2023年10月のアルバム全曲和訳は、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの「Fore!」にしたいと思います。このアルバムも僕はよーく聴きました。輸入盤を購入してしまった〜という経験も(^_^;)。←なぜか、はどこかの記事に出ておりますのでご注目。

内耳のメニエール病と闘病してきたヒューイ。いまでは聴力をだいぶ失われてしまい、ライヴや新たなレコーディングというのはもう難しそうですね…(-_-;)。でも、このアルバムのヒューイの生き生きと仲間とやってるロックは今聴いても僕たちを元気にしてくれると思います!
 ヒューイと仲間たちのロックを聴いて、10月もはりきってやっていこう!

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アルバム「Fore!」のオープニングを飾るこの曲"Jacob's Ladder"。ご存じのとおり、ブルース・ホーンズビーとその弟ジョンの書いた作品です。この曲の提供についてはいろんなやりとりがあったようですよ。

◆ヒューイとブルースの出会いは1981年のことといいます。
ヒューイの関係者が"Let The Girls Rock"という曲を耳にして、ヒューイが気に入るんじゃないかと思って聴かせたところ、やはりヒューイも気に入りました。曲を作ったヤツに会ってみたいと言う話になって、ヒューイは作者ブルース・ホーンズビーと知り合います。結局のところヒューイは"Let The Girls Rock"はレコーディングに至りませんでした。というのは、ブルースとジョンが自分たちのアルバムに入れたかったので、アルバム"Sports"のなかに収録したいというヒューイ側の申し出を断ってしまったそうです(^▽^;)。そのおかげで次にこうした話があったときは断れなくなってしまった…とのこと。
500x500Bruce


◆弟ジョン・ホーンズビーが次のように言っています。
ブルースと僕は"Jacob's Ladder"と"Every Little Kiss"を一緒に書き上げた。自分たちのアルバムに入れる曲はすでに揃っていたから、どちらか1曲は次作に回そうと思っていたんだ。そして"Jacob's Ladder"の方を残すように決めたんだ。このときアルバムに入れる曲を探していたヒューイが2曲を聴いてみて"Jacob's Ladder"はまだレコーディングしてないんだろ?俺たちのアルバム"Fore!"に入れるっていうのはどうだ?っと言ってきたんだ。まだ僕たち(ブルース・ホーンズビー&ザ・レインジ)はアルバムを出してなかったし、この曲をどうにかするつもりもなかった。だからヒューイは1曲欲しいと頼んでも断られることはないだろうと考えたんだろうな。
結局、"Jacob's Ladder"は全米1位の大ヒットになりました。ジョンは"ソングライターとして僕らもハクがついたね"と言っています(^▽^;)。ジョンとブルースは"みんなをハッとさせるメッセージを込めて、しかも説教くさくないようにするためにはどうしたらいいか?"を一生懸命考えてこの曲を書いたと言っています。

