映画「カセットテープ・ダイアリーズ」上映記念。
この映画、原題は「Blinded By The Light」。この曲はこのマンフレッド・マンズ・アース・バンドで全米No1になっていますが、オリジナルはブルース・スプリングスティーン。この曲が映画のタイトルに選ばれています(ブルースのこの曲の音源はこの記事の最後に付けています)。
 
 難解で意味自体ない歌詞と言われていますが、映画ラストでの主人公ジャベドのスピーチのなかでも「光に目もくらみ(Blinded By The Light)」という言葉をメッセージのなかで伝えています。

ブルースのこの曲をぜひ知っていただくとともに、全米No1になったこのかっこいいカバーバージョンも味わってほしいと思います!

(記事は過去掲載の者の再掲載です)
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 僕が洋楽を好きになったのはラジオ番組「全米トップ40」の影響が大きく、ポップス、ロック、カントリーにジャズ、そしてディスコ、フュージョン…様々なジャンルの音楽に触れることができました。当時、歌われてる意味もわからずに聴いていた曲の数々について、いま、その意味を調べ、また曲の作られたエピソードなどを紐解いていくのがとても楽しく、自分で楽しむだけでは飽き足らず、ブログにしてしまった!というのがこのブログ。自己満足いっぱいなのですが、訪問してくれた人が何かしら楽しんでくれたらな…と思っております。

◆さて、数々の全米No1ヒットのなかで、この曲はなかなか歌の意味がわからなかった曲。今回とりあえず全編を訳すことができたので記事にすることにしました。でも…なかなか歌詞は難解です(^▽^;)。

 マンフレッド・マンズ・アース・バンド(以下、M・M・E・B)のこの曲"光に目もくらみ(Blinded By The Light)"は、ブルース・スプリングスティーンの作品。(スプリングスティーンの邦題は"光で目もくらみ")

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彼の1973年のデビューアルバム"Greeting From Ashbury Park, N.J(アズベリー・パークからの挨拶)"のA面トップに収録されていた曲のカバーです。1977年の2月に1週だけですが全米No1になりました(77年の全米チャートはいわゆる"戦国時代"。毎週1位が変わる目まぐるしさ、いい曲がたくさんあった大好きな年です)

◆次から次へと歌われる歌詞、繰り返されるコーラスもいったい何を歌っているのか。宇宙空間を駈け廻るようなプログレのサウンドがもうカッコいい!…!
 "光に目もくらみ"の収録された"M・M・E・B"のアルバム"The Roaring Silence(静かなる叫び)"のジャケットも肌色の耳のなかにあるのは…なんで口!? このジャケットもちょっと怖い感じ(^▽^;)で好きでした。

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◆下にスプリングスティーンのオリジナルのYoutubeを付けておくのでぜひ聴き比べてほしいのですが、スプリングスティーンのデビューは所属のコロムビアレコードが「第2のボブ・ディラン」を期待していたこともあり、かなりのフォークサウンド。"光で目もくらみ"はシングルにもなったのですが失敗。それもそのはず、スプリングスティーン自身がフォーク歌手よりロックン・ローラーになりたかったんですね。
 原曲をプログレサウンドにアレンジした"M・M"の才能を感じます。

とりあえず日本語訳をお届けします。そして、若干の解説を記事の後半に掲載します。

Released in 1977
US Billboard Hot100#1(1)
From The Album"The Roaring Silence"

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"Blinded By The Light"lyrics(英語詞はこちらのサイトからいただきました)



[Chorus:]
Blinded by the light
Revved up like a deuce
Another runner in the night
Blinded by the light
Revved up like a deuce
Another runner in the night
Blinded by the light…


光で目をくらまされ
デュース・クーペみたいに勢いよく
夜の闇を走りまわったんだ
光に目がくらんで…
デュース・クーペみたいに勢いよく
夜の闇を走りまわったんだ
光に目がくらんで…

Madman drummer bummers
Indians in the summer
With a teenage diplomat
In the dumps with the mumps
As the adolescent pumps
His way into his hat

