"。ここからの"ベスト・オブ・タイムス"、よく聴きました。スティーヴィーの"疑惑"は3週間11位とトップ10入りはならず。
 
-1 1 I LOVE A RAINY NIGHT - Eddie Rabbitt
-2 2 9 TO 5 - Dolly Parton
-3 3 WOMAN - John Lennon
-4 5 KEEP ON LOVING YOU - REO Speedwagon
-5 6 THE BEST OF TIMES - Styx

-6 4 CELEBRATION - Kool and the Gang
-7 11 CRYING - Don McLean
-8 8 GIVING IT UP FOR YOUR LOVE - Delbert McClinton
-9 10 THE WINNER TAKES IT ALL - Abba
10 14 HELLO AGAIN - Neil Diamond

11 12 I AIN’T GONNA STAND FOR IT - Stevie Wonder



◆クラプトンの"I Ain't Gonna Stand For It".元曲を生かしているので、ギターの絡み方がなかなか新鮮に聞こえます。コーラス隊も楽しそうだな。