「バンド・リーダーの贈り物」…この曲をダンが書いたのはアルバム「フェニックス」(名曲
"Longer"が収録)の頃でした。でも「フェニックス」に入れるのは感傷的すぎるから、という理由で見送られ、1981年の2枚組「イノセント・エイジ」に収録されることになります。


◆ダンのオフィシャル・ウェブサイトにインタビューが掲載されていて、この曲についてもコメントしています。

Q. "Leader of the Band" は誰に向けて書かれた曲なのですか?
A. 僕の父親"ローレンス・フォーゲルバーグ(Lawrence Fogelberg)に捧げて書いたんだ。彼は音楽家であり教師でもあり、バンド・リーダーだった。彼がこの世を去る(1982年8月)前にこの曲をプレゼントすることができて神様に感謝するよ。父は亡くなる前年に、この曲について沢山のインタビューを受けていたよ。栄光のなかで天に召されることができたのは、僕にとっても僕の家族にとってもとても意味のあることだったんだ。

◆歌詞では、年老いていく父親を目の前にしながら、素晴らしい音楽家としての尊厳と、父親への感謝の気持ちを率直に歌っていますね。この曲のSongfactsから引用します。

"ローレンス・フォーゲルバーグ"の"音楽の旅"は、彼の出身であるイリノイのハイスクールバンドから始まります。最初はPeoria、次がPekinです。そして、マーガレット・イルヴァイン…という才能のあるシンガーと出会い、二人は結婚し、3人の子どもを授かります。
 ダンは1番下の子どもでした。彼が生まれた1951年には、父親ローレンスは彼らの住んでいるぺオリアにあるブラッドリー大学のバンドのディレクターをしていました。バンドはコンサートを行ったり、バスケットやフットボールの試合があるとよく演奏をしていました。

 ダンはしばしばその頃の父親のことを話しています。ダンが4歳のときに"(大きくなったら)バンドの指揮をやりなさい"と言われたそうです。父親の前に立つと、その父親が彼に渡すバトンを持っていた。彼の後ろで父親が音楽の仕事をしていた…。ダンは言います。"とても信じられない感情だったよ""魔法のようで力強い感情で、恐れるような気持ちもなかったんだ"。

(後半に続きます)


Songwriters FOGELBERG, DAN
Lyrics c Sony/ATV Music Publishing LLC


Released in 1981
US Billboard Hot100#9
From The Album"The Innocent Age"

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An only child alone and wild
A cabinet maker's son
His hands were meant for different work
And his heart was known to none
He left his home and went his lone
And solitary way
And he gave to me
A gift I know I never can repay

一人っ子でやんちゃな子ども
父は家具職人の息子として生まれた
でもその手は別な仕事をするようにできていて
誰も父の心を知るよしもなかった
父は家を出て
ひとり孤独な道を歩いていった
そして僕にくれたのさ
僕が決してお返しなんてできない
すばらしい贈り物をね

A quiet man of music
Denied a simpler fate
He tried to be a soldier once
But his music wouldn't wait
He earned his love through discipline
A thundering, velvet hand
His gentle means of sculpting souls
Took me years to understand

物静かな音楽家は
単純に生きる運命を否定した
一度は兵士の道を歩もうとしたけど
音楽への想いがそれを許さなかった
楽器の訓練を重ねて
愛する音楽を奏でられるようになったんだ
雷のようでもある ヴェルヴェットの手つき
魂を刻み込む優しい方法を理解するのは
僕には何年もかかったんだ

The leader of the band is tired
And his eyes are growing old
But his blood runs through my instrument
And his song is in my soul
My life has been a poor attempt
To imitate the man
I'm just a living legacy
To the leader of the band

バンド・リーダーは年老いて
瞳の輝きも失ってしまった
でも彼の血は僕の楽器のなかに染み込まれ
彼の歌は僕の魂のなかに刻まれてる
僕の人生はずっと彼のマネの
他愛ない試みでしかなかった
僕はただの生きている遺産でしかない
バンド・リーダーだった僕の父のね


My brothers' lives were different
For they heard another call
One went to Chicago
And the other to St. Paul
And I'm in Colorado
When I'm not in some hotel
Living out this life I've chose
And come to know so well

