ライブ・エイドの大観衆の前で歌い切ったクイーン。映画「ボヘミアン・ラプソディ」でもクライマックスはやはりここです。
 "ここにいる俺たちみんながチャンピオンなんだ!"


(僕の好きなアカペラのヴァージョンにしました)

 最初に「伝説のチャンピオン」を聴いた、知ったときには、僕も「自分たちがチャンピオンだなんて、なんか驕ってるよな」とちょっと嫌な想いを持ったのは事実です。あと曲の終わり方も突然終わってしまう(しかも不協和音のように…)のも違和感ありました。

 そのあと収録アルバム「世界に捧ぐ(News Of The World)」のジャケットのイラスト(人々が巨人ロボットに襲われてるアレです)を目にして…うーん、『クイーンも変わったな。もう聴くの止めようかな…』なんて気がして、前作「華麗なるレース(A Day At The Races)」の時は、日本でのレコード発売日にレコードを買いましたが、「世界に捧ぐ」を購入したのは発売後1カ月ほどしてからでした。(もしかしてお金がなかっただけかも…笑)

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◆今ではこの曲はクイーンのアンセムと言っていいほど有名な曲になりましたね。そればかりか、「音楽史上最もキャッチーな曲である」ことが立証された、というような話もありますね。
こちらをどうぞ

(Mercury)

Released in 1977
US Billboard Hot100#4
From The Album"News Of The World"

:原詞は太字

WeChampions

I've paid my dues -
Time after time -
I've done my sentence
But committed no crime -

代償は払ってきたよ
何度も何度もね
判決通り 償ってきたんだ
もともと犯した罪なんかないのに

And bad mistakes
I've made a few
I've had my share of sand kicked in my face -
But I've come through

(And I need to go on, and on, and on, and on)

そりゃ いくつかひどい間違いを
しでかしてしたこともある
顔に砂を蹴りつけられたこともそれなりにある
でも俺は切り抜けてきた

(続けなきゃならないんだ 何度も 何度も繰り返し)

We are the champions - my friends
And we'll keep on fighting till the end
We are the champions -
We are the champions
No time for losers
'Cause we are the champions
 - of the world -

俺たちはチャンピオンだ わかるかい
俺たちは戦い続けよう 最後まで
俺たちはチャンピオン
俺たちはみんなチャンピオン
負け犬たちにかまってる時間はない
だって俺たちは
世界のチャンピオンなんだから

I've taken my bows
And my curtain calls -
You brought me fame and fortune
and everything that goes with it
- I thank you all -

カーテンコールをもらって
感謝のお辞儀は欠かさなかった
観客が名声と幸運を運んでくれたんだ
すべてのものをなすがままに
...感謝してるよ

But it's been no bed of roses
No pleasure cruise -
I consider it a challenge
before the whole human race -
And I ain't gonna lose -

それでも薔薇のベッドや
クルーズ船なんてなかったのさ
こいつはすべての人類を
目の前にした挑戦なんだ
それでも俺は負けやしない..

(And I need to go on, and on, and on, and on)

We are the champions - my friends
And we'll keep on fighting till the end
We are the champions -
We are the champions
No time for losers
'Cause we are the champions
 - of the world -

俺たちはチャンピオンだ わかるかい
俺たちは戦い続けよう 最後まで
俺たちはチャンピオン
俺たちはみんなチャンピオン
負け犬たちにかまってる時間はない
だって俺たちは
世界のチャンピオンなんだから

We are the champions - my friends
And we'll keep on fighting till the end
We are the champions -
We are the champions
No time for losers
'Cause we are the champions
 - of the world -

俺たちはチャンピオンだ わかるかい
俺たちは戦い続けよう 最後まで
俺たちはチャンピオン
俺たちはみんなチャンピオン
負け犬たちにかまってる時間はない
だって俺たちは
世界のチャンピオンなんだ..

(Words and Idiom)
sentence =判決、刑罰、処罰、宣告
have one's share of=その人なりの~がある、それなりに~を引き受けている
Take a bow=(劇場などでかっさいに対して)お辞儀をする.


日本語訳 by 音時



◆この曲の背景について記事を続けます。

「クイーン、驕ってんじゃないの?」という声は業界からも、ファンの一部からもあったようです。

ブライアンはフレディ作のこの曲を初めて聴いたときのことをこう言っています。
はっきり言うけど、あの曲を初めてスタジオで彼が聴かせてくれたときには、僕ら全員、床に倒れ込んで笑いコケたんだよ!
ブライアンとメンバーは当初はフレディ一流の"皮肉なんじゃないか"と受け止めたようなんですね。一方、作者のフレディはこんなことを意図して書いたようです。
結局のところ、僕らは成功を掴んだんだけど、そこに至るまでは決して平坦な道のりじゃなかった。"安穏としていられたわけじゃない"って歌っている通りね。今だって時には容易ならざるときが多々あるんだ。実のところ、書いているときにはフットボールを思い浮かべていたんだ。僕が求めていたのは参加型の曲なんだ。ファンが興味を持ってくれてすぐに覚えられるような歌さ。あれは大衆のための曲なんだ。
 とりあえず出してみて、どういう風に受け止められるか確かめてみようって僕は思ってた。最終的には予想以上の素晴らしい反応があって嬉しかったね。僕らがあの曲を(リリース前に)ロンドンのプライヴェート・ライヴでプレイしたとき、ファンが突然曲と曲の間でフットボール・チャントを始めてさ。でももちろん僕は単なるありきたりのチャントじゃなくて、もっとシアトリカルな(劇場風な)要素を加えたけどね。分かるだろ?それが僕のやり方だから…
ライヴで「みんなで歌いたい」曲を作ろうとして、歌詞はこれまでのクイーンの苦労や想いを込めて書いた、っていうところなんでしょうね。


◆ちなみに、最初聴いたときは「笑いころげた」というブライアンもだいぶ経ってから、この曲が「クイーンにとっての驕り」という批判にたいしては次のように答えています。
この曲は自分たちをチャンピオンだと歌っているのではなく、世界中の一人ひとりがチャンピオンなのだと歌っているんだ。
これは改めて歌詞を確認すると、僕もそう思いました。
この曲は「I」という一人称のこれまでの人生の歩みを自らが語る形で進行しますが、コーラス部分になると「We」の複数形になるんですね。
 もちろんメンバーが4人いる「クイーン」というバンドがチャンピオンだから「We」であるという意見もあるかとは思いますが、それであるなら、verseも「We」になるんじゃないかなと思います。敢えてコーラス部分を「We」にしたのは、この曲を「参加型」にしたかったフレディの想いが込められているのでしょう。

 "俺たち(みんな)がチャンピオンなんだ"
天国のフレディに届くように大声で歌いたいですね。


◆Queen - We Are The Champions (Alternative BBC Video)




◆"We Are The Champions"のレコーディング風景です。




◆この映像はこれからも何度も観ていくだろうな…!




(この記事で参考にしたページ)
・全曲解説シリーズ「クイーン」マーティン・パワー著(シンコー・ミュージック)
・Wikipedia 伝説のチャンピオン
・http://genius.com