エリックのこのヒットは複雑な気持ちでした。

確かに久々に全米チャートのトップ10にエリックが入ってきたというだけで嬉しいし、エリックが健在であることを示してくれたのですが、本人作ではなく、映画「ダーティ・ダンシング」のヒットがあったからこそのものかと思い...。もちろんこれはエリック自身もそう思っていたかと思います。

◆映画「ダーティ・ダンシング」について(Wikipedia):

『ダーティ・ダンシング』(Dirty Dancing)は、1987年のアメリカ合衆国製作の青春恋愛映画。家族と共に夏休みを過ごすティーンエイジャーの女の子が、父に逆らってダンスのインストラクターと恋に落ちるという内容である。映画のほぼ3分の1を占めるのが、『ハイスクール・ミュージカル』でも有名なケニー・オルテガ振付によるダンス・シーンで、映画ラストは「映画史上、最も鳥肌だつダンス・シーン」として知られている。


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"Dirty Dancing"とは...男女が身体を密着させてセクシャルな動きをしながら踊るマンボダンスのこと。ジェニファー・グレイ演じる"ベイビー"は、パトリック・スウェイジ演じる"ジョニー"のダンスの特訓を受けて段々踊れるようになってきます。この曲「Hungry Eyes」はその場面で使われます。
下記のYoutubeをご参照。"ベイビー"のダンスの上達ぶりと恋に落ちていく(^▽^;)のがよくわかります。付き添いの女性はシンシア・ローズ演じる"ペニー"。




◆映画の音楽プロデューサーは、ラズベリーズ、エリックのソロアルバムとずっとプロデュースを担当していたジミー・イエナーでした。
エリックのセカンドアルバムの「Boats Against The Current」で決別したあのジミーです。(「雄々しき翼」(Boats Against The Current)」の記事をご参照ください)

しかも「オリジナルの曲を提供してくれ」というわけではなく他の人の曲を歌ってくれ?との依頼だったんでしょう。エリックは複雑な思いをして引き受けたんでしょうね。それで久々の大ヒット!になったわけです。


HungryEyes


Songwriters: DENICOLA, JOHN / PREVITE, FRANKE JON
lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC

Released in 1988
US Billboard Hot100#4
From The Album"Dirty Dancing (soundtrack)"

:原詞は太字

I've been meaning to tell you
I've got this feelin' that won't subside
I look at you and I fantasize
You're mine tonight
Now I've got you in my sights

きみにずっと言おうとしてたんだ
静まることのないこの気持ちをね
きみを見てると夢を描いてしまうのさ
今夜僕のものになってほしいんだ
だって ずっときみから目を離さないから

With these hungry eyes
One look at you and I can't disguise
I've got hungry eyes
I feel the magic between you and I

この欲しがる僕の両目でね
ちらっと見るだけでも隠せない
きみを求める僕のこの両目
きみと僕の間に魔法を感じるのさ

I want to hold you
so hear me out
I want to show you what love's all about
Darlin' tonight
Now I've got you in my sights

きみを抱きしめたい
話を最後まで聞いてよ
愛のすべてをきみに教えてあげたいのさ
Darlin' 今夜
もうきみから目を離せないんだよ

With these hungry eyes
One look at you and I can't disguise
I've got hungry eyes
I feel the magic between you and I
I've got hungry eyes
Now I've got you in my sights
With those hungry eyes
Now did I take you by surprise

きみをほしがるこの両目でね
一目見ただけでも隠せないよ
きみを求めるこの両目はね
きみと僕は魔法にかけられたのさ
きみをほしがるこの両目
もうきみから目を離すことができない
きみを求めるこの両目でね
急でびっくりさせちゃったかな

I need you to see
This love was meant to be

きみにわかってほしいんだ
この愛は運命だってことをね

I've got hungry eyes
One look at you and I can't disguise
I've got hungry eyes
I feel the magic between you and I
I've got hungry eyes
Now I've got you in my sights
With those hungry eyes
Now did I take you by surprise
With my hungry eyes

I need...
Hungry eyes
Now I've got you in my sights
With my hungry eyes

僕の両目はきみをほしがってる
もう隠せないね
きみと僕 魔法に包まれて
もうきみは逃れられないんだよ
きみを欲しがる僕の
この飢えた両目からはね...
 
(Words and Idioms)
subside=(嵐が)弱まる、静まる
hear out=最後まで話を聞く

日本語訳 by 音時


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◆この曲のソングライター「フランキー・プリヴァイト」は「スイート・ハート」のヒットを出したフランキー&ザ・ノックアウツのフランキー。(こちらは彼らのヒット「ウィズアウト・ユー」)
彼は映画の主題歌で全米1位になった「I've Had A Time Of My Life」の作者です。

 「Hungry Eyes」のヒットでエリック・カルメンが過去の人ではなく、若い人にも知ってもらったのも事実で、このあとすぐにエリックはベストアルバムを出します。ここで自分自身の作った新曲「Make Me Lose Control」が続けて大ヒット!エリックは嬉しかったでしょうね!僕も嬉しかったっす(^O^)/。今日はこちらの曲も一緒にお届けしましょう。「Make Me Lose Control」はこちらです。

★「ハングリー・アイズ」が最高位4位を記録した週のチャートです。

ティファニーちゃん「想い出に抱かれて」が1位。翌週はエクスポゼが1位になり、すぐに12位のジョージ・マイケルが首位になります。3位のロジャーはボコーダーで「アイウォナビヨーマン」と言うのが印象的。5位はオリジナルのダスティ・スプリングフィールドと共演のペット・ショップ・ボーイズ。10位のパトリック・スェイジは映画ダーティー・ダンシングの主演俳優です。11位リック・アストリーは快進撃はここから。

US Top 40 Singles For The Week Ending February 13, 1988

1 1 COULD’VE BEEN –•– Tiffany
2 4 SEASONS CHANGE –•– Expose
3 5 I WANT TO BE YOUR MAN –•– Roger
4 6 HUNGRY EYES –•– Eric Carmen
5 7 WHAT HAVE I DONE TO DESERVE THIS? –•– Pet Shop Boys & Dusty Springfield

6 3 NEED YOU TONIGHT –•– INXS
7 2 HAZY SHADE OF WINTER –•– The Bangles
8 8 SAY YOU WILL –•– Foreigner
9 11 DON’T SHED A TEAR –•– Paul Carrack
10 15 SHE’S LIKE THE WIND –•– Patrick Swayze

11 16 NEVER GONNA GIVE YOU UP –•– Rick Astley
12 18 FATHER FIGURE –•– George Michael
13 9 TUNNEL OF LOVE –•– Bruce Springsteen
14 14 EVERYWHERE –•– Fleetwood Mac
15 13 I LIVE FOR YOUR LOVE –•– Natalie Cole

16 23 CAN’T STAY AWAY FROM YOU –•– Gloria Estefan & Miami Sound Machine
17 20 PUMP UP THE VOLUME –•– M/A/R/R/S
18 27 I GET WEAK –•– Belinda Carlisle
19 26 I FOUND SOMEONE –•– Cher
20 21 POP GOES THE WORLD –•– Men Without Hats

◆"Dirty Dancing"Radio City Music Hall - Los Angeles, 1988 両手を上げて観衆をあおるエリックは珍しいなあ。



◆映画「ダーティ・ダンシング」のラストダンス。「鳥肌の立つ」素敵なダンスシーンです。(この曲 Time Of My Lifeも全米第一位を記録。



(この記事は以下を参考にしました)
・レコード・コレクターズ2007年5月号(ミュージック・マガジン社)
・Wikipedia Dirty Dancing
・Wikipedia Hungry Eyes