イカしたドラマー 放浪者
子どもの野球チームには
10代の外交官が一緒なんだ
おたふく風邪で憂うつなのは
若者が仕事で
自分のやり方にこだわるのと同じこと

With a boulder on my shoulder
Feeling kinda older
I tripped a merry-go-round
With this very unpleasing
Sneezing and wheezing
The calliope crashed to the ground


いつだって不満でいっぱい
年を取った気がして
メリー・ゴー・ラウンドのように旅してまわる
くしゃみや咳をゴホゴホ
とても不快な思いに包まれて
女神だって地面にぶつかっちまう

The calliope crashed to the ground
But she was blinded by the light.
Revved up like a deuce,
Another runner in the night.
Blinded by the light.
Revved up like a deuce,
Another runner in the night.
Blinded by the light.
Revved up like a deuce,
Another runner in the night.

女神だって地面にぶつかっちまうんだ
だけど彼女は光で目をくらまされ
デュース・クーペみたいに勢いよく
夜の闇を走りまわる
光で目がくらみ
デュース・クーペのように速度を上げて
夜の闇を走り回る
光に目がくらんで
どっちを走ってるのかわからないけど
思い切り走り回ってるんだ

Some silicone sister
With her manager mister
Told me I got what it takes
She said,
I'll turn you on sonny
to something strong
Play the song with the funky break

マネージャー付の
ストリップ小屋の"シリコン姉妹"は
"アタシいいモノ持ってるのよ"って言う
それから
"ぼうや 何かキツい一曲
ファンキーに演ってくれたら
気持ちよくしてあげるわ"ってさ

And go-kart Mozart
Was checking out the weather chart
To see if it was safe outside
And little Early Pearly
Came in by her curly-wurly
And asked me if I needed a ride


"よちよち歩きのモーツァルト"は
天気図をよく調べてた
外に出ても安全かどうかってね
そして"可愛いぼうや"は
彼女の"チョコバー"から近づいたのさ
"乗ってかない?"って誘われたからね

Asked me if I needed a ride
Cause she was blinded by the light.
Revved up like a deuce,
Another runner in the night.
Blinded by the light.


あの娘は"乗ってかない?"って聞いてきた
だってあの娘も光で目が見えなくなってたんだ
クーペのようにエンジンをぶん回し
夜を駆け抜ける若者のひとりさ
光で目が見えなくなっちまってる

She got down but she never got tight
She's gonna make it to the night
She's gonna make it through the night


彼女は車を降りる 酔ってなんかない
夜の間にやり遂げられる
彼女はやり遂げるんだ 夜通しかけてでも…



Mama always told me
not to look into the eyes of the sun
But mama,
that's where the fun is


ママはいつも言ってたんだ
太陽を正面から見ちゃいけないって
でもねママ 
そこが面白いところなんだよ…




Some brimstone baritone
Anticyclone rolling stone
Preacher from the east
Says,
"Dethrone the dictaphone.
Hit it in its funny bone.
That's where they expect it least."


口やかましいバリトン声の
石を転がす高気圧のような
東から来た伝道師がいる
こう言うんだ
"話を録音するんじゃない
面白いところを聞き逃すなよ
みんなそこを せめて期待してるのさ"

And some new mown chaperone
Was standing in the corner
Watching the young girls dance
And some fresh-sown moonstone
Was messing with his frozen zone
Reminding him of romance

新米のお目付け役のご婦人が
隅の方で立ってるよ
若い娘たちが踊るのをじっと見張ってる
ちらほらと沸く新しい恋の話が
彼の凍った心にもかつての恋を
想い出させようとするんだ

The calliope crashed to the ground
But she was blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.
Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.


