ルパートの1979年リリースのアルバム「パートナーズ・イン・クライム」。「エスケイプ」「ヒム」の大ヒットもここから生まれ、日本でも売れまくったアルバムかと思います。


僕にとっても、都会に生きる人たちのショート・ストーリー集のような曲がたくさん入っていてとても面白いアルバムです。

◆昨年2019年のムック本「AOR AGE Vol.14」はルパート・ホームズの特集号で、こいつがヨカッタ!(^▽^)。「パートナーズ・イン・クライム」全曲特集をはじめ、ルパートのキャリアを本人が語っていたり、なかなか興味深く読めました。


この本を読んで知ったことの一つが、、ルパート・ホームズの本名。「えっ本名じゃなかったんだ(゚Д゚)ノ」というのが率直なところ。本名は David Goldsteinだったのですが、好きな英国のマンガのキャラクター"Rupert Bear"から"Rupert"を。またルパートはシャーロック・ホームズが好きで、"Holmes"はそこから...いただいたんですね。l

◆この曲はLPレコードだと、B面3曲め。ルパートはこの曲についてこんなコメントをしてます。

僕が一番気に入っている曲なんだ。だって、誰もが抱いたことのある感情だと思うからね。ただの通りすがりで、人生においてもう二度と逢うことのない人を見て「もしかすると、あの歩いていった人が人生最愛の人だったのかもしれない」と思ったりするんだ。


ふむふむ、そんなことを歌った歌なんだな...。

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(Rupert Holmes)


Released in 1979
From The Album“Partners In Crime”

:原詞は太字

You're browsing through a secondhand bookstore
And you see her in nonfiction V through Y
She looks up from World War II
And then you catch her catching you catching her eye


きみは古本屋をぶらついていた
ノンフィクションのVからYの棚に彼女がいて
第二次世界大戦の本を調べてるんだ
そのとききみは気付くのさ
彼女の瞳を見つめてるきみに気づく彼女をね


And you quickly turn away your wishful stare
And take a sudden interest in your shoes
If you only had the courage, but you don't
She turns and leaves and you both lose



するときみは物欲しげな眼差しをすぐに逸らし
すぐに自分の靴に興味が湧いたようなふりをする
もし勇気があったなら そうはしなかったはず
彼女も背を向けて本屋を出て行く
きみたち二人ともだめだったんだね


And you think about
the people that you never get to love
It's not as if you even have the chance
So many worth a second life
But rarely do you get a second glance
Until fate cuts in on your dance


そしてきみは頭に浮かべてる
きみが恋するはずのない人たちのことを
チャンスがないわけじゃない
二つ目の人生を送るのにふさわしいことばかり
でもきみは二度見することもほとんどない
運命がきみのダンスに割り込んでくるまでは

And you'll see her on a train that you've just missed
At a bus stop where your bus will never stop
Or in a passing Buick
When you've been pulled over by a traffic cop



きみは乗り損ねた電車に乗ってる彼女を見る
きみのバスが止まらない停留所に彼女が立っているかも
それともきみが取り締まりのおまわりさんに
車を端に停めるよう指示されてるときに
すれ違う高級車のなかに彼女がいるかもしれない


Or you'll share an elevator, just you two
And you'll rise in total silence to your floor
Like the fool you are, you get off
And she leaves your life behind a closing door



それともエレベータで二人きりに乗って
じっと沈黙のまま自分のフロアまで上がって
馬鹿みたいに そこでただ降りるのさ
閉じたエレベータのドアの向こうに
きみの人生が彼女に置いていかれるんだ


And you think about
the people that you never get to love
The poem you intended to begin
The saddest words that anyone has ever said
Are "Lord, what might have been"
But no one said you get to win


そしてきみは考えてみる
きみが恋に落ちることのない人たちのことを
きみが書き始めようとした詩のことをね
誰もが口にする一番悲しい言葉は
"神さま、あのときああしてたらなあ"
だけどきみがうまくいく保証なんてないんだよ

Still you're never gonna miss what you don't know
And you don't know who you'll meet at half past three
It could be a total stranger
Who looks something just exactly much like me



でもきみは知らないことを見逃したりはしない
今日の3時半に誰と出会うかなんてわからない
その人は僕とまさにそっくりな
何かを求めてる見知らぬ他人かもしれないよ

One of the people that you never get to love
One of the people that you never get to love
The people that you never get to love


きみが恋するはずのない人のひとり
きみが恋するはずのない人のひとりなんだ
きみが恋するはずのない人たちなのさ...


(Words and Idioms)
browse=〔本・雑誌などを〕ざっと見る、閲覧する
look up =<単語>を<辞書で>調べる
wishful=もの欲しそうな,(…を)望んで
stare=じっと見る、凝視
Buick(ビュイック) =米のゼネラルモーターズ(GM)が製造・販売する乗用車のブランドのひとつ。
pull over=車を道の片側に寄せる、道の片側に寄る
might have been=過去にあったらよかったのにと思うこと


日本語訳 by 音時

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◆はい、ちょっともの哀しく、また、これもまた人生なのだ、というサブタイトルが似合いそうな曲ですね。歌詞の"you catch her catching you catching her eye""も一文で"catch"が3回も出てくるへんな文でした。


◆アルバムではA面3曲目「ニアサイテッド(Nearsighted)」。"近視"のことなんですね。



◆ルパート特集「AOR AOR」です。

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