楽しく陽気なワム!の曲たち...ジョージは自分が子どもの時から好きだった音楽を自分なりに取り入れて、素敵な作品を生み出してきました。
 最初からジョージのソロだったらどうだっただろう?とちょっと考えてみました。うん、でもワム!はやっぱり、アンドリューとのデュオというスタイルだったからこそ、若者たちに親しみをより持たれたんじゃないかなと思います。

◆ジョージのソロ“Faith”はその集大成。先行したシングル「I Want Your Sex」を聴いたときは「ジョージ大丈夫か...(-_-;)」と思いましたが、タイトル曲「Faith」はPVのカッコ良さと合わせ、彼の信念を感じました。バラード“One More Try”に涙し、彼の心のなかをアルバムラストの“Kissing a fool”で垣間見ることができました。

 「偏見を持たずに聴いてくれ」…ジョージは次のアルバム“Listen Without Preudice Vol.1”にはタイトルからメッセージを込めていました。しかも「Vol.1」と付けており、続編も作っていくことを明らかにしました。でも、僕はすぐにアルバムを買って聴きましたが、アルバム全体を通しては“Faith”と違って、“ちょっと重いな...(-_-;)”という感想。シングルになった「Praying for time」と「Waiting For That Day」を自分のMD(だったと思うな)に録音して抜き出し、その2曲ばかり聴いていたような記憶があります。

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◆この曲「Praying For Time」はアルバムのオープニング曲。ジョージのボーカルもメッセージを語りかけます。「偏見を持たずに聴いてくれ」というジョージの挨拶の曲として一生懸命に聴いたつもりではありますが、難解でした...。この曲のSongfactsページには

「ジョージ・マイケルは反響的なボーカル効果を使用して、ジョン・レノンの“イマジン”に似たファジーな口頭音を生み出しました」

と書かれていましたが、確かにジョージにとっての「イマジン」であるのではないかといま思います。

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(George Michael)

Released in 1990
US Billboard Hot100#1
From The Album
“Listen Without Prejudice Vol. 1”

:原詞の引用は太字

These are the days of the open hand,
they will not be the last
Look around now
These are the days
 of the beggars and the choosers

This is the year of the hungry man,
whose place is in the past
Hand in hand
with ignorance and legitimate excuses

誰でも"気前のいい"時代があった
でもそんな時代は続かない
見回してみてよ
今は"恵んでもらう者"と
"選り好みできる者"に分かれる時代さ

“飢えた人”の年月
過去の栄光にすがって
無知どうし 手を繋いで仲良しこよし
言い訳を正当化してるんだ

The rich declare themselves poor,
and most of us are not sure
If we have too much,
but we'll take our chances
'Cause god's stopped keeping score

I guess somewhere along the way
he must have let us all out to play
Turned his back,
and all god's children 
crept out the back door

金持ちなのにお金がないと言い切って
僕たちの多くは どんなに持っていたとしても
ちっとも確信がない 
でもチャンスはやってくる
だって神さまは採点を止めてしまったから

思うに神さまはどこか途中で僕たちみんなを
放ったらかしにしてしまったに違いないんだ
僕らに背を向けて 神さまの子ども達みんなと
裏口からそっと出て行ってしまったのさ

And it's hard to love, there's so much to hate
Hanging on to hope 
when there is no hope to speak of
And the wounded skies above say 
it's much, much too late
Well maybe we should all be praying for time


愛し合うことは難しく 憎むことがありすぎる
希望にすがり付くんだ 
語れるようなものがなくても
傷ついた空が頭の上で語りかける
“遅いんだ  もう遅すぎる”
ああ 僕らにできるのは
時間をくださいと祈ることだけ...

