(English Version)
ネーナの「ロックバルーンは99」。日本でも流行りましたね。オリコン洋楽シングルチャートで1984年4月2日付から4週連続1位を獲得しています。
しかし…"ロックバルーン"って何? そして"99"の数字は?と考えてみると、この邦題はまったく意味がわかりませんね(^▽^;)
原題は"99 Luftballons"。"Luftballons"はドイツ語で「風船」。日本ではドイツ語で歌われたオリジナルバージョンがヒットしました。ウィキペディアによると、1984年の来日公演では、持ち歌が少なかったこともあり、この曲を4度も演奏した...とのこと(^▽^;)。
◆ネーナはバンド名でもあるのですが、紅一点のボーカリスト"ガブリエレ・ズザンネ・ケルナー"(Gabriele Susanne Kerner)さんも芸名「ネーナ」を名乗っています。スペイン語で「小さな女の子」って意味なんですね。バンド「ネーナ」は1987年に解散したあとは、彼女が「ネーナ」の名前で活動しています。
ネーナのギタリストのカルロ・カーゲス(Carlo Karges)は西ドイツで行われたローリングストーンズのコンサートでこの曲のアイデアを得たそうです。確かに"Let's Spend The Night Together"のステージビデオなんか見てて、風船すげーなーと僕も思いました。カルロがその風景からヒントを得て歌詞を書き、キーボード奏者の ウヴェ・ファーレンクロック=ペーターセン(Uwe Fahrenkrog-Petersen)が曲を作りました。
当初はネーナの本国だけでの発売で、アメリカでリリースすることなどまったく想定してなかったのですが、L.AのKROQ局のディスクジョッキーがこの曲をかけ始めて火が点きました。元々のドイツ語を英語に変えてレコーディングを行い、タイトルを"99 Red Balloons"としてアメリカでリリースされ、大きなヒットとなりました。
下の歌詞を見ていただくとわかるのですが、海外ではこの曲は「反戦歌」。日本では邦題のせいもあり、まったくそういった印象がないでしょうね。
◆また、ドイツ語の原題では「99の風船」というだけで、「赤い風船」とは歌ってないんですね。アメリカでの英語でのレコーディングの際に風船の色"Red"が付け加えられたようです。浅田美代子さんに許可は取ったんですかね?(←ちょっと笑ってほしいところ)
(ドイツ語での原詞はこちら)
Joern-Uwe Fahrenkrog-Peterson, Carlo Karges
Kevin McAlea (English lyrics)
Publisher: Sony/ATV Music Publishing LLC
Released in 1983
US Billboard Hot100#2
From The Album“Nena”
US Billboard Hot100#2
From The Album“Nena”
:英語詞は太字
You and I in a little toy shop
Buy a bag of balloons with the money we've got
Set them free at the break of dawn
Til one by one, they were gone
あなたと一緒に小さなオモチャ屋さんに行き
袋詰めの風船を買えるだけ買うの
膨らませて飛ばすのよ 明け方の空へ
一つずつ飛ばして どこかへ飛んでいったわ
Back at base bugs in the software
Flash the message, something's out there
Floating in the summer sky
99 red balloons go by
基地ではソフトウェアにバグが発生
"何かが発生"とメッセージが点滅する
夏の空に浮かんでいるのは
99個の赤い風船だというのに
"何かが発生"とメッセージが点滅する
夏の空に浮かんでいるのは
99個の赤い風船だというのに
99 red balloons floating in the summer sky
Panic bells, it's red alert
There's something here from somewhere else
Panic bells, it's red alert
There's something here from somewhere else
The war machine springs to life
Opens up one eager eye
Focusing it on the sky
Where 99 red balloons go by.
99個の赤い風船が夏空に浮かんでる
警戒警報が鳴り 赤い非常灯がつく
どこからか現れた 正体不明の何かがここに
Opens up one eager eye
Focusing it on the sky
Where 99 red balloons go by.
