"パールズ・ビフォー・スワイン"(PEARLS BEFORE SWINE)は1965年にトム・ラップによって結成されたアメリカのサイケデリック・フォーク・バンドです。

 当初は4人組のバンドでした。1971年にトムは脱退しソロの道を歩んでいきますが、それまでの間に6枚のアルバムを発表しています。(バンドは1973年に解散)

◆ちなみに、"Pearls before swine"とは、日本語のことわざ「豚に真珠」のもとの言葉であるとのこと。ことわざ「豚に真珠」とのこと。「swine」は豚を総称した集合名詞、聖書の言葉"cast pearls before swine"( 直訳「豚の前に真珠を投げる」)が由来となっているそうです。
気軽に楽しくおさんぽ英語


◆この曲"Rocket Man"は、アルバム"The Use Of Ashes"のなかから、シングルカットされた"The Jeweler"のB面でシングルになっているようですね。

◆歌詞は…レイ・ブラッドベリの短編小説「ロケット・マン」の物語をそのまま歌にしたようです。主人公の僕は"ロケット・マンの息子"。小説と同じように息子の目から父親や母親のことを歌っています。ぜひエルトンの歌う「ロケット・マン」と親子の歌として聴いていただくと、より魅力が増してくると思います。

Song Title:「Rocket Man」
Artist:Pearls Before Swine


Pears Before Swine


(words and music by Tom Rapp)

Released in 1970
From The Album"The Use of Ashes"

:原詞は太字

My father was a rocket man
He often went to Jupiter or Mercury,
to Venus or to Mars
My mother and I would watch the sky
And wonder if a falling star
Was a ship becoming ashes
with a rocket man inside


僕の父さんはロケット・マン
父さんはよく木星や水星
金星や火星にも行ってるんだ
母さんと僕は空を見ては
あの流れ星はもしかして
宇宙船なんじゃないかって思うんだ
ロケット・マンが中にいたまま灰になるのさ

My mother and I
Never went out
Unless the sky was cloudy
or the sun was blotted out
Or to escape the pain
We only went out when it rained


母さんと僕は
外に出かけたりしないんだ
空が曇ってたり
太陽が消えてしまわない限りはね
また、痛みから逃れようと
僕たちは雨の日だけ外出するんだよ

My father was a rocket man
He loved the world beyond the world,
the sky beyond the sky
And on my mother's face,
as lonely as the world in space
I could read the silent cry
That if my father fell into a star
We must not look upon that star again


僕の父さんはロケット・マン
世界を越えた世界や
空の向こうの大空を愛してるんだ
そして僕の母さんの表情は
宇宙の世界のように愛らしい
想像がつくんだよ
もし父さんが星に落ちていったときの
母さんの声を押し殺した静かな泣き声が
僕らは二度と
星を見上げたりしちゃいけないんだ

My mother and I
Never went out
Unless the sky was cloudy
or the sun was blotted out
Or to escape the pain
We only went out when it rained

母さんと僕は
外に出かけたりしない
空が曇ってたり
太陽が消えてしまわない限りはね
また、痛みから逃れようと
僕たちは雨の日だけ外出するんだよ

Tears are often jewel-like
My mother's went unnoticed by my father,
for his jewels were the stars
And in my father's eyes I knew he had to find
In the sanctity of distance
something brighter than a star
One day they told us
the sun had flared and taken him inside


こぼれる涙はたまに宝石のように見える
母さんは父さんに見つからずに済んだんだ
だって父さんの宝石は星たちなんだから
父さんの瞳のなかに見えたんだ
神聖な道程のなかで
父さんは見つけなきゃならなかったんだ
星よりもピカピカに光ってる何かをね
ある日 僕と母さんは告げられた
太陽がメラメラと燃えて
父さんを取り込んでしまったんだって

My mother and I
Never went out
Unless the sky was cloudy
or the sun was blotted out
Or to escape the pain
We only went out when it rained


母さんと僕は
外に出かけたりしない
空が曇ってたり
太陽が消えてしまわない限りはね
僕たちは痛みから逃れようと
雨の日だけ外出するんだよ...

(Words and Idioms)
blot out=抹消する、削除する 〔記憶などを〕消し去る
go unnoticed=見つからずにすむ
sanctity=神聖,尊厳.高潔,敬虔
flare=火がめらめら燃える


日本語訳 by 音時

pearls-before-swine

◆エルトンの相棒のソングライター"バーニー・トゥピン"は、レイの小説とその小説からインスパイアされて作られたこの曲を聴いて、"ロケット・マンの息子"の視点からではなく、"ロケット・マン"自身が主役となる歌詞を書いてみたくなったんだろうと思います。

ソングライターのバーニーは、宇宙飛行士を父親に持った子どもの想いが書かれた小説と、この曲の存在を知って、父親である宇宙飛行士に自分が成り代わった気持ちで「ロケット・マン」を書いたのでしょう。


◆さてこの曲です。
宇宙飛行士(ロケット・マン)の息子と母親の親子は...天気が悪い日や雨降りの日以外は外出しなくなってしまいます...。その理由は...「父さん」は太陽に落ちてしまったから。

父さんが死んだ場所は、火星でも、木星でも、土星でもなかった。木星や土星や火星が空に輝くたびに僕たちは父さんを想い出さなくても済む。

そういう場所じゃない。
父さんの宇宙船は、太陽に落ちたのだ。

太陽は大きくて、火のように燃えていて、残酷で、いつも空に輝いているから、どうしても見ないで済ますわけにはいかない。
だから父さんが死んだあと、永いこと、母さんは昼間は寝てばかりいて絶対に外出しなかった…。

(レイ・ブラッドベリ著 「刺青の男」より「ロケット・マン」 ハヤカワ文庫)

9784150118976


◆映画「ロケット・マン」で、タイトルになっているこの曲のことを触れないわけにはいかないと思います。小説「ロケット・マン」のことや、詩人バーニーのことなど、どのように映画のなかで触れていくのか注目したいと思います。

Rocketman-poster

映画「ボヘミアン・ラプソディ」は物語がフィクションであっても、僕にとって"許せる範囲"でしたので、「ロケット・マン」にもそうであってほしいなあ…(^▽^;)。


◆アルバム「The Use Of Ashes」の冒頭を飾るのはこの曲"The Jeweler"




(この曲を購入)

amazon.co.jp
Use of Ashes  Import 
Disk Union
おそらく手に入れるのは難しそうです…。