These are the days of the empty hand,
oh you hold on to what you can
And charity is a coat you wear twice a year

This is the year of the guilty man,
your television takes a stand
And you find that what was over there 
is over here

“持てるものなどない”時代さ
ああ 手に入れられるものにしがみついてる
施しは年に2回着るコートだけで

今年は“罪を犯したひと”の年
テレビではそんなことを言い切っているけど
そこで話されてることは
ここでも起こっているってわかるだろう

So you scream from behind your door
Say "What's mine is mine and not yours"
I may have too much but i'll take my chances
'Cause god's stopped keeping score

And you cling to the things they sold you
Did you cover your eyes when they told you
That he can't come back
'Cause he has no children to come back for


そしてドアの後ろから叫ぶんだ
“僕のものは僕のもの きみのものじゃない”
僕は持ちすぎてるかもしれないけど
チャンスが巡ってきて手にすることになる
神さまが採点を止めてしまったんだ

売りつけられるものにすがりついてるんだ
声をかけられたとき目をつぶるのだろうか?
神さまは戻って来られない
だって神が帰るのを
待つ子ども達はいないから

It's hard to love, there's so much to hate
Hanging on to hope 
when there is no hope to speak of
And the wounded skies above say 
it's much too late
So maybe we should all be praying for time


愛を持つには難しい 憎むことばかり
口にできるものなどなくても 
希望にすがり付くしかない
頭の上の傷ついた空が
“もう遅すぎ”と語りかける
だけど 僕らにできるのはたぶん
時間をくださいと祈ることだけなんだ...

(Words and Idioms)
open hand=気前[きっぷ]の良さ
cf.Beggars can’t be choosers.=乞食は選り好みできない
legitimate excuse 《a ~》=正当な弁明
keep score=採点する
somewhere along the way=どこか途中で、途中のどこかで
take a stand 〔~に対する〕態度を明確にする、立場を公言する

日本語訳 by 音時

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◆難解な歌詞...今でも何を指しているかよくわからない箇所がありましたが、この曲のSongfactsページに書かれていた、1990年9月16日のニューヨークタイムズでのジョージのこの曲についてのコメントを読んで、大意をつかんだつもりではあります。次のように話しています。

何かのイベントに影響をされたわけじゃない。どうして人々がお互いに仲良くなるのが難しいかを理解しようっていうのが僕のやり方なんだ。

問題は人類個人に固有のものではなく条件付きなものだと信じてる。メディは僕たちが思うよりもはるかに多くの人たちの意識に影響を与えてる。メディアが原因となり、世界というものは実態がなくなり時間が不足してる場所になってしまった。
   僕たちは世界がなくなってしまうより前にできることを掴んでおかなきゃいけないと教わってる。まるで"思いやり(Compassion)の時間がなくなってるみたいだ。

また、歌詞のこの部分についてもコメントされています。

These are the days of the open hand
They will not be the last
Look around now, these are the days
Of the beggars and the choosers

ここで使ってる"open hand"だけど、僕にとっては、この国にいる膨大な数の人々を表してるんだ。これらの人々は自裁には貧困というラインのいるか、またはこれから貧困以下の暮らしになろうとしているんだ。
  また"beggars and the choosers"という言葉を使ったのは気に入ってるよ。なぜかというと、"beggars and the choosers"は別な言葉に置き換えることができるよね。"beggars and the choosers"という言葉だけど、その中間っていうのはないっていうのが僕の言いたいことだ。最近の社会では僕はそう感じているよ。

This is the year of the hungry man
Whose place is in the past
Hand in hand with ignorance
And legitimate excuses

この部分の歌詞だけど、この国や海外で、"飢えた人たち(the hungry men)"というのが実際に存在していて、そのことは誰でも知ってる、人々も何が起こっているのかわかっているってことなんだ。これまでの過去で正当な言い訳をしてたけど、それは無知だったからだ。そんな時代は過ぎたのさ。"飢えた人たち"の問題はもうよく知られた事実さ。

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◆ジョン・レノンは「想像してごらん」と呼びかけ、心のなかでの幸せをみんなが祈ることで世界がひとつになれれば…と歌いました。一方、ジョージ・マイケルは“神は出て行ってもう帰らない”今の時代のなかで、僕たちができるのは「時間をくださいと祈ることだけ...」と歌いました。

 祈りが通じるかどうかの確信はなくても、現代に起こっている様々な問題に目を向けていかなくては...と前向きに歌っているものと解釈しています。

 今年のジョージの追悼は、この曲で締めくくりたいと思います。来年はこの曲以降のジョージを追っていければ...と考えています。(うーん、でもちょっとツラいな...)
 ジョージ、素敵な曲たちをありがとう、R.I.P...。