99個の赤い風船が夏空に浮かんでる
警戒警報が鳴り 赤い非常灯がつく
どこからか現れた 正体不明の何かがここに
戦争兵器がにわかに作動し始め
鋭い目つきを見開いたわ
空を行く99個の赤い風船の行先に
照準が合わせられた
鋭い目つきを見開いたわ
空を行く99個の赤い風船の行先に
照準が合わせられた
99 Decision Street, 99 ministers meet
To worry, worry, super-scurry
Call the troops out in a hurry
To worry, worry, super-scurry
Call the troops out in a hurry
This is what we've waited for
This is it boys, this is war
The president is on the line
As 99 red balloons go by
This is it boys, this is war
The president is on the line
As 99 red balloons go by
99通りの決定が通りを行き交い
99回 大臣達の会合が開かれた
不安にかられて てんてこ舞い
すぐに軍隊が招集される
99回 大臣達の会合が開かれた
不安にかられて てんてこ舞い
すぐに軍隊が招集される
これこそが待ってた事態なんだ
今がそのときだ これが戦争だ
大統領は決断を迫られた
99個の赤い風船が漂ってるだけなのに
今がそのときだ これが戦争だ
大統領は決断を迫られた
99個の赤い風船が漂ってるだけなのに
99 Knights of the air
Ride super-high-tech jet fighters
Everyone’s Silverhero
Everyone’s Captain Kirk
Ride super-high-tech jet fighters
Everyone’s Silverhero
Everyone’s Captain Kirk
With orders to identify
To clarify and classify
Scramble in the summer sky
As 99 red balloons go by.
To clarify and classify
Scramble in the summer sky
As 99 red balloons go by.
99人の空の騎士たちが
最新鋭ハイテクのジェット戦闘機に乗り込む
誰もが スーパーヒーローになって
誰もがカーク艦長になった気分
最新鋭ハイテクのジェット戦闘機に乗り込む
誰もが スーパーヒーローになって
誰もがカーク艦長になった気分
特定し明確にし
それが何か分類せよと命令が下された
夏空に緊急発動 スクランブル状態に
99個の赤い風船がふわふわ浮いてるだけなのに
99 dreams I have had
In every one a red balloon
It's all over and I'm standing pretty
In this dust that was a city
それが何か分類せよと命令が下された
夏空に緊急発動 スクランブル状態に
99個の赤い風船がふわふわ浮いてるだけなのに
99 dreams I have had
In every one a red balloon
It's all over and I'm standing pretty
In this dust that was a city
If I could find a souvenir
Just to prove the world was here…
And here is a red balloon
I think of you and let it go.
Just to prove the world was here…
And here is a red balloon
I think of you and let it go.
99個のかつて抱いていた夢
一つ一つが赤い風船に込められてる
すべては終わり かつては街だった
瓦礫のなかに 立ち尽くす私
一つ一つが赤い風船に込められてる
すべては終わり かつては街だった
瓦礫のなかに 立ち尽くす私
ここに世界があったと証明できる何か
お土産を見つけらるとしたら...
それはここにある1つの赤い風船
あなたのことを想って 空に飛ばそうかな
お土産を見つけらるとしたら...
それはここにある1つの赤い風船
あなたのことを想って 空に飛ばそうかな
(Words and Idioms)
spring to life=突然活気づく
eager eye=熱心な目
scurry=(小走りに)急いで行く
troops=兵; 軍隊
on the line=境界線上で、危うくして;賭かけて
Captain Kirk=James Tiberius Kirk)はSFドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の人物
clarify=~を明確にする、はっきりさせる
classify=分類する
scramble(スクランブル)= 国籍不明の航空機の侵入に際して、迎撃戦闘機が緊急に出動すること。緊急発進
pretty=ほとんど、だいたい
日本語訳 by 音時
◆僕はほとんど記憶がなかったんですがウィキペディアによると、
ドイツにおける長期的な'80年代ブームの中、2002年に「ネーナ」の元キーボード、ウヴェ・ファーレンクローク=ペーターゼンと組んでかつての大ヒット曲『ロックバルーンは99』を新ヴァージョンで発表すると人気が復活、奇跡的なカムバックを果たした
とあります。2005年に発表したシングル「Liebe ist」は、ドイツの人気ドラマ「Verliebt in Berlin」の主題歌になったこともあり、「99 Luftballons」以来22年ぶりのヒットチャート1位を獲得しています。
2019年の11月のニュースですが、ネーナはドイツでリバイバルブームになっているようですよ。
◆これも知りませんでした。ネーナのビジュアルもあって、こんな青春映画が作られていたんですね。
世界的な大ヒットを記録した「ロックバルーンは99」で知られる西ドイツの女性ボーカリスト、ネーナ主演で製作された青春ロード・ムービー。2人の青年の間で揺れ動く少女の旅をコメディ・タッチで描く。ハイスクールの人気者ティナは、恋人ティーノを追うために、彼女に思いを寄せる青年ロビーを言いくるめて旅に出た。ベニスを目指し、ロビーの愛車ベスパで出発した2人。ところが旅の途中、暴走族にベスパを壊されてしまい……。
90分/西ドイツ 原題:Gib Gas - Ich will Spass!(映画.com)
◆この曲がヒットしていた頃の全米ビルボードチャートを見てみましょう。
US Top 40 Singles For The Week Ending March 3, 1984
ネーナは2位まで上がりましたが、ヴァン・ヘイレンが強かった~!そのお陰でシンディも最高位2位で涙を呑んでいます。
7位ロックウェルも元気がよかったのですが、この曲も最高2位止まり。こちらもヴァン・ヘイレンとこの週14位でこの後急上昇して1位になるケニーの"フットルース"のせいなのです!