ForeHewis


Song Title:「Jacob's Ladder」
Artist:Huey Lewis & The News

Writer(s): Bruce Randall Hornsby, John B. Hornsby
Released in 1987
US Billboard Hot100#1
From The Album“Fore!”
I met a fan dancer
Down in Southside Birmingham
She was running from a fat man
Selling salvation in his hand 
1人のファン・ダンサーに会ったんだ
バーミンガムの南あたりでね
金持ちの男から逃げてるところだった
そいつは手の中の救済薬を売ってるんだ
She said he's trying to save me
When I'm doing all right
The best that I can 
彼女はこう言った
その人はアタシを救ってくれようとしたけど
アタシは大丈夫 遠慮しとくわって言ったのよ
アタシだって 自分のベストを尽くしてるから
Just another fallen angel
Trying to get through the night
現実の世界を生きる天使がまたひとり
夜を過ごそうとして懸命なんだ
Step by step, one by one
Higher and higher
Step by step, rung by rung
Climbing Jacob's ladder
一歩ずつ 一つずつ
だんだんと高みへ行くんだ
一歩ずつ 一段ずつ
ヤコブの梯子を上っていこう
Coming over the airwaves
The man says I'm overdue
Sing along, send some money
Join the chosen few, hey
ラジオの放送で聞こえてきたよ
俺はもう"期限切れ"なんだとさ
"歌を歌って 金を稼ぐんだ
少数の選ばれた仲間に入れ"って
Mister, I'm not in a hurry
And I don't want to be like you
All I want from tomorrow
Is to get it better than today
なあ 俺は別に急いでないんだよ
それからおまえさんのようには
なりたくないんだ
俺が望むのはこれだけさ
"明日が今日より いい日でありますように"
Step by step, one by one
Higher and higher
Step by step, rung by rung
Climbing Jacob's ladder
一歩ずつ 一つずつ
だんだんと高みへ行くんだ
一歩ずつ 一段ずつ
ヤコブの梯子を上っていこう
All I want from tomorrow
Is to get it better than today
俺が望むのはこれだけさ
"明日が今日より いい日でありますように"
Step by step, one by one
Higher and higher
Step by step, rung by rung
Climbing and climbing
一歩ずつ 一つずつ
だんだんと高みへ行くんだ
一歩ずつ 一段ずつ
どこまでも登っていこう
Step by step, one by one
Step by step, rung by rung
Step by step
And step by step
Step by step 
一歩ずつ 一つずつ
一歩ずつ 一段ずつ
一歩ずつ かみしめて
前へ進んでいくんだよ

(Words and Idioms)
fan=うちわ、扇
fan dance=扇を用いるソロのヌードダンス
cf.fat cat =「資産家」「有力者」、
rung=(はしごなどの)段
airwave=放送電波
overdue=期日を過ぎた、期限の過ぎた
chosen few=少数の選ばれた人

日本語訳 by 音時

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◆"Jacob's Ladder"=「ヤコブの梯子(ヤコブのはしご)」ですね。これは、旧約聖書(創世記28章12節)でヤコブが夢に見た、天使が上り下りしている、天から地まで至る梯子(あるいは階段)のことです。こちらご参考→(聖書と歴史の博物館)"

 "Step By Step、One By One…"。人生みんな一歩ずつでも上へ、前へ進んでいくんだ…というメッセージに"ヤコブの梯子"を登場させたんですね。1st verseに出てくる"Fan Dancer"。"ファン"っていうのは扇子やうちわのことを言うんですね。"ファン・ダンス"...もしかすると"ストリッパーの方"のことを言っているのかもしれませんが、ダンスのジャンルとしても確立されているもののようなので、僕の和訳では"ファン・ダンサー"とそのままとしました。


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◆“Fat man”はまさかナガサキの原爆とは関係ないだろうな…(-"-)。fat catというと"資産家"という意味があるようなので"金持ち"と訳させていただきました。手の中の「救済」っていうのは、やっぱ「金での契約」のことかな?と思いました…。

2nd Verseはホーンズビー兄弟そしてヒューイ達、ミュージシャン自身のことが歌われているんでしょうか。ショービジネスはまるで"Sing along, send some money Join the chosen few"と言っているかのごとく無言のプレッシャーを与えてくるのかもしれません。でもホーンズビー兄弟(ヒューイ)は出会った"ファン・ダンサー"のように"昨日より今日、良い日になるように最善を尽くす""一歩ずつ、一段ずつ階段をあがって…"。焦らずに自分たちらしくいこうぜ…が人生訓、なんですよ。 
面白いですね。この曲も和訳して、歌の意味を知って、なお好きになってしまう一曲だなあ。

◆Huey Lewis and The News - Jacob's Ladder. Saskatoon 21/7/15



◆こちらも"Jacob's Ladder"、作者ブルース・ホーンズビーのバージョンです。(オリジナルアルバムとしては"Scenes From the southside"に収録されています)




◆こちらは2017年11月20日 渋谷オーチャードホールでのライブから。ヒューイはブルース・ハープを吹いて登場。イントロ長めです。(撮影OKでした;わたくしめの撮影です)


(こちらを参考にしました)
・ビルボード・ナンバー1・ヒット1985-1988Ⅲ(音楽之友社)