音楽の女神だってぶつかっちまう
光で目をくらまされ
デュース・クーペみたいに勢いよく
夜の闇を走りまわる
光で目がくらみ
デュース・クーペのように速度を上げて
夜の闇を走り回る
光に目がくらんで
どっちを走ってるのかわからないけど
思い切り走り回ってるんだ

(Madman drummers bummers
and Indians in the summer
with a teenage diplomat
In the dumps with the mumps
as the adolescent pumps
his way into his hat)


(イカしたドラマー 放浪者
子どもの野球チームには
10代の外交官が一緒
おたふく風邪で憂うつなのは
若者が仕事で
自分のやり方にこだわるのと同じ)

Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.
Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.

光に目がくらんで
ただ力いっぱい
夜を走り回ってる…

(With a boulder on my shoulder
Feeling kinda older
I tripped a merry-go-round
With this very unpleasing
Sneezing and wheezing
The calliope crashed to the ground)


(不満をいっぱい抱えて年を取った気がして
メリー・ゴー・ラウンドみたいに旅してまわる
くしゃみや咳をゴホゴホ
とても不快な思いに包まれて
女神だって地面にぶつかっちまうのさ)

Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.
Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.


光で目が見えなくなって
ただ力いっぱい
夜を走り回ってる…

(And now Scott with a slingshot
finally found a tender spot
and throws his lover in the sand
And some bloodshot forget-me-not whispers
daddy's within earshot
save the buckshot turn up the band.)

(そしてパチンコを手にしたスコットは
 ついに柔らかな場所を見つけ
 恋人を砂の上に押し倒すのさ
目が血走った忘れな草が囁くんだ
"パパがすぐそこにいるの
弾は取っておいて ボリュームを上げて)

Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.
Blinded by the light.
Revved up like a deuce
Another runner in the night.


光で目がくらんで
ただ力いっぱい
夜を走り回ってる…

(Some silicone sister
with her manager mister
told me I got what it takes
She said I'll turn you on sonny
to something strong)


(マネージャー付の
ストリップ小屋の"シリコン姉妹"は
"アタシいいモノ持ってるのよ"
そして"ぼうや 何か効き目のあるヤツで
気持ちよくしてあげるわ"ってさ)

She got down but she never got tired,
She's gonna make it through the night.


彼女は車を降りる 酔ってなんかない
そして夜通しかけて やり遂げるんだ…

(words and idioms)
rev up =回転速度を上げる
like a deuce=猛烈な勢いで
bummers=浮浪者 怠け者
diplomat=外交官 駆け引き上手
In the dumps=憂鬱な
mumps=おたふくかぜ
adolescent=青年期の 青春の
hat=職業、職、肩書、仕事、資格
pump~into=ポンプで~を…に送り込む ~を…に注入する
Boulder=丸石、玉石、宝石
calliope=ギリシア神話に登場する文芸の女神ムーサたちの1神。そのなかで最も優美で至上の歌声をもっていたのがカリオペ。蒸気オルガン。
go-cart=(幼児の)歩行器
Early Pearly=早漏
Curly Wurly=チョコバーの名前
get tight=酔っぱらう
brimstone=硫黄 激しい情熱 〈古〉口やかましい女
anticyclone=高気圧
dethrone=〔専制君主や王を〕退位させる、王座から降ろす
Dictaphone=ディクタフォン 《口述録音器》、ボイスレコーダー
one's funny bone
=(打つとしびれるような感じのする)肘(ひじ)先の骨
new-mown=刈りたての
chaperon=シャペロン 《昔,社交界などで若い女性に付き添った,多くは年配の婦人》
sown=【形】〔宝石などを〕ちりばめた
moonstone=月長石  幸運、恋を呼ぶ
mess with=~に干渉する、~に盾突く、~にちょっかいを出す
bloodshot=〈目が〉充血した,血走った.
within earshot of=~からすぐ近くに、~から呼べば聞こえる所に
buckshot=鹿玉 《大粒の散弾》


日本語訳 by 音時

◆いやー、かなり辞書を引きました。なかなか難解な歌詞です。みなさんも日本語訳を一読していただいても…わからないですよね(^▽^;)。スプリングスティーンのオリジナルからするとM.M.E.Bは省略してる歌詞(一部変更歌詞あり)があるので、その部分は和訳していない問題もあります。