7位ロックウェルも元気がよかったのですが、この曲も最高2位止まり。こちらもヴァン・ヘイレンとこの週14位でこの後急上昇して1位になるケニーの"フットルース"のせいなのです!
1 1 JUMP –•– Van Halen (Warner Brothers)-8 (2 Weeks at #1) (1)
2 3 99 LUFTBALLONS –•– Nena (Epic)-13 (2)
3 4 GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN –•– Cyndi Lauper (Portrait)-12 (3)
4 5 THRILLER –•– Michael Jackson (Epic)-4 (4)
5 7 NOBODY TOLD ME –•– John Lennon (Polydor)-7 (5)
2 3 99 LUFTBALLONS –•– Nena (Epic)-13 (2)
3 4 GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN –•– Cyndi Lauper (Portrait)-12 (3)
4 5 THRILLER –•– Michael Jackson (Epic)-4 (4)
5 7 NOBODY TOLD ME –•– John Lennon (Polydor)-7 (5)
6 2 KARMA CHAMELEON –•– Culture Club (Virgin)-14 (1)
7 12 SOMEBODY’S WATCHING ME –•– Rockwell (Motown)-6 (7)
8 9 WRAPPED AROUND YOUR FINGER –•– The Police (A&M)-9 (8)
9 8 LET THE MUSIC PLAY –•– Shannon (Mirage)-17 (8)
10 13 I WANT A NEW DRUG –•– Huey Lewis & The News (Chrysalis)-8 (10)
◆2005年の大ヒット「Liebe ist」。タイトルは「愛は...」という意味、なかなかいい曲です。
(ドイツ語の歌詞の意味はこちらの方のブログページをご参照ください)
コメント
コメント一覧 (13)
このネーナの曲が流行った時代から比べると、まさに「自由」を謳歌している様に、私には映り、死ぬ前に一度は自分の目で見ておきたい、と。
しかし、異国を旅していつも感じるのは、日本で紹介されている側面以外の面が非常に多く、理解不能なまでに複雑で重層的あるということで。。。この広く知られたネーナにさえ、洋楽好き日本人が抱くイメージ以外のものを感じ取る人々が現地ではおられるようでした。
日本とは異なり、なぜ「自由」「平等」「愛」といったテーマが欧米で取り上げられ続けるのか...ほんの少しですが垣間見た気がしました。
とりあえず、私はネーナ、大好きですけど。(ドイツ語の勉強にもなるし)
この歌詞に似た事が何年か前起きたのでしたね。インド・パキスタン間で。
この曲からうん十年経って、年くってからまた核戦争の危機に直面することになるとは。。。
いっそジンギスカンを歌って踊っておくべきでした。
その電源を入れたとたん、流れてきたのがこの曲でした。
なにゆえにこの曲が…、と、一瞬疑問に思ったものですが、よく考えるとなんてことはない。
本日の日付が9月9日だからだったわけです。
つまり、9が2並んでナイティナイン。
実はその職場でよく聞いているそのFM番組、チョイチョイこういったダジャレで選曲することもあるんです。
昨年は、その番組で銭湯の話題を取り上げたところ、その後にかかった曲が、ジョン・パーの『セント・エルモス・ファイアー』。
なぜこの曲がかかったのかは、もうお察しがつくと思います。
ということは、そのネーナの曲の後に来る曲といえば、TOTOの『99(ナイティナイン)』。
ところが、この曲が終わった直後にはCMが入り、思いっきり肩透かし。
「そうベタな選曲はしないだろうな」と思っていたら、2時間後のエンディングには、きっちりTOTOの『99』を流してくれました。
まさに、期待を裏切らない選曲であります。
ちなみに、その職場では、ネーナもTOTOも知らない人ばかり。
エンディングでTOTOが流れた時には、職場でひとりニンマリしてしまいました。
たしかに、直接的な反戦歌ではなくて、表現はブラックユーモアであり風刺です。だからこそ国を越えて多くの方に聴かれ続ける一曲になりましたね!
