"Sally's Pigeons"はアルバム「Hat Full Of Stars」からのセカンドシングル(1st シングルは"Who It In The Rain")でしたが、全英・全米でもチャートインはしませんでした。でも...この曲はとても胸を打つ曲です。

 冒頭のPVと合わせて、歌詞をじっくり味わってほしいと思います。

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"Sally's Pigeons" as written by Mary Carpenter Cyndi Lauper
Lyrics c Sony/ATV Music Publishing LLC

Released in 1993
From The Album“Hat Full Of Stars”

:原詞は太字

When I was eight I had a friend
With a pirate smile
Make believe and play pretend
We were innocent and wild
Hopped a fence and slammed the gate
Running down my alleyway
In time to watch Sally's pigeons fly


8歳のとき 友達がいたわ
海賊みたいに笑う子だった
なりきったつもりの ごっこ遊び
私たちは純粋で 元気そのもの
塀を飛び越え 扉をバタンと閉めて
路地裏を走り回ってた
そのとき サリーの鳩たちが
飛んでいくのを見つめてた

We loved to watch them dive and soar
Circle in the sky
Free as a bird from three to four
And never knowing why
Neighbors pulled their wash back in
Put away my Barbie and Ken
Look out overhead
While Sally's pigeons fly

鳩たちが急降下しては舞い上がり
円を描いて飛ぶのを見るのが好きだった
3時から4時までは鳥のように自由だったけど
それがどうしてなのかはわからない
近所の人たちは洗濯物を部屋に入れ
私もバービーやケン人形をしまうのよ
頭のうえを見上げて
サリーの鳩たちが飛んでいくのを見ていたわ

I had a fool's confidence
That the world had no boundaries
But instincts and common sense
Come in different quantities

何も知らないお馬鹿さんね
世界には境界線なんてないと信じてた
「本能」と「常識」は
同じ分量であるはずがなかったの

My heart began to
Skip to the beat
Of the boy next door
She had her eye across the street
On someone shy and tall

We lived our dreams
And challenged fate
In tears she told me she was late
And Sally let his pigeons out to fly...

私は胸が
どきどき高鳴りはじめた
近所に住む男の子のことでね
彼女の瞳は 通りの向こうの
シャイで背の高い誰かさんに釘付けになった

私たちは夢を追いかけ
運命に挑戦はしたけれど
彼女は涙を浮かべ私にこう言った
「遅かったの」って
サリーは"彼の鳩たち"を放って飛ばせたの...

On the dresser sits a frame
With a photograph
Two little girls in ponytails
Some twenty one years back
She left one night with just a nod
Was lost from some back alley job
I close my eyes and Sally's pigeons fly

化粧台のうえに
額のある写真が飾ってある
そこにいるポニーテールの2人の少女
21年も前のことよ
こっくりうなずいて彼女は逝ってしまった
それは「裏通りのお仕事」のせい
目を閉じると
サリーの鳩たちが飛んでるのが浮かぶ

She never saw those birds again
And me, I can't remember when
A pirate smile hasn't made me cry
I close my eyes
And Sally's pigeons fly...

彼女は再び あの鳥たちを見ることはなかった
私は..いつのまにか
"海賊の笑顔"を想い出して
泣くこともなくなっていた
そして目を閉じると
サリーの鳩たちが飛んでるのが見える…

(Words and Idioms)
alleyway=路地,横町.
boundaries=境界
different quantity=数量違い
nod=首を縦にふる、うなずく、会釈する


日本語訳 by 音時

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◆この曲のWikipediaにはこのように紹介されていました。

この歌は、10代で妊娠し、路地裏で中絶して、その結果亡くなった、シンディの幼なじみの女友だちを歌にしたものです。

...冒頭のPVでは、女友だちと別れていく場面が出ています。"She left one night with just a nod、Was lost from some back alley job"の歌詞の部分の"left""lost"は「去っていった」という意味かなと思っていたのですが、この解説を見た後で「逝ってしまった」と変えました(-_-;)。

 また"back alley job"については当初は「裏通りの赤線」のことかと思ったのですが、そうではなく、裏通りで、医師免許もない者が行う妊娠中絶手術、ということなのかと考えて「裏通りのお仕事」と「」付きで意味合いを持たせたつもりです。

 "サリーズ・ピジョン"(サリーの鳩たち)という歌詞は1か所だけ、「"彼"の鳩を放って飛ばしたの」になっています。

In tears she told me she was late
And Sally let his pigeons out to fly...

 サリー(と私)は夢があって、その夢を考えるのが好きだったんでしょう。空に羽ばたく鳩たち(サリーズ・ピジョン)はその象徴だったのだろうと思いますが、「サリーは彼の鳩たちを放って飛ばしたの...」という歌詞には、赤ちゃんにサヨナラをした、ってことの暗示だと思いました。

◆また、Wikipediaには、こんな解説もありました。

 シンディは子どもの頃、エルトン・ジョンのファンで、この"Sally's Pigeons"はエルトンの"Tiny Dancer"への言及が含まれています。"Tiny Dancer"はシンディは聴くと、いつも涙が出てしまうという曲とのことです...。

はい、エルトンの"Tiny Dancer"(作詞はバーニー)の歌詞の出だしはこうなっているんです。

Blue jean baby,
L.A. lady,
seamstress for the band
Pretty eyed, pirate smile,
you'll marry a music man

そうです。"pirate smile"(海賊みたいな笑顔)が出てくるんですね...。
小さい頃、エルトンのファンだったシンディ。もしかして、サリーと一緒に"Tiny Dancer"を聴いていたのかな。「海賊みたいな笑顔」という歌詞を見て、2人でどんな笑顔なのかなと考え合って、陽気に笑うサリーの笑顔が「まさにそれね!」って2人で笑いあったりしたのかな。そんなことを考えてしまいました...。

◆この曲「Sally's Pigeons」も最近のシンディのセットリストに入っているようです。できたら、日本公演でも歌ってほしいな...。


◆"サリーズ・ピジョン"のあと、アカペラで"トゥルー・カラーズ"を歌ってくれるシンディ。