僕の兄弟は違う人生を選んだ
僕とは違う神のお告げを耳にして
1人はシカゴに行き
もう1人はセント・ポールへ
そして僕はコロラドに残った
どこかのホテルに行かない限り
自分の選んだこの人生を送ってる
その選択が
とてもよかったと思えてきているよ

I thank you for the music
And your stories of the road
I thank you for the freedom
When it came my time to go
I thank you for the kindness
And the times when you got tough
And, papa, I don't think
I said, "I love you" near enough

あなたのくれた音楽に感謝してる
そして父の通ってきた物語にも
あなたの与えてくれた自由に感謝してる
僕の"行くべきとき"が来たときも
あなたの優しさに感謝してる
時には厳しく教えてくれたことも
そしてパパ 僕は思っていないよ
あなたに"愛してる"と
じゅうぶんに伝えられたとは…

The leader of the band is tired
And his eyes are growing old
But his blood runs through my instrument
And his song is in my soul
My life has been a poor attempt
To imitate the man
I'm just a living legacy
To the leader of the band
I am the living legacy
To the leader of the band

バンド・リーダーは年老いて
瞳の輝きも失ってしまった
でも彼の血は僕の楽器のなかに染み込まれ
彼の歌は僕の魂のなかに刻まれてる
僕の人生はずっと彼のマネの
他愛ない試みでしかなかった
僕はただの生きている遺産でしかない
バンド・リーダーだった父のね
僕は受け継いで生きていくよ
音楽を愛し 家族を愛した
ひとりのバンド・リーダーの想いを…


(Words and Idioms)
meant for=~のために生まれてきた
lone=一人の,孤独の
earn=〈金・生計を〉(働いて)稼ぐ,もうける
discipline=訓練,鍛練,修養; 教練
sculpture=〈人・ものの〉像を彫る.
means of=〔…の〕方法
attempt=試み 企て
legacy=遺産、形見
call=神のお召し 天命
near enough=ほとんど


日本語訳 by 音時

SameOld

◆歌詞の"I thank you for the freedom、When it came my time to go"という部分については、ダンが大学をドロップアウトしたときのことを指しているようです。

ダンはイリノイ大学に在籍していましたが、セメスターの途中で音楽を追及するために大学をやめることにしました…親たちが最も聞きたくない話です。ダンの父親もこの話を聞いてガッカリしました。しかし自分の息子の決断を応援することにし、父親はダンに"1年間頑張ってみろ"と言いました。
 ダンの決断、音楽活動は上手くいきました。ダンはロサンゼルスに行きレコード会社と契約、そして70年代に成功したトップアーチストの1人になることができました。

fogelberginnocentsong


◆僕は当初、アルバム"イノセント・エイジ"を購入して歌詞カード(和訳)に目を通したときに"I'm just a living legacy to the leader of the band"という歌詞について、"僕はしょせんバンドリーダーの生きた形見にすぎないのさ"と、息子は少々"ひがみ"の感情を持っているのかなと思いました。でも歌詞全体を和訳していくなかで、そうではないなと思えてきました。

 "I'm just…"と言っているのは、やはり父親への感謝と賛辞の気持ちなんだろうなと思います。僕が音楽の道で成功できたのは、それが才能であったり、音楽家の血筋ということであれば、それは僕のせいではなく、やはり"父親のおかげ"なんだ、と言いたいってことなのでしょう。

 そして、最後に"I am the living legacy、To the leader of the band"と歌っています。彼から受け継いだものを大切にして僕は音楽を続けようという決意の表れでもあるのでしょう。

◆この曲のラストにはジョン・フィリップ・スーザの行進曲"The Washington Post"が使われていますが、これは演奏はUCLAバンドによるものですが、アレンジはダンの父親"ローレンス"によるものだそうです!この曲は父子の共作なんですね!


◆書き忘れたことがありました。
*ダンは結婚を3回しているそうですがお子さんにはいらっしゃらなかったようです。
*ウィキペディアによると…イリノイ州では、誕生日8月13日をダン・フォーゲルバーグ・デーとすることが2015年に議会で決まったそうです!(^^)/

◆こちらは1982年のライヴから。(会場はヒューストン)




◆ジョン・フィリップ・スーザの行進曲"The Washington Post"