思わずブームタウン・ラッツのヒット曲の邦題“哀愁のマンデイ”を思い浮かべてしまいましたが…。
歌詞の内容は皆さん、ひどくシリアスなものと捉えられているようですが、僕はむしろユーモラス(ブラック・ユーモア?)に思えます。少なくとも単純に戦争を糾弾しているわけではないのじゃないかと。
曲調的にも、真面目にシリアスと言うよりはむしろアイロニカルではすっぱ、という気がします…。
「あー、そーいやーこの頃はドイツは東西に別れてたなー」みたいなことも思い出しました。
「遠い世界に」などを歌ってた「五つの赤い風船」というフォークグループもありましたが、日本では「99の赤い風船」という邦題タイトルでもフォークファンが注目したかも?、のわけ、ないですね(^_^;)。
いやいや、こんなシビアな反戦歌詞だったとは、驚きました。
邦題を「ロックバルーンは99」と柔らかくしたのが日本でのヒットに結びついたののかもしれません、邦題のネーミングは正解でしたのかも。
この曲大好きだったのですが、イッパツで終わって残念でした、が、今回、2000年代になってから復活したと聞いてなんかうれしかったです。
「幸せだった」と言えばそうなんでしょうね。紹介したい、僕には取り上げたい曲がまだまだ浮かんでくるのは、きっとそういうことなんだろうと思います(^-^)/。
①「マドンナがコンサートでスゴい衣装着てたよ」
「まー、どんな?」
②「ミック・ジャガーさんは日本食が好きだと聞きましたが、なかでも特に好きなのはなんですか?」
「ニック・ジャガ!」(肉じゃが)
ネーナのウィキペディアには初来日公演で「ロックバルーンは99」を2回どころではなく「計4回」演奏とありました!ほんとかな。
Nenaですかー。いや、ほんとに懐かしい。21世紀に入ってからも本国では頑張っていたのですね。
「一発屋」というと軽く聞こえてしまいますが、当時は英米どころか日本にいる中学生まで「なーなぃなー」って歌ってました。偉大だと思います。初めて知ったのはブレイクする直前、野中ともよさんがキャスターを務めていたNHKの「海外ウィークリー」という番組で紹介されていたのを観てからですね。PV中、あんなにカワイイNenaが両腕を上げた時のワキ毛!80年代ではかなりショッキングだったことを思い出します。
80'sって洋楽も邦楽もメロディアスだったし、かつ、その前の時代の楽曲より洗練されてましたよね。今聞いても音の技術に違和感がないですし。10代を過ごせて幸せ、だったのかなー?(1970年生まれです!)
その中のクラスメートの1人が、「好きな歌手はネーナ」と答えていた生徒がいました。
ところが担任の先生は、ネーナのことを知りません。
そこで先生は、「早よ寝ぇな(関西弁で「早く寝て」の意)のネーナか?」なんてダジャレでごまかしていました。
ダジャレになるアーティストって、アル・ジャロウだけじゃなかったようですね。
ところで、20年ほど前に発売された80sのコンピレーションアルバムには、この曲『ロック・バルーンは99』が収録されていました。
そのライナーノーツによりますと、この曲が流行った数年後にネーナが来日公演を行ったそうなのです。
ところがその当時のネーナはまだヒット曲が少なかったため、1回の公演で同じ曲を2回も演奏していたらしいです。
さすがに好きな曲だからといって、1回の公演で2回聞くのはキツそうです。