◆この曲のウィキペディアによると、スプリングスティーンは「押韻辞書で言葉を探しながら書き上げた」といいます。また、歌詞のいくつかの部分については、スプリングスティーン自身のコメントにて明らかになっているものもあります。この曲のSongfactsページには次のことが書かれていました。

・"Madman drummers bummers"… E Street Bandの最初のドラマーであるヴィニ・ロペス(Vinnie Lopez)の愛称が"Mad dog"である。
・"Indians in the summer"…ブルースの子どもの頃所属していた野球のリトル・リーグのチーム名である
・"In the dumps with the mumps"…おたふく風邪のこと。
・"Boulder on my shoulder" - a "chip" on his shoulderのこと。chip on one's shoulder=けんか腰、不満、不満の原因(【語源】昔、肩の上に木片(chip)をおいて「これを落としてみろ」と相手にけんかを吹っ掛けたことから)
・"Silicone Sister" - ブルースはポピュラー・ミュージックの世界で「豊胸手術」のことを歌ったのは間違いなくこの曲が始めてだと主張しています。アズベリー・パークの地方ストリップ劇場のダンサーのことである。

◆全体として、スプリングスティーンは様々浮かんでくる言葉とそれに合った韻を踏むことを楽しみ(?)ながら、都会に住む若者の想いをこの曲に込めたように思います。
"Blinded By The Light"(光に目をくらまされた)という言葉の意味を考えるのに、歌詞のなかでそのヒントになるだろう歌詞がありました。

Mama always told me
not to look into the eyes of the sun
But mama,
that's where the fun is


ママはいつも言っていた
太陽を正面から見ちゃいけないって
でもねママ 
そこが面白いところなんだよ…


"目をくらまされた"のは「太陽をまともに見た」からなんですね。でもそれは誰かに見せられたのではなく「自らの意思で」見ているんです。そしてそのこと自体が面白い(Fun)。ダメと言われてもそのことは止められない…。
 この「太陽」っていうのは何なんでしょうかね。スターを夢見ていたスプリングスティーンからすると"きらびやかなロックン・ロールのショービジネス"の世界でしょうか。

 それをまともに目指すとしてもあまりにも違いすぎる。パッと目を大きく開いてまばゆい閃光をとらえたらしばらく目が見えない状況になりますね。そんななかでも若者は車をスピードを上げてわけわからずに走り出す…繰り返されるこの曲のメインのフレーズの意味はそんな風にとらえました。

◆歌詞のなかではほかにショートストーリーが重ねられてる風ですね。

Madman drummer bummers…
・・・・
With a boulder on my shoulder…
・・・・
の箇所は「不満を抱えたままで若者が生きている」さま?


Some silicone sister
・・・・
And go-kart Mozart
・・・・
の箇所は、からアズベリーパークのストリップ小屋でギターを弾いてるスプリングスティーンに迫る性の誘惑!?

Some brimstone baritone
・・・・
And some new mown chaperone
・・・・
の箇所は、若者を押さえようとする大人たちのなかで若者が自分たち自身の価値観を見つけ出していく様子?

最後のコーラスのところで出てくる、

And now Scott with a slingshot
finally found a tender spot…

の箇所は間違いなく「性体験」=子どもから大人へなっていく、ことを歌ってるように思います。

そして、最後に歌われる部分…

She got down but she never got tired,
She's gonna make it through the night.


彼女は車を降りる 酔ってなんかない
そして夜通しかけて やり遂げるんだ…

スプリングスティーンは「夜」をよく曲の題材にしますが、「夜」は「若者を成長させてくれる場所」なんでしょうね。
真っ暗ななか手さぐりでもエンジンをかけて夜通し走り回るランナー。
夜通しかけて何かを発見し、そして"やり遂げる(make it)"
のでしょうね…!



◆TV番組での"光に目もくらみ"。3分半のシングルヴァージョン。



◆スプリングスティーンのオリジナル。ギター1本で歌う吟